ジャックは一体何をした? (2017)

原題は「What did Jack do?」(ジャックは何をした?)

わずか17分のショートー・ムービーですが

デビッド・リンチ健在

おかえり!デビッド・リンチ!!という感じ(笑)

 

駅で捜査官のリンチ(本人)が

オヤジの口(これがまたチープな合成)で人間の言葉を喋る

猿のジャックを尋問するだけの

50年代さながらのフィルム・ノワール

捜査官はジャックの殺人容疑を自白させようとしていますが

ジャックはあくまでしらを切る

しかし話している途中で余罪がいっぱい(笑)

 

昔は牧場に住んでいた何でも屋のジャック

ワニをナイフで殺したことがある

妻に尻に敷かれてたが、妻が殺されたおかげで解放された

その時雌鳥トゥータタボンに恋をした

トゥータタボンを巡ってマックス殺しの容疑をかけられるが

娼婦で友人のオラウータンサリーが証人

ついには言い訳も尽き、歌って現実逃避

人間と動物言語で繋がったら、実際こうなんだろうな

全く意思が通じない(笑)

 

私も愛猫の寅ちゃんと話が出来たら

「オマエ、台所のちゅーるを盗んだな」

「知らないぜ、俺じゃないぜ、たぶんリリーじゃないか

 アイツはまぐろ味に目がないからな」

「なくなったのはチキン味だ」

「・・・」

「・・・」

「にゃあ♡にゃあ♡」

みたいな(笑)

そこにトゥータタボンが現れ、ジャックは叫び

トゥータタボンを狂ったように追いかけ

捜査官は銃を取り出す

 

ラストの解釈は見る人に委ねられているんでしょうね

単純に愛するトゥータタボンを見つけて追いかけた

マックスと浮気したトゥータタボンが許せず復讐しようとした

マックスを殺した犯人が本当はトゥータタボンで

捜査官から逃がそうとした

私は③だと思います

その証拠に、マックスは駅でひとりで汽車を待っていたはずなのに

運ばれてきたコーヒーは2

(一緒に逃げようとしている)トゥータタボンが席を外している間

捜査官に見つかってしまったのです

 

そこに何も知らないトゥータタボンが戻って来て

ジャックは叫び彼女に危険を知らせたわけです

17分の尺もこれでしっくりくる

ジャックは背中から撃たれ、駆け寄るトゥータタボン

ふたりの周りには群衆が集まり、やがて激しい雨が降り出すのでした

(ちなみにこんなラストシーンはありません 笑)

 

リンチは深く考えると、逆に訳わかんなくなるので(笑)

見たまんまが正解

人間が動物と意思疎通できると思っているのは

人間の勝手な勘違い

彼らは彼らの習性から抜け出すことはできないのです



 

【解説】映画.COM

鬼才デビッド・リンチが手がけた17分の短編。リンチ本人とサルのジャックが登場するフィルムノワールで、列車のコンパートメントにいるサルのジャックは、ニワトリを殺害した罪でリンチ演じる刑事から尋問を受けているが、会話の内容はほとんどかみ合っておらず……。2016年にカルティエ財団のコミッションによって製作された作品で、18年にはニューヨークで行われたリンチ主催のイベント「Festival of Disruption」でも上映された。Netflix2020120日から配信。