ヴィデオドローム(1982)

原題も「Videodrome

ビデオテープが題材なだけに、さすがに時代を感じますね(笑)

今見るとそれほど過激な内容とも思えない

ただテーマは近未来、VRやAI時代の到来を予感させます

「君たちは何が現実で幻覚なのか、本当にわかっているのかい?」

でもアブノーマルな作品には間違いないので(笑)

見る人を選びますし、グロテスクな描写も多いので

ここから先は観覧注意

特殊メイクはリック・ベイカー

過激なセックスや暴力番組を流すケーブルテレビ局の社長

マックス・レンはより刺激的な映像を探していました

そんなとき電波ジャックをしている会社のエンジニアのハーランから

ヴィデオドローム」というスナッフフィルムの

海賊番組のビデオをを受け取ります

ストーリーはなく生々しい拷問や殺人の繰り返し

マックスはその映像の虜になってしまいます

ハーランによると「ヴィデオドローム」の存在を知っているのは

ごく一部の人間だけで、発信源はピッツバーグということ

 

マックスと「ヴィデオドローム」を見た恋人のニッキーは興奮し

(「私も切って!」とまさかの暴力系ドMだった 笑)

ひとりヴィデオドローム」に出演するためピッツバーグに向かい

そのまま行方不明になってしまいます

マックスはニッキーを探すため「ヴィデオドローム」を生み出した

オブリビアン教授に会いに行くことにしますが

代理人で教授の娘のビアンカは教授は不在だと取り合ってくれません

その夜マックスに1本のビデオテープが届きます

テープを再生すると教授は「私は今、幻覚世界にいる」

もう現実には戻れないと言います

さらに映像の中で何者かに絞め殺されてしまいます

そこに行方不明になっていたニッキー現れ

ニッキーの唇がアップになり「私の中に来て」と呟くと

その言葉に誘われ自分の頭をブラウン管に突っ込むマックス

 

マックスが再びビアンカに会いに行くと

教授はすでに死んでおり、その幻覚は「ヴィデオドローム」のせい

「父(ビデオテープ)なら知っている」と

新たな「ヴィデオドローム」をマックスに貸し出すのでした

マックスがそのビデオテープにを見てみると

さらなる幻覚に襲われ、「ヴィデオドローム」に支配されるようになります

どこまで表現していいのかわからないのですが(笑)

難解どころか非常にわかりやすいと思いますよ

(それはオマエも変態だからだ)

腹に出来た割れ目は女性の形

グロテスクでヌルヌルなピストルは男性の”アレ”

テレビに映った女性の口に頭からツッコんじゃうのは

自分自身が男性器そのものになっちゃった妄想ですね

普通の状態の人間なら現実とバーチャルの線引きが出来るけれど

マックスは「ヴィデオドローム」を見るうちに

心の均衡を失ってしまったのです(初心だったのね 笑)

そこに突然ビリーと名乗る男が現れ

(「ヴィデオドローム」の商用化を考えている)

マックスの幻覚を分析するためマックスの頭に分析機を乗せると

 

ニッキーの写るテレビを鞭で打ってみたり

ベッドには死体が現れます

慌ててハーランを呼ぶと死体は消えていました

実はビリーとハーランはグルで(しかも悪の要塞がショボい眼鏡店)

ヴィデオドローム」を世界中に放送することで(世界変態化計画 笑)

強い北米を取り戻そうとしていたのです

 

しかしビアンカに、ニッキーが「ヴィデオドローム」に殺されたと教えられると

マックスのお腹のお口と、お手てのピストルが狂暴化(笑)

ハーランとビリーを念じ殺してしまいます

すると目の前のテレビにニッキーが現れ

次に自分自身の姿が映し出されたのを見終えると

「新人間よ、永遠なれ」と言い残し

銃をこめかみに当て自殺するのでした

 

クローネンバーグに真実や意味を求めようとしても無駄

なぜなら真実でないことや意味のないことにこそ

意味があることを描いているのだから



【解説】映画.COMより

スキャナーズ」の鬼才デビッド・クローネンバーグが、殺人ビデオによって狂気の世界へと引きずりこまれていく男の姿を衝撃的な映像で描いたSFホラー。地方テレビ局の社長マックスは、拷問や殺人が繰り返される禁断のテレビ番組「ビデオドローム」の存在を知る。恋人と共にビデオドロームにのめりこんでいったマックスは、残虐な映像を見続けるうちに幻覚を見るようになり……。主演は「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」のジェームズ・ウッズ。カルトムービーとして、今なお熱狂的な支持を集めている。

1983年製作/87分/カナダ
原題:Videodrome
配給:日本ヘラルド映画
日本初公開:1985年6月