アトランティスのこころ(2001)

「小さい頃は楽しいことばかりでアトランティスのような幻の国にいるようだ

 大人になると幻の国は消える」

 

原題も「HEARTS IN ATLANTIS

”HEARTS”は「こころ」ではなくトランプの「ハート」のこと

原作はスティーブン・キングの「ダークタワー」の中の断片

かっての友人の死をきかっけに少年時代を回顧する手法は「スタンド・バイ・ミー

不思議な能力をもつ謎の流れ者は「グリーンマイル

2作品を足した感じですが、悪くない

感動を押しつけず、出しゃばらず

スコット・ヒックスらしさが光ります

幼馴染みサリーの死を知らせる荷物を受け取った写真家のボビー

葬式に参列するため数十年ぶりに故郷に戻ると

もうひとりの親友、キャロルも数年前に死んだと知らされます

かって住んでいたいた家を訪ね、ボロボロになったテラスで

11歳だったを思い出す

ボビーとサリーとキャロルは仲良し3人組

でもサリーとキャロルにはパパがいて、ボビーだけいない

ママは職場の上司に気に入られようと

厚化粧にお洒落して仕事に行き、夜もお酒を飲んで帰って来る

誕生日のプレゼントは図書館のカード、料理もない

なんとなく寂しい

そんなある日、テッド・プローディガンと名乗る老人がボビーの家にやって来ます

ママが(収入増のため)2階を貸すことにしたのです

ボビーは怪しげだけど知的なテッドに興味深々

するとテッドが目が悪いので、新聞を読んでくれたら

さらに黒い服を着た男たちを見たことを教えてくれたなら

週に1ドルあげようと提案します

店頭に飾ってある赤い自転車がどうしても欲しかったボビーはバイトを引き受け

テッドと親しくなっていきます

さらにボビーが上級生のハリーに虐められていると

テッドはハリーを掴まえ、ハリーに家庭の事情をばらすと脅します

テッドには人の考えを見抜く能力がありました

男の子には(良い)大人の男の見本が必要

でも一歩間違えれば危険な目にあうのではないか

ママはボビーがテッドと親しくなることを不安に思います

しかし上司と2泊の出張に行くことになり

不本意ながらテッドにボビーの世話を頼みます

実際テッドはボクシング賭博をするため、怪しい店に通っていました

その店ではかってボビーのパパも常連でした

店員はお父さんは心の広い良い人だったと言います

パパのことが誇らしく思えるようになったボビー

テッドが賭けをするのは、逃亡資金を稼ぐためでした

超能力を政治に利用しようとするFBIに追われていたのです

「私には”重荷”だが 彼らにとっては”能力”だ」

キャロルに危険が迫っていることも予言します

ボビーが森にキャロルを探し行くとキャロルは倒れていました

ハリーにバットで殴られ、動けなくなっていたのです

テッドに助けを求めると、テッドはベッドにキャロルを寝かせ

傷ついたキャロルを不思議な力で治療するのですが

そこに上司にレイプされ帰って来たママが

(あの素行は勘違いされてしょうがない)

キャロルが「いたずら」されていると勘違い、通報してしまいます

連行されてしまうテッド

母親も子どもを心配してやったこと

だけどボビーの話も聞こうともせず、腹いせとしか思えない

それでもボビーはママを許すんですね

ママの再就職のためボストンに引っ越すことになったボビー

引っ越しの日キャロルにお別れを言いに行くと

キャロルはボビーのことが「好き」だと告白します

ふたりは初めてキスを交わそれが最後のキス

ママの車には荷物と一緒に赤い自転車が積まれていました

テッドがどうなったかはわかりません

 

でもママをレイプした男と、キャロルを殴ったハリーには

天罰を下してくれたと信じたいです

 

 

【解説】KINENOTEより

自分のことしか頭にない母と二人で暮らす11歳の少年が、不思議な力を持つ老人と出会い、人生という現実の感動と悲しみを体験する奇跡の物語。原作は「グリーン・マイル」のスティーブン・キング。監督は「シャイン」スコット・ヒックス。脚本は「ミザリー」のウィリアム・ゴールドマン。出演は「羊たちの沈黙」のアンソニー・ホプキンス、「15ミニッツ」のアントン・イェルチン、「パトリオット」のミカ・ブーレムほか。

アメリカ。50歳の写真家ボビー・フィールド(デイビッド・モース)は、二度と戻らない11歳の夏を思い出す。当時、父を幼い頃に亡くしたボビー(アントン・イェルチン)は、若く美しい母リズ(ホープデイビス)と小さな田舎町で暮らしていた。リズは自分の装飾品にはお金をかけるが、ボビーにはかまわなかった。二人の家の二階に、テッド(アンソニー・ホプキンス)という老人が下宿することになる。驚くほど知的な彼は、どこか謎めいた男だった。目の悪くなっているテッドは、ボビーに新聞を読む仕事を頼む。そして、「よく周りを見て、感覚を敏感にしておくこと」と言う。実はテッドは人の心を読む超能力者で、その力を利用しようと企む政府の機関から逃げていた。テッドは能力を求められているが、それを重荷に感じていた。歳の離れたボビーとテッドだが、二人は心を開き合いかけがえのない友達になった。「小さい頃は楽しいことばかりで、アトランティスのような幻の国にいるようだ。大人になると幻の国は消える」とテッドはボビーに今を大切にすることを伝えるが、リズによって政府の機関にテッドは連れ去られてしまう。ボビーはリズと引っ越すために、その思い出の町を離れたのだった。