バスマ(2024)

原題は「Basma」(ヒロインの名前)

 

環境工学の博士号所得のため

サウジアラビアからアメリカに留学していた26歳のバスマ

2年ぶりに(コロナによるロックダウンのため)

故郷のジッダ(紅海に臨む都市)に戻ると、両親は離婚

父親が妄想性障害だったことを知ります

 

父親を救うため、父親と暮らし寄り添おうとするバスマ

次第に父親も明るくなり、障害が治ったと勘違いしたバスマは

父親が窓に貼っていた目隠しを剝がしてしまいます

するとさらに症状が悪化、父親は倒れ入院してしまいます

予告がコメディ風だったことと

サウジアラビア映画という珍しさで鑑賞したのですが

ストーリーは凡庸で、面白味も感動もない

主演者たちの演技も決して上手くはなく

(いちばん良いのがヒロインの甥っ子を演じた子役 笑)

ひとことでいえば「つまらない」映画

 

ただイスラーム映画を見たことがある人ならわかると思いますが

イスラームではタブーとされる、性の話や(病院での診察時の質問)

女性の入浴シーン(もちろん裸は写っていません)

そのほかにも革命的で実験的なものを感じました

それもそのはず、この作品は

Netflixの「Because She Created」(彼女らが作ったもの)

というイニシアチブの一環で

アラブ世界で常識を打ち破る才能ある

若いアラブ人女性を宣伝するために制作されたというもの

そのなかのひとりが

本作で監督・脚本・主演を勤めたファティマ・アルバナウイ、36

ハーバード大学で心理学の学位と、神学研究の修士号を取得したという才女

 

私はアラブのアメリカ化にこそ賛成しませんが

女性としての立場から言うと、せっかくの才能に恵まれた女性が

学問や社会貢献への道を閉ざされてしまうことは、あまりにもったいない

でも男性もわかっていても、古いしきたり

生まれ育った環境の常識に抗えないでいるのです

父親が最も嫌っていた叔父(父親の兄か)が、バスマを呼び言います

「君は母親が最も賢い女性だと思わないかね?」

 

今の日本でそんなコメントしたら

SNSで叩かれること間違いなしですが(笑)

確かにその通り

母親の協力があったからこそ、今の自分があることを認めるバスマ

父親を治療することに納得し、母親を許して感謝する

 

エンディングクレジットでは

父親が回復し、両親がヨリを戻した?シーンが流れ

バスマのアパートのポストには

博士号合の格通知(たぶん)の封筒が届いたのでした

 

 

【解説】Netflix より

変わりゆく故郷への帰省を描いた人間ドラマ。「Barakah Meets Barakah」のファティマ・アルバナウィが監督と主演を務める。

海外留学をしている若いサウジアラビア人女性がジッダに帰省した。そこで自身の家族が彼女につらい真実を隠していたことを知る。

出演:ファティマ・アルバナウィ、イアシール・アルサシ、マイ・ハキーム

2024 |13+ |1時間 45分|ヒューマンドラマ