レザボア・ドッグス(1992)

原題はReservoir Dogs(貯水池の犬たち)

貯水池”転じて”閉じ込められて行き場のない「吹き溜まりの犬たち」という 意味

 

ダイナーで、犯罪組織の元締めジョー(ローレンス・ティアニー)のもとに

集められた黒服の7人の男たち

ジョーは(万が一逮捕されたときのために)お互いの身元を隠すため

彼らに「カラー」の名前を付けます

リーダー的な存在のホワイト(ハーヴェイ・カイテル)は
ジョーとは長い付き合いのベテラン強盗
ダイヤモンド強盗の計画をしていますが
ブラウン(クエンティン・タランティーノ)はひたすら
マドンナの「Like A Virgin」の歌詞は「巨根」を暗示していると語り

※この解釈はタランティーノ独自の考察であり

映画を見たマドンナは「愛について歌った曲」だという

メッセージ付きでタランティーノにCDを贈ったそうです(笑)

ピンク(スティーヴ・ブシェミ)はピンクという名前が気に入らないうえ

ウェイトレスに渡す1ドルのチップについて延々と愚痴っています

あまりにも幼稚でくだらないやり取り10分ほど続いたあと

男たちがダイナーを出ると、いきなりカッコいいオープニング

これには痺れる

しかし場面が変わると、さっきのカッコよさはどこへやら

銃で撃たれ泣き叫ぶ情けない姿のオレンジ(ティム・ロス)と

しかも女性から車を奪おうとして護身用の銃で撃たれ

女性を撃ち殺してしまうという間抜けさ

オレンジを宥めようとしたホワイトは(オレンジがすぐ死ぬと思って)

自分の正体を明かしてしまいます

集合場所の倉庫へたどり着いたのは、彼らとピンクの3人だけ
会話から警察に待ち伏せされ計画は失敗

ブラウンは死亡、ブルーが行方不明になったことがわかります

とにかくしつこい会話劇と、室内劇が続くのですが(笑)

約10分刻みで物語が展開していくという構成の巧みさ

極めて計算された演出で飽きさせません

編集はタランティーノ組のサリー・メンケ

タランティーノの映画が尺も良く、よくできているのは

メンケのおかげといって過言じゃない

ダイヤモンド店を強盗する銃撃シーンなど

お金のかかりそうな場面は一切カットしていて

予算でも、イデアひとつで面白い映画が作れるという

見本のような作品です

遅れてブロンド(マイケル・マドセン)が、若い警官ナッシュを拉致して登場

ピンクは作戦が失敗したのは、メンバーの中に警察の犬がいたからだと主張し

それが誰かを吐かせるため、ホワイトとピンクはナッシュを拷問します

そこへジョーの息子エディ(クリス・ペン)が戻って来て

(ブルーが死んだことを明かされる)

エディの指示で、エディとホワイトとピンクの3人は

逃走に使った車を処分するためと

ピンクが隠したイヤモンドを回収するため出て行きます

ホワイトの拷問が甘いと思ったブロンドは

何も知らないと言うナッシュの耳を切り落とし

ガソリンを浴びせ火をつけようとします

オレンジ間一髪でブロンドを射殺し

自分がロス市警のおとり警察官であることをナッシュに明かします

バックに詰めたダイヤモンドを回収した3人が戻ってくると

オレンジはナッシュの評言で、裏切者はブロンドだったと

射殺したこと説明します

確かにブロンドは最近刑務所から出所したばかりの男
しかし昔からジョーの仕事を手伝っていて、エディとは兄弟同然

オレンジの話を信じることができなかったエディ

嘘の評言をしたとナッシュを射殺

そこにジョーが到着し、ブロンドの死を知りオレンジに銃を向けます

オレンジの潔白を信じるホワイトジョーへ銃を向け

エディがホワイトを狙います

3人は同時に発砲し、ジョーとエディは死亡(ホワイトが2発発砲)

ホワイト重傷を負い、その隙にピンクがダイヤモンドの入った鞄を持って逃げ出ます

オレンジはホワイトに、自分が警察官であることを打ち明け詫びます

裏切者は最も信頼していた男だった

ホワイトは悲しみの表情を浮かべると、オレンジの顔に銃を向け

到着した警察が投降を呼びかけるなか、引き金を引くのでした

そしてホワイトも警官によって射殺されます

ホワイトに素性を明かさなければ、オレンジは生きていれたかも知れないのに

でもこれで、素性を明かしてくれたホワイトとおあいこ

ホワイトが自分に目をかけてくれてくれたことへの、償いだったのでしょう

結局一番賢くて、うまいことやったのは

ピンクという(笑)

タランティーノのデビュー作にして、最高傑作

ただし味はかなり濃い目なので(笑)

好みは別れるかも知れません

 

 

【解説】映画.COMより

クエンティン・タランティーノの監督第1作で、宝石店強盗計画に失敗した男たちがたどる運命を、独特の語り口で緊迫感たっぷりに描いたクライムドラマ。
宝石店を襲撃するため寄せ集められた黒スーツ姿の6人の男たち。彼らは互いの素性を知らず、それぞれ「色」をコードネームにして呼び合う。計画は完璧なはずだったが、現場には何故か大勢の警官が待ち伏せており、激しい銃撃戦となってしまう。命からがら集合場所の倉庫にたどり着いた男たちは、メンバーの中に裏切り者がいると考え、互いへの不信感を募らせていく。
キャストには本作の制作にも尽力したハーベイ・カイテルをはじめ、ティム・ロススティーブ・ブシェーミマイケル・マドセンら個性豊かな顔ぶれが揃った。2024年1月、デジタルリマスター版でリバイバル公開。

1991年製作/100分/PG12/アメリ
原題:Reservoir Dogs
配給:鈴正、フラッグ