花束みたいな恋をした(2021)

最初が完璧すぎる恋

 

読書が好き、映画が好き、ゲームが好き、お笑いが好き

すなわちひとりで過ごす時間が好き

世の中の常識に疑問を抱き、周囲の人々と違っていることを自覚している

それがデジャブか、リピートかありえない偶然で

自分と驚くほど似ている人と出会う

選ぶものが同じ、見るものが同じ、好きなものが同じ

また会いたい、話したい、一緒にいたい

ふたりにあるのは好きなものがいっぱいの花束

だけどどんな美しい花束でも、時の経過とともに11本枯れていく

好きなことだけで生きていけなくなる

デートムービーには不向きなので御用心を

さらに、元カレ、元カノを思い出して泣くという

危険性まで孕んでいます(笑)

終電を逃した大学生の麦(菅田将暉)絹(有村架純)は

改札で知り合った男女と深夜のカフェに行くことになりますが

そこに押井守がいたことに気付いたのは麦と絹だけ

ふたりは共感し、お互いの趣味趣向が驚くほど似ていることを知りデート

やがて同棲することを決意します

好きな時間に好きなことをする

好きなものだけに囲まれた生活

セックスだって何度もする

でも大学を卒業する時がやって来ます

絹は簿記の資格を取り病院の受付で働き

麦はイラストレーターを目指すものの

今やネットで無料イラストがいくらでも手に入る時代

収入はほとんどありません

おまけに親からの仕送りを止められ、このままじゃアパート代も払えない

就職を決意し営業マンとして働くようになった麦

が、意外にもサラリーマンの仕事が向いていた

仕事をこなし、残業もためらわない

同僚や上司から認められるようになります

当然、ゲームをやる時間も漫画を読む時間もなくなる

絹もそれはわかってる

麦を責めるつもりはないし、理解しているつもり

でも本当は寂しい、ナデナデしてほしい、かまってほしいんだよね

絹は好きな仕事を選びイベント会社に転職

(終盤浮気の話が出てくるのは、絹が浮気した?ということか)

すれ違っていくふたりの気持ち

ふたりは別れを決意し

共通の友人の結婚式のあとファミレスで話し合いますが

突然麦が結婚しようと言い出します

恋愛感情を失っても長年連れ添う、夫婦ってそんなもの

子どもを作って家族になろう

そうだね、結婚しようと答える絹

その時、近くのテーブルの若いカップルの姿が目に入ります

その姿は6年前の自分たちそのもの

リピート

もうあの頃のドキドキ、ワクワク

嬉しい、楽しいが見つからない

好きだけど、好きだけど、同じ気持ちには戻れない

枯れた花束でも大切にする、それが結婚

でもふたりにはそれが出来なかったのです

その時はまだ

麦と絹は別れも時間をかけて大切にしました

好きなものを半分こ

でも猫のバロンは半分こできない

麦が引き取ることになります

月日が経ち、お互い彼女彼氏ができ

偶然再会したカフェでイヤフォンについてのウンチクを語る

リピート

そうさ、大人になったんだ

さようなら、わたしの分身、もうひとりの自分

振り向かずバイバイする

 

甘いが最初で、最後がほろ苦い

でもなんとなく、ヨリを戻しそうな予感もするラスト(笑)

そしてなによりこの映画の魅力は

すべてのコンテンツが実名で出てくるということ

誰でもひとつは「これ知ってる」の共感を持てるのです

 

でも私がイチバン気になったのは「さわやか」というハンバーグ店

静岡県で「まぼろし博覧会」に次ぐ

行ってみたいスポットになりました(そこ? 笑)

 

 

 

【解説】映画.COMより

東京ラブストーリー」「最高の離婚」「カルテット」など数々のヒットドラマを手がけてきた坂元裕二のオリジナル脚本を菅田将暉有村架純の主演で映画化。坂元脚本のドラマ「カルテット」の演出も手がけた、「罪の声」「映画 ビリギャル」の土井裕泰監督のメガホンにより、偶然な出会いからはじまった恋の5年間の行方が描かれる。東京・京王線明大前駅で終電を逃したことから偶然に出会った大学生の山音麦と八谷絹。好きな音楽や映画がほとんど同じだったことから、恋に落ちた麦と絹は、大学卒業後フリーターをしながら同棲をスタートさせる。日常でどんなことが起こっても、日々の現状維持を目標に2人は就職活動を続けるが……。