オットーという男(2022)

原題は「A Man Called Otto」

スウェーデン映画「幸せなひとりぼっち」(2015)

原題「En man som heter Ove(オーヴェという名の男)」 のリメイク

最近ではすっかりハリウッドから姿を消した

フランク・キャプラのような古き良き時代を思いおこす

ノスタルジー漂うヒューマンドラマ

プロットはオリジナルとほぼ同じ

場所がスウェーデンからペンシルベニア州ピッツバーグ

移民家族がイラン人からメキシコ人に

車がサーブからシボレーに変わっただけ(笑)

最愛の妻に先立たれ仕事も定年退職した偏屈男が

妻のもとに旅立とうと首吊り自殺しようとしていると

向かいにメキシコ人の移民家族が引っ越してきて中断

 

次に電車に飛び込み自殺しようとしていると

老人が線路に落ちてしまい、人助けをするハメに

次は旧友のルーベンの妻から夏に貸していたホースを返してもらい

排ガス自殺を試みるも、おせっかいなメキシコ人妻マリソルに妨げられ

今度こそはと散弾銃を用意すると

父親に家を追い出された妻のかっての教え子、マルコムがやってくる

挙句の果てに野良猫まで居候してくる

そうしていくうち、なぜオットーが

こんなにも曲がったことが嫌いなのか

美化活動にうるさかったり、駐車違反に厳しい

(毎朝のルーティーンの)理由がわかります

かって最愛の妻ソーニャが事故で子どもを死産したうえ

車いす生活になってしまいます

車いすで移動するのには駐車違反の車や

投げ捨てられた新聞などが障害になってしまう

オットーは妻が少しでも自由に移動できるよう

妻の死後もパトロールを続けていたのです

だからオットーが本当は心の優しい人間であることを

近隣の住民は知ってるし

自然と子どもや動物は懐いてくる(笑)

そして、もうひとつ

明るい笑顔と、美味しい料理は幸せを運んでくれるということ

オットーは正直なところ、近所に移民が引っ越してくるのにはうんざり

でもどうせ死ぬのだから、サルサ味のチキンとやらを食ってやるか

くらいのもの

それが「あれ?意外と美味いかも」と言わんばかりの

トム・ハンクスの絶妙な顔(笑)

翌朝、メモを付けて容器を返すのも几帳面で可愛い

やがてあれこれ移民家族と交流を続けていくうちに

バラバラだった近隣の住民たちが再び助け合い

コミュニティを取り戻していくというもの

そこには、人種も、年齢も、性別も関係ない

ただし理想だけではなく

お互いが経済的にも精神的にも自立していることが重要

こういう説明や、セリフの少ない展開というのは

ハリウッド版の弱いところですね(笑)

古いタイプの愛国民と、移民やトランジェスターとのギャップも

オリジナルのようにクスっと笑えません(笑ったら叩かれそう)

とはいえ、トム・ハンクスの本来もつイメージもあって

(本作でも若き日のトムを息子のトルーマン・ハンクスが演じている)

誠実こそ、素晴らしい人生を送る秘訣であること

そしてその相手は世界でも、宗教でもない

まずはあなたの大切な家族や友人だと教えてくれます

 

【解説】映画.COMより

名優トム・ハンクスが町一番の嫌われ者の男を演じ、孤独だった男が隣人一家との触れ合いを通して再生していく姿を描いたヒューマンドラマ。
町の嫌われ者でいつもご機嫌斜めなオットー。曲がったことが許せない彼は、近所を毎日パトロールしてはルールを守らない人に説教を垂れ、挨拶をされても仏頂面で、野良猫には八つ当たりをするなど、面倒で近寄り難い存在だった。しかし、そんなオットーも人知れず孤独を抱えている。最愛の妻に先立たれ、仕事も失った彼は、自らの人生を終わらせようとしていた。ところが、向かいの家に越してきた陽気な女性マリソルとその家族が、なにかと邪魔をして、死のうと思っても死ぬことができない。しかし、そんな迷惑なはずの一家の出現が、彼の人生を変えてくことになる。
スウェーデン発のベストセラー小説を映画化し、第89回アカデミー外国語映画賞ノミネートされた「幸せなひとりぼっち」を、ハンクスの主演・製作でリメイク。「プーと大人になった僕」のマーク・フォースターがメガホンをとり、「ネバーランド」「ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日」のデビッド・マギーが脚本を担当した。

2022年製作/126分/G/アメリ
原題:A Man Called Otto
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
劇場公開日:2023年3月10日