ブライダル・ウォーズ (2009)

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原題も「BRIDE WARS」

日本の結婚式では予算や、両家のニーズにあわせたプランが
いくつも揃っていますが
アメリカやカナダでは、日本よりもっと花嫁が主役で
花嫁の要望通りの結婚式が行われます
その理由は披露宴の費用を花嫁の家が負担するから

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しかもご祝儀はないし、貸衣装もない
(プレゼント文化なので)会費制などもってのほか
すべて自腹、花嫁側が本気になるのも当然なのです

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その割には、夢のようなプロポーズと理想的な結婚式を挙げた夫婦のほうが
離婚率が高いという理想と現実のギャップ(やっぱ妥協しないと 笑)

リヴ(ケイト・ハドソン)とアン(アン・ハサウェイ)は、幼馴染で親友同士
そしてNYのプラザホテルで6月に結婚式を挙げるという共通の夢がありました
まずアンが、次にリヴがプロポーズされふたりは超有頂天
なのにウェディング・プランナーのマリオン(キャンディス・バーゲン)の
秘書のミスのせいで、結婚式が同じ日の同じ時間になってしまうのです

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合同結婚式にするか、どちらかが式場を変えれば解決するのに
どうしてもそこだけは譲れない
ついにはお互いの結婚式の準備を、お互い妨害するようになります
こうなるともう彼氏は蚊帳の外(笑)

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やり手の弁護士のリヴの彼氏は、もともと破天荒で
気の強い女性が好みだったからいいけど

小学校で担任しているアンの彼氏は、頼まれたら断れないような
気弱でやさしいアンが好きだったのです
それが結婚が決まってからというもの、リヴへの対抗意識でいっぱい

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日焼けサロンでオレンジ色にされたら、紫色の髪にする仕返し
リブの最後の独身パーティまでジャック

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頭にきたリヴはアンの式で披露する幸せDVDを
バカンス先のストリッパーまがいのダンスの録画ビデオとすり替えます
後悔先に立たず、アンの式はめちゃくちゃ

女性同士の幼馴染や親友で
どちらかに彼氏ができたとか、結婚が決まったで
友情に亀裂がはいるって多いと思います
私の友人にも複数いますから(笑)

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そんな女の友情を、皮肉っているとわかっちゃいるけど笑えない
結婚式当日ドタキャンものって、アメリカ映画では多いけど笑えない
セレモニーは自分だけのものではない
祝福してくれるすべての人のものでもあるのだから

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ケイト・ハドソンアン・ハサウェイの魅力とファッションだけが見どころ
ちなみにケイト・ハドソンがデブキャラのわりには
実はアン・ハサウェイの太もものほうが立派でした(笑)

 


【解説】allcinemaより
幼馴染みで親友の女性2人が、それぞれに決めていた結婚式の日取りが重なってしまったことを機に険悪となり、壮絶な争いを繰り広げていくロマンティック・コメディ。
 幼少の頃から理想の結婚を夢見てきた、幼馴染みで親友同士のリヴとエマ。そんな彼女たちも運命の相手を見つけ、いよいよ結婚することに。そして、同じホテルで別の日に結婚式を挙げようと計画し、憧れだったニューヨークの名門プラザ・ホテルを式場に選ぶ...

ジャッカル(1997)

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原題も「 The Jackal」
ブルース・ウィリスの主演映画って「ダイ・ハード」(1988)と
パルプ・フィクション」(1994)と「シックス・センス」(1999)以外
これといって面白かった映画がないんですけど(笑)
やはりツッコミどころ満載でした

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チェチェン・マフィアのドン・テレクは
MVD(ロシア内務省)とFBIの合同捜査で殺された弟の復讐のため
謎の殺し屋ジャッカル(ブルース・ウィリス)を大金で雇います

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カーター・プレストンFBI副長官(シドニー・ポワチエ)と
MVDのヴァレンチーナ・コスロヴァ少佐(ダイアン・ヴェノーラ)は
テレクの仲間の持っていた資料からFBI長官暗殺を企てていることを知ります
ジャッカルの顔を知るものは世界にたったの6人
そのひとりがバスク独立活動家のイザベラという女性でした

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プレストン副長官とコスロヴァ少佐はイザベラのかっての恋人で
マサチューセッツ刑務所に服役しているIRAの凄腕スナイパー
デクラン・マルクィーン(リチャード・ギア)に協力を求めます

