原題も「SHUTTER ISLAND 」
シャッターアイランドと呼ばれる
重度の精神異常犯罪者が収容される(架空の)孤島が舞台
「妄想オチかよ」とか「シックスセンス(1999)」だの
「シャイニング(1980)」かよという酷評も多いですが(笑)
特筆すべきは、脇を固める豪華実力派俳優の競演
男が逆らえないオーラ全開なミシェル・ウィリアムズ
居るだけでエロいエミリー・モーティマー
そして相変わらずオカルトなマックス・フォン・シドー(笑)
曲がった背中に、眼鏡の奥から覗き込む眼光は
本当にナチスの幹部だったと思うくらい
まるで後ろに何か憑いているよう(笑)
その存在感にはいつもながら圧倒されます
ストーリーは連邦保安官のテディ(レオナルド・ディカプリオ)が
相棒のチャック(マーク・ラファロ)と共に
”シャッターアイランド”で失踪した女を探すというもの
その島でテディが直面したのは
ドイツ人戦争捕虜の殺害(虐殺に加わったかは描かれていない)
戦争PTSDによる妻ドロレスとの不和
放火魔”レディス”の存在という
「幻覚」と「正気」が何度も行き来するものでした
カメラはロバート・リチャードソン
この人は残虐なシーンや死体の描き方が綺麗ですね
目を背けたくなるような、腐った死臭が全くしない(笑)
見ている側は、テディが夢でお告げを受けるのを不審に想いながら
どこまでが現実なのか、妄想なのか
誰が真実を言っているのかは、終盤までわからない
どいつもこいつも怪しい香りがプンプン(笑)
結局は精神を病んでしまった妻に殺された3人子どもの死によって
妻の精神障害が乗り移ってしまった男の話で
ラスト、チャックはテディに治療の効果がないと
院長に(ロボトミー手術を受けさせる)合図を送りますが
実は正気に戻ったテディが
妻と子どもを失った苦しみに耐えきれず
自ら狂ったふりをして、記憶を消し去る手術を選び
それに気付いたチャックは、テディの意思を尊重することにしたのでした
でも考えてみると、いまこうしている私たちの生活も
どこまで自分がマトモで、どこまで真実かという保証は
どこにもないのですよね(笑)
もしかしたら、家族も、友人たちも、仕事も、自分が作り上げた妄想で
気付いていないのは、自分だけなのかも知れないのです
【解説】allcinema より
マーティン・スコセッシ監督とレオナルド・ディカプリオの4度目のタッグとなるミステリー・サスペンス。「ミスティック・リバー」の原作者デニス・ルヘインの手によるトリッキーな謎解きスリラーを映画化。精神を患った犯罪者だけを収容する病院が建つ絶海の孤島“シャッター アイランド”を舞台に、ある目的を秘めこの地を訪れた連邦保安官が、次々と直面する謎や職員たちの不審な言動に振り回され、次第に混乱と恐怖に呑み込まれていくさまを、様々な仕掛けと重厚な映像表現でスリリングに描き出していく。共演は「ゾディアック」のマーク・ラファロ、「砂と霧の家」のベン・キングズレー、「ブロークバック・マウンテン」のミシェル・ウィリアムズ。
ボストンの遥か沖合に浮かぶ孤島“シャッター アイランド”。そこに、精神を患った犯罪者を収容するアッシュクリフ病院があり、厳重な監視の下に運営されていた。ところが1954年9月、レイチェルという女性患者が忽然と姿を消してしまう。事件を調べるため、連邦保安官のテディが新たな相棒チャックと共に島を訪れる。折しも、激しい嵐が近づいており、捜査の行方に不安がよぎる。さっそく2人は、患者たちへの聞き込みを開始するが、テディは事件と無関係な“アンドルー・レディス”という人物についての質問を繰り返す。実はその人物は、アパートに火をつけ最愛の妻ドロレスを殺した放火魔で、テディはレディスがこの病院に収容されていると知り、その行方を探っていたのだ。そして、レディスへの復讐こそが、テディがこの島へやって来た真の目的だったのだが…。