原題は「Tumma Kristus」(未詳の巨匠)
邦題の「ラスト・ディール」は最後の取引という意味
フィンランド映画って子どもが可愛いくて
インテリアがお洒落なイメージがあるのですが(笑)
本作も古びた画廊や街並み、イマドキな少年がヨカッタですね
ヘルシンキの街角で長年画廊を営んでいる老画商オラヴィ
ある日疎遠になっている娘から
孫のオットーの課外職業体験を引き受けて欲しいと頼まれます
オラヴィは画商一筋で、家庭を顧みず
お金を全て美術品につぎ込んできた男なのでしょう
孫の世話なんてとんでもないと断りますが
オットーは勝手に来てしまう
しかも客に1250ユーロの画を1650ユーロで売り
オラヴィには1500ユーロで売れた嘘をつき差額分はポケットに
このオットーのずる賢さと行動力が
後半の出来事の伏線として活かされてきます
そんなときオラヴィはオークションハウスで
サインのない”男の肖像画”に惚れこんでしまう
もしかしたら19世紀、ロシアのレンブラントと称された
レーピンの作品ではないか
オラヴィはいつかは名画の大きな取引をするのが夢でした
しかしオークションでの競り合いは予想以上にヒート
ついに1万ユーロ(約120万円)で落札したものの
彼に支払うお金はありませんでした
家にある貴金属を全て売ってもわずかな金にしかならない
友人や娘に借金を申し入れても、生活が苦しいのは皆同じ
ついにはオットーがコツコツ貯めていた
大学進学のための資金に手をつけてしまうのです
今度は手に入れた肖像画を売るために
レーピンが描いたものであるかどうか証拠を見つけなきゃいけない
本物の巨匠の絵かどうかの決め手って
古い美術書に絵の写真が掲載されているかどうかなんですね
肖像画と同じタイトルとサイズの画の持ち主を発見したオットーは
ネットで住所を見つけ訪ねると、持ち主の女性は亡くなっていました
しかしオットーを女性の親戚だと信じた施設の職員は
遺品の中で欲しいものがあれば持って行っていいと言います
そこで肖像画がレーピンのものであるという証拠の本を見つけるのです
オラヴィは昔の取引先の富豪に
レーピンを12万ユーロ(約1440万円)で売ることにしますが
(オットーの撮ってくれた写真を簡単に破くのが糞)
レーピンの画だと気付いたオークションハウスの社長が
富豪に(肖像画を取り戻すために)「贋作だ」と
アドバイスしたせいで取り引きは中止
客も入らない、しょぼい画廊の老画商より
オークションハウスの社長の言うことを世間は信じる
しかも贋作の噂が出たら、画商として終わり
もうどこも取り引きしてはくれないのです
オラヴィは画廊を畳む決意をし
店を売ったお金で借金とオットーの進学資金を返します
オットーのから届いた職業体験で最高点より上の評価のはがき
真贋査定を依頼した美術館からの
「聖画なので、サインしなかったものと思われます」の留守電
最後に遺言状を書く
すべて片付いた時オラヴィは口笛を吹いていました
幸せの口笛
これでよかったのです
売れないでよかったのです
レーピンの画は自分のもの、そして孫のもの
オットーとふたりで見つけ出した傑作なのだから
☑️6!!!!!から
オラヴィの友人と、オットーが名画を守り抜こうとしたこと
そして娘への謝罪の手紙
終盤からラストまでは、グッと温かい気持ちにさせてくれます
ただ将来オットーが、お爺ちゃんのようなギャンブラーになりそうで
それだけがちょっと心配(笑)
【解説】映画.COMより
「こころに剣士を」のクラウス・ハロ監督が、作者不明の「運命の絵」に魅せられた老美術商とその家族を描いたフィンランド発のヒューマンドラマ。年老いた美術商オラヴィは、家族よりも仕事を優先して生きてきた。そんな彼のもとに、音信不通だった娘から電話がかかってくる。その内容は、問題児の孫息子オットーを、職業体験のため数日間預かってほしいというお願いだった。そんな中、オラヴィはオークションハウスで1枚の肖像画に目を奪われる。価値のある作品だと確信するオラヴィだったが、絵には署名がなく、作者不明のまま数日後のオークションに出品されるという。オットーとともに作者を探し始めたオラヴィは、その画風から近代ロシア美術の巨匠イリヤ・レーピンの作品といえる証拠を掴む。「幻の名画」を手に入れるべく資金集めに奔走するオラヴィは、その過程で娘親子の思わぬ過去を知る。