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ジャッカルの日」(1973)のオマージュがいくつかあるものの
クライマックスは「アンタッチャブル」(1987)そっくり
展開はつまらない「48時間」(1982)(笑)

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6人しか顔を知らないとか、痕跡は残さないと言っているわりに
痕跡は残しまくるわ、変装の名人のわりにはかつらと眼鏡を変えるだけ
だから愛人にもすぐに正体がバレるんだわ(笑)

しかも「女を守れない男」とか、ターゲットがバレるメッセージを
わざわざ残していくってどういうこと?
ターゲットがなぜ大統領夫人なのかも意味不明(笑)

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たぶんギアのほうは1994年に逮捕された「ジャッカルの日」に由来した
”ジャッカル”というあだ名のカルロス (テロリスト) がモデルで
フォーサイスの殺し屋「ジャッカル」vs本物のテロリスト「ジャッカル」
という設定にしたのだろうと、今となっては想像するのですが
ヨカッタのはアイディアだけ(笑)

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それでも、シドニー・ポワチエのさすがの貫禄と
頼りがいある雰囲気は見る価値が十分ありますし
撮影当時は70歳くらいだと思うのですが、年齢よりずっと若く見えます

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特筆すべきは、ジャッカルの使うマシンガンの台座を設計するだけという
チョイ役ながらもジャック・ブラック
ジャッカルに標的を狙われ逃げ惑う最中でも
ズボンがずり落ち半ケツになっていくとか
ここぞというお笑い芸を差し込むのがウマすぎる(笑)

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もっと凝った脚本にして、丁寧に作り込めば面白くなったのでしょうが、残念
ツッコミ系にさせていただきます

 


【解説】allcinemaより
名作「ジャッカルの日」を現代に舞台を置き換えて大胆に翻案。謎の殺し屋ジャッカルと、彼を追う元IRAテロリストの死闘を描くサスペンス。ロシア・マフィアの一員がFBIの手入れで死亡。激怒したボスは、ジャッカルを雇い米国要人の暗殺を依頼する。一方、その動きを察知したFBIのプレストンは、ジャッカルを詳しく知る元IRAの囚人デクランに協力を要請。だが、ジャッカルの標的はデクランの思いもよらぬ人物だった。

明日に向って撃て! (1969)

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♪Raindrops Keep Falling On My Head♪

 

原題は「BUTCH CASSIDY AND THE SUNDANCE KID」
ブッチ・キャシディサンダンス・キッド
同じアウトローの逃避行を描いた1967年の
「BONNIE AND CLYDE」(ボニーとクライド)と
邦題もラストも似ているけど

ボニーとクライドが仲間に裏切られ
嵐のような銃弾を浴びて無残に死んでいったのに比べ

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ロイ・ヒルは中年に差し掛かった伝説の列車強盗の
時代の移り変わりに追いつこうとするノスタルジー
少年のような瑞々さで青春映画のように描くことに成功
持ち前のセンスのよさで、オープニングのレッドフォードの登場から
ラストの騎兵隊の待つ広場に飛び出すストップモーションまでかっこいい

同じくブッチとサンダンスの強盗団を描いた
サム・ペキンパーの「ワイルドバンチ」(1969)は
強盗だろうが善人だろうが子どもだろうが
死んだらおしまいという残酷

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なんでも、ペキンパーが「ボニーとクライド」のラストシーンを作り上げた
アーサー・ペンに相当な対抗意識を燃やしてしまったせいで
あんな殺戮西部劇になったそうです(笑)

私は「明日に向って撃て!」「ワイルドバンチ」どちらのアプローチも好きですが
その年のアカデミー賞の対抗馬が「真夜中のカーボーイ」「勇気ある追跡
イージーライダー」そして「Z」(笑)

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だけどバカラックが音楽賞なのは納得だけど
歌曲賞に「うわさの男」(真夜中のカーボーイ)と
「ワイルドで行こう」(イージーライダー)が
ノミネートもされていないのはおかしい

こんなふうに1本映画を見るたび、ウィキペディアとか読んで
あれこれ屁理屈こねるからレビュー書くのが遅くなるのね(笑)

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サンダンスは早撃ちの有名人で
ブッチは盗賊団の仲間たちに裏切られそうな落ち目のリーダー

往復列車の強盗計画で行きは成功したものの
帰りは爆弾を使い過ぎて札束まで吹っ飛ばしてしまいました
頭にきた鉄道会社の若社長は、最強の殺し屋軍団を雇い
徹底的にふたりを追わせることにします

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ふたりはサンダンスの恋人で女教師のエッタの家に逃げ込み
追っ手から逃れるため、ニューヨークで豪遊してから
ボリビアに向かうことにしました

自転車って時代の移り変わりの、象徴のひとつ
このポール・ニューマンキャサリン・ロス
B.J.トーマスの歌う「雨にぬれても」をBGMに自転車のふたり乗りも
映画史に残る名シーンのひとつ

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エッタはサンダンスの女だけど、どう見てもブッチのとのほうが親しい
それにサンダンスが嫉妬する様子もなく、「くれてやる」とまでほざく(笑)
この不思議な三角関係は、それだけサンダンスはブッチのことを信頼していて
ふたりの友情がたったひとりの女で揺るぐことはないことを
表現したかったと思います

しかしやってきた新天地は家畜しかいないド田舎でした
結局、ブッチとサンダンスは銀行強盗に戻るのですが
「強運」がそう長く続くはずがない

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そして強盗としてしか生きれないふたりといても
幸せになれないと感じたエッタはさっさとアメリカに帰ります
こういうときの女の決断は早い(笑)

そしてアルパコ鉱山の給料袋を奪ったあと寄った宿で
その宿の少年が鉱山の焼き印のついたラバに気づいてしまいます
警察隊と騎兵隊が駆け付け完全に包囲されてしまうブッチとサンダンス

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建物の中に逃げ込んだものの、絶望的な状況
そんな中でもブッチはサンダンスに次の計画を打ち明けます

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明日に向って撃て!」もだけど「ワイルドバンチ」だけど
真夜中のカーボーイ」もだけどこういう記憶に残る
印象的なラストシーンで、余韻に浸れる映画は本当になくなったな

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ブッチとサンダンスはオーストラリアの生活の夢を見ながら
銃弾が待ち受ける中、飛び込んで行ったのでしょう

 


【解説】allcinemaより
19世紀末の西部史に名高い、二人組の強盗ブッチとサンダンスの逃避行を、哀愁とユーモアをこめて描く。列車強盗としてならしたブッチとサンダンス。しかし、近代化に向かう時代に、彼らの生き方はあまりにも旧弊だった。新たな夢を求めて、二人は南米ボリビアへと旅立つが……。世が世だっただけに当時“アメリカン・ニュー・シネマ”の傑作と謳われたが、この作品は断じてそうではあるまい。ストーリーの展開としてはそうかもしれないが、あらかじめ失速する事が約束されている他の“ニュー・シネマ”たちとはあまりにも違いすぎる。ロマンティックすぎる、美しすぎるのだ。B・バカラックのメロディに乗せて、懐古趣味すれすれで描かれる在りし日の西部。純然たる青春映画であり、ウェスタンなのだ。レッドフォード、ニューマン、ロス、この三人の輝きと、ジョージ・ロイ・ヒルの斬新な映像。まぶしいばかりの傑作だ。その後のエッタをキャサリン・ロスが再び演じるTVムービー「続・明日に向って撃て!」と、若き日のブッチとサンダンスを描いた「新・明日に向って撃て!」の2本の姉妹編が存在する。

去り行く男(1955)

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原題は「JUBAL」(ジュバル=主人公の名前)
名優たちの若い頃が見られる、実に豪華なキャストですが
韓流ドラマを西部劇にしたみたいな善人陥れ系ドロドロ恋愛劇(笑)
後味悪いけど、一応ハッピー・エンドになります

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ロッキーで崖から落ちて遭難した流れ者のジュバル(グレン・フォード)は
たまたま通りかかったシェップ(アーネスト・ボーグナイン)に助けられ
彼の牧場で働くことになります
すぐに実力が認められシェップから牧童主に任命されますが

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最初からジュバルが気に入らない、しかも牧童主を狙っていた
ピンキー(ロッド・スタイガー)はそのことを受け入れられない
そのうえまだ結婚1年目のシェップの若妻メイがジュバルに一目惚れ

真面目で一本気なシェップは誰からも信頼され愛されるキャラ
しかし男ばかり働く牧場の牧場主
デリカシーに欠けるところがあり、女性の扱いも下手
メイはシェップを嫌っていました
しかもピンキーともねんごろな間柄だったのです

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ある日「約束の地」を求め旅をしている宗教団体の幌馬車隊
ローハイダーズがシェップの牧場に野営を張ります
責任者のシェム・ホクターから病人がいることを聞いたジュバルは
快く滞在を許可し、一緒に旅していたレブ(チャールズ・ブロンソン)は
シェップの牧場で雇われることになりました

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シェムにはナオミという美しい娘がおり
ジュバルはナオミの質素な清楚さに心惹かれていきます

ナオミの(親が決めた)婚約者のジェイクはふたりが親密になることに嫉妬し
メイはジュバルを自分のものにするため色仕掛けを企むのです
ピンキーはメイとジュバルが密会しているとシェップに教え
ジュバルに振られたメイはジュバルに無理やり襲われたと嘘をつく

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可哀そうなシェップ、お人好しのやさしい男だったのに
愛する妻と、最も信頼していた牧童に裏切られたと
信じたまま死んでしまう

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仕方なくシェップを殺し、自らも傷ついたジュバルを
ローハイダーズは匿い、手厚く看護するナオミ
またまた面白くないナオミの婚約者は
ピンキーたちにジュバルの居場所を教えに行くのです

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一方ピンキーはメイに激しく復縁を迫りますが
さすがにシェップが死んだのはショックらしく
メイはそれを断り真実を告げようとします
そのせいでピンキーから激しく暴行を受け瀕死の重体になり
そのこともピンキーはジュバルのせいにするのです

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ここまで泥沼化したら、最後にジュバルとピンキーの
どんな対決が待っているのかと思うわけですが

メイを看取った医者が「犯人はピンキーだ」と告げて終わりかよ(笑)
ピンキーが仲間を躍動する部分が堂に入っていて良かった分
ここは優男にも、もっと本気で怒って欲しかった
婚約者は教団を追放され、ジュバルはナオミと共に旅立ちます

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とりわけ各カットの自然な光の具合や、構図はすばらしく
とくに風景の入れ方はうまくて、ワイオミングの美しい山並みは感動的
カメラはチャールズ・ロートン・Jr
(そのまんまチャールズ・ロートンの息子 笑)

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見どころはやはりロッド・スタイガーの悪役ぶりですが
まだ髭のないチャールズ・ブロンソンがかっこいい
一見の価値はあると思います

 


【解説】allcinemaより
緊密な心理描写で、流れ者の主人公がある牧場に現われたことで起こる嫉妬と憎しみと暴力の連鎖反応を物語る、D・デイヴィスの人物把握の活きた異色ウェスタン。G・フォード扮する放浪のカウボーイは崖から落下し怪我したところを、気だてのいい牧場主(A・ボーグナイン)に救われ、彼のもとで働くことになる。だが、その妻(V・フレンチ)に言い寄られ、それを快く思わない牧童頭(R・スタイガー)に何かとからまれ、結局、果たし合いとなる。不安げな表情が板についたフォードを、リアルな芝居が身上の一流の助演陣が取り囲んで、むしろ西部劇仕立ての人間劇と呼びたい濃密な世界を展開する。

ロミオとジュリエット(1968)

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「ロミオ様、どうしてあなたはロミオなの」
バルコニーで愛を交わすこの名セリフ、知らない人はいないはず(笑)
そしてニーノ・ロータの甘い主題曲、名画には必ず名曲があります

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今年(2019)6月、96歳で亡くなったフランコ・ゼフィレッリ
ダ・ヴィンチの子孫のひとりであると発表されました
元老院(イタリアの上院議員)も2期務め
イタリアでは、映画監督よりオペラ演出家として有名ということで
確かにカメラもセリフも舞台的手法(笑)

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しかも同じオペラ出身のヴィスコンティの助手からスタート
とはいえヴィスコンティのような貴族文化の
高踏(こうとう=お高いこと)を描くことより
若者の瑞々しさや苦悩、悲しみという心の起伏
庶民に受け入れられるわかりやすさを追及している気がします
だから感情移入しやすい

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ジュリエットを演じたオリヴィア・ハッセーは15歳
初登場するシーンの初々しさと妖艶さには女性でもときめく
純真無垢な少女がロミオと恋に落ち
お互い好きになりすぎて居てもたってもいられない(笑)
すぐさま教会で結婚の誓いをするのです

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だけどキャピュレット家とモンタギュー家の盛りのついた若者たちは
何かと因縁をつけて無駄な喧嘩をしようばかりしていました
ついにロミオの親友マキューシオとジュリエットの従妹ティボルトが
挑発しあった末に決闘となりマキューシオが死んでしまいます

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その復讐でティボルトを殺してしまうロミオ
裁判所はロミオを国外追放にすることにします

ロミオとジュリエットの愛を知る神父は
夫婦の契りを秘かに交わせ(年齢に似合わない肉体美に驚く 笑)
ジュリエットにある提案をします

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ジュリエットを薬草によって仮死し、埋葬された後
ロミオが目覚めたジュリエットを連れ出し
両家の争いのない土地で幸せに暮らすというものでした

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しかしモンタギュー家の若者のひとりが、神父の手紙が届く前に
ジュリエットが死んだとロミオに伝えてしまうのです
ジュリエットが眠る納骨堂で後追い自殺をしてしまうロミオ
そして目覚めたジュリエットも、短剣を胸に刺すのです
「All are punished」 (すべて罰せられる)

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何度となく繰り返し映画化され、ドラマ化され、バレエやミュージカル
日本では漫画やアニメにもなった「ロミオとジュリエット
そのなかで、最も有名であり金字塔、王道がゼフィレッリ版ではないか思います

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(他は「ウエストサイド物語」(1961)しか見ていないんだけど 笑)

 

【解説】KINENOTEより
ウィリアム・シェークスピアの高名な戯曲の映画化で、監督は「じゃじゃ馬ならし」のフランコ・ゼフィレッリ。脚本はフランコ・ブルザーティとフランコ・ゼフィレッリが書き、台詞はマーガレット・アンダーソンが担当した。撮影はパスカリーノ・デ・サンティス、音楽はニーノ・ロータ美術監督はルチアーノ・プッチーニ、衣裳はダニロ・ドナーテイ、装置はクリスティン・エザードが担当した。出演はロミオにレナード・ホワイティング(16歳)、ジュリエットにオリヴィア・ハッセー(15歳)の二新人が抜てきされ傍役はイギリスの舞台俳優でかためている。製作はアンソニー・ハヴェロック・アランとジョン・ブラボーン。

グリーンマイル(1999)

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「皆、グリーンマイルを歩いているのだ」

 

グリーンマイル”とは刑務所で死刑囚が最期に歩く緑色の通路のこと

三時間強とあって、さすがに何度も見ようとは思いませんが(笑)
スティーブン・キング原作作品では「スタンド・バイ・ミー」と
ショーシャンクの空に」に並ぶ好きな作品
とにかく脇を固める俳優が素晴らしい
鼠までが見事な演技を魅せてくれます(笑)

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ポール(トム・ハンクス)はコールド・マウンテン刑務所の看守主任
そこに双子の少女殺しの罪で、黒人の大男
ジョン・コフィー(マイケルクラーク・ダンカン)がやって来ました

「飲むコーヒーと似ていますが、スペルは違います」

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つまらない、意味がわからないと酷評する人も多いようですが
コフィーはキングのイメージするキリスト
どこからきたのかわからない、心優しい超能力者
他人の辛さや痛みを共有し、病気の人を救います
同時に愛を利用して悪事を働く人間は決して許さず、制裁を下します
やがて疲れ、絶望していました

この世は不条理で、正しさや、優しさが報われるより
ずる賢い人間が優位に立つことのほうが多い
コフィーは虐められ恨まれ無実の罪で死刑を宣告されています

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だけどその刑務所で、はじめて自分に優しくしてくれた人々に出会います
だからパーシー(ダグ・ハッチソン)が踏み潰された
デル(マイケル・ジェッター)の可愛がる鼠、ミスター・ジングルスを助け
ポールの尿道結石や、所長(ジェームズ・クロムウェル)の
妻メリンダ(パトリシア・クラークソン)の病気を治すのです

好きなエピソードは自分の死刑執行が近づき
ミスター・ジングルスを心配するデルに
副主任のブルータス(デヴィッド・モース)が
鼠たちが幸せに暮らす「ネズミの園」の話をするところ

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もちろんそんなお伽の国があるわけないことをみんな知ってます
だけどブルータスのデルを思いやる気持ちに心を打たれるのです

しかしデルを嫌うパーシーはそんな和やかムードが気に入らない
ポールにデルの死刑執行人をさせてくれと依頼します
そうしたらもう迷惑はかけないし、違う部署に移動願いを出すと言うのです

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そしてデルの死刑の日、パーシーはリハーサル通りにせず
わざと乾いたままのスポンジで電流を流させデルを惨死させるのです

刑務所中を漂う焦げた死臭に歓喜するワイルド・ジム(サム・ロックウェル
数多くの強盗と殺人を犯した凶悪犯で
彼こそが双子の少女をレイプし惨殺した真犯人でした

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コフィーは双子の少女と、デルの痛みと苦しみを感じ泣いていました
ポールに連れ出されたコフィーは全てを察し、所長の妻の部屋に行き
メリンダから吸い取った病気をパーシーの体内に吐き出します
その瞬間、生気も正気も失ってしまったパーシーはワイルド・ジムを撃ち殺し
別の部署ではなく精神病院へ送られます

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コールド・マウンテン刑務所の看守たちのなかには
コフィーの超能力を疑う者はもう誰もいませんでした
もしかしたら彼らは、マタイやヨハネやマルコとルカなのかも知れません
(12使途いたかどうかは未確認 笑)
パーシーとワイルド・ジムは、イエスと共に磔になった罪人
デュスマスとゲスタスだろうか

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コフィーの死刑執行の日、集まったのはコフィーが双子の少女殺しだと信じ
恨み続けている両親と多くの人々でし本当は少女たちを救うためにやってきた
だけどどんな強いパワーを持っていても、できないこともある
それは死人を蘇えさせること(それは悪魔の仕事だから・・たぶん 笑)

コフィーは電気椅子の上で憎まれながら死んでいき
若い看守のディーン(バリー・ペッパー)は哀しみに耐えきれず涙します

そしてポールとミスター・ジングルスは、永遠と思える命を与えられます
それは何を意味するのか
私は「奇跡」は本当にあると伝えるためだと思います

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普通に見ても、感動するシーンやセリフが多くありますが
尿道結石が治って激しい夜の生活を取り戻せたとか ← そこか?笑)
「キリストの磔刑(たっけい)」をかみ砕き、親しみをもたせ
ここまでわかりやすくした手腕はさすが

明日から自分はもっとやさしくなれる、そんな映画でしょう

 


【解説】allcinemaより
ショーシャンクの空に」のフランク・ダラボン監督&スティーブン・キング脚本コンビが放つ感動作。トム・ハンクス主演。1935年。大恐慌時代のアメリカ、ジョージア州のコールド・マウンテン刑務所の死刑囚舎房で看守を務めていたポールのもとに、少女2人をレイプし殺害した罪により投獄された、巨体の黒人死刑囚コフィーが送られてくる。しかし、コフィーの性格はその巨体に似合わず臆病で物静かだった。そのころポールは重い尿道炎に冒されていて、ある日、ポールは激痛の為、舎房内で倒れてしまう。が、そのとき、コフィーが不思議な力でポールの尿道炎を治して……。
さすがは元々ホラー系のコンビ。ただ泣かせるだけの感動作と思って観ると、予想に反してエグい描写に思わず驚く。奇跡の力に頼った分だけ「ショーシャンク」に比べるとドラマが弱いが、それでも3時間を越える長尺を一気に見せる秀作。トム・ハンクスはもとより、脇を固める俳優も個性的で印象深い。

ぼくの名前はズッキーニ(2016)

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原題は「Ma vie de Courgette」(ズッキーニ(私)の人生)
スイス=フランスのストップモーションアニメのクレイ(粘土)アニメ
見た目は(クリスマス向けのような)ダークでメルヘンな
ファンタジーと思いがちですが
依存症や児童虐待がテーマというビターでアダルトなコメディドラマ

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屋根裏で絵を書き凧をあげて生活する9歳のイカールは
父親が若い女性と家を出てからというもの
ビールばかり飲んで暴言を吐き暴力を振るう母親から
「ズッキーニ」というあだ名で呼ばれていました

ある日大量のビールの缶を片付けようとしたズッキーニは
誤って母親を階段から突き落として殺してしまい
警官のレイモンに養護施設「フォンテーヌ園」に連れて行かれます

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そこには、いじめっ子で問題ばかりおこすシモン
母親が精神疾患で大食いになってしまったジュジュブ
父親の小児性愛のせいで強迫性障害を抱えてしまったアリス
両親が強盗で服役中のアメッド
移民が認められず母親だけが強制送還さたベアトリスが
すでに入居していました

ズッキーニがやってきてすぐに、シモンはズッキーニが大切にしている
母親の形見のビールの缶を盗み、その缶でサッカーをしようとします
怒ったズッキーニはシモンを殴り施設長に呼ばれます

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ここでなぜか急にシモンはズッキーニに心を開きます
シモンの両親は麻薬中毒でシモンから隔離されていました
そこにはアルコール依存症の母親に虐待されながらも
母親を誰より愛し続けるズッキーニに同じものを感じたのでしょう
シモンもまた母親から手紙が来る日をまっていたのです

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虐待死のニュースを見るたびに
なぜ養護施設の職員は子どもを救わないかと怒りを覚えるわけですが
そこには子どもが「親をかばう」背景があるのかも知れません

どんなに暴力を受けても、食べ物を与えてもらえなくても
こどもはお母さんのことが誰より大切なのです
お母さんは僕が悪い子だから、僕を愛しているからこんなに怒るんだ

ここでもネグレストの親に育てられたにもかかわらず
みんなが母親を愛し、迎えに来てくれるのを待っている

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まもなくしてカミーユという美少女が「フォンテーヌ園」やってきます
ズッキーニは彼女に一目惚れ(笑)
カミーユのことが知りたい、知りたい、知りたい
そこでシモンは夜中にこっそり施設長の部屋にズッキーニを連れ出し
カミーユの資料を見つけます

カミーユの父親は母親を撃ち殺し、自分も自殺してしまったのです
叔母に預けられたものの、叔母はネグレストでした
しかし補助金が欲しいためにカミーユを再び連れ戻そうとします

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バラバラだった子どもたちが、だんだんとひとつの仲間になり
カミーユが叔母に引き取られるのを阻止しようとする

儲け役はシモンで(笑)
ズッキーニがカミーユに贈ったペーパーボードを
カミーユのラッキーチャーム(お守り)だから渡してと叔母に預けます
その中にはシモンの音楽プレーヤーが入っていました
カミーユがそれを聞くとシモンの声である計画が録音されていたのです

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この作品が高い評価を受け、数々の賞にノミネートされたり受賞したのは
ストップモーションの手間と技術の凄さでしょう
イマドキの3Dプリンタなどを用いてナチュラルさを演出したものでなく
手作りの人形感が強く、おまけにものすごく繊細
ひとつひとつの表情が豊かで、本当に生きているかのようです

そこに虐待や性や出産の話題をサラッと入れてくる
主人公ももうすぐティーンエイジャーの仲間入り
子どもに下手な隠し事をしないのがフランス流の性教育かも知れません

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ズッキーニとカミーユはシモンの後押しによって
レイモン刑事の養子になることを決意をします
どんな辛い過去でも泣いたことがなかった彼ら
だけどそのときはじめて、目から暖かい雫が落ちたのです
そしてシモンの心の天気予報は「晴れマーク」になりました

友情の大切さと優しさを覚えた彼らに、心が温かくなる
同時に子どもたちにその環境を作ってやれるのは
大人しかいないのだと考えさせられます

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約1時間の作品なので、確かに短いと感じますが
50人以上のクレイアニメ職人が制作に2年以上かけたという苦労の作品(笑)
その味わいを楽しんでみてください

 


【作品情報】MovieWalkerより
心に深い傷を抱え、孤児院で暮らす子供たちが、明日への希望を見出していくさまを描くストップモーション・アニメ。かわいらしいビジュアルと深遠なテーマが共存する世界観が高い評価を受け、2016年のアヌシー国際アニメーション映画祭で最優秀作品賞と観客賞の2冠に輝いたほか、第89回アカデミー賞でも長編アニメーション賞の候補となった。
“ズッキーニ”の愛称をもつ9歳の少年イカールは不慮の事故で母親を亡くし、孤児院で暮らすことになる。そこにはリーダー格のシモンら5人の子供たちがいて、入所当日から手痛い洗礼を受けるが、彼らも複雑な事情を抱えていることを知り、心の傷みを共有する友として打ち解けていく。そんなある日、カミーユという新たな仲間がやってくる。