罪の声(2020)

19843月から約1年半にわたって世間を震撼させた

「グリコ森永事件」に基づいたフィクション

三億円事件」と並ぶ昭和の2大未解決重大事件ですね

そのなかの「わかっていること」「新たにわかったこと」を

極力史実通りに再現しながら

事件に関わった人たちの「今」を描きます

2015年、京都市内でテーラーを営む曽根俊也星野源

クリスマスの飾りを探すため押し入れの中を調べると

父の遺品の中からカセットテープと手帳を見つけます

手帳はすべて英語で書かれていて

中央のページに大きく「GINGA」と「MANDOU」の文字

気になった俊也はテープを聞いてみると

わらべ”の「もしも明日が」を歌う子どもの声

父親が録音したのだろうと微笑ましく思っていると、突然

「きょうとへ むかって いちごう せんを にきろ」

という謎の言葉が現われます

ふたたび何もなかったように「もしも明日が」の歌

もしかして父親は「ギンガ・萬堂事件」

略して「ギン萬事件」に関わっていたのではないか

俊也は父の知り合いから手帳は30年以上前に行方不明になった

父の弟、達雄のものではないかと教えられます

その日から俊也は叔父の達雄と関りのあった人物を探すようになるのです

同じ頃、大日新聞文化部記者を務める阿久津小栗旬)は

ギン萬事件の企画記事のためイギリスに出張させられ

1983年のハイネケン社長誘拐事件」取材します

当時ハイネケン事件を調べていたと中国人が関係あるのではと

かって中国人の恋人だった女性に会うものの情報は得られず帰国

証券雑誌の株式の記事から、証券関係者を訪ね

犯人は「仕手筋」だった可能性があると聞かされますが

(仕手とは人為的に作った相場で短期間に大きな利益を得るため

市場で大量に投機的売買を行う投資家や集団のこと)

直接事件結びつく証拠は見つかりませんでした

意外にも犯人グループが会合を開いていたという

料亭「し乃」の板長がキーマンで(笑)

関係者が次々と割り出されていきます(抜群に記憶力がいい 笑)

阿久津と俊也や出会うことになるのも彼のおかげですね

俊也は、父や達雄の柔道仲間で元警官

生島の娘の高校の先生に会いに行きます

生島の娘の望と息子の総一郎が自分と同じ

「罪の声」に使われていた可能性があったからです

しかし望は一家で行方不明になり今も消息不明のままだといいます

望の親友だったという女性は望に生きていてほしいと

彼女について知っていることを俊也に教えるのでした

本当によく辻褄合わせがされているのですが

望が交通事故で死んだという展開はダメダメですね

その時点で(捜索願が出てれば)警察に身元がバレるし

絶対ニュースにもなる

ここはコンクリートで海に沈めるなり、最後まで仕事はきっちりやらないと

総一郎があっけなく見つかったのはいいとして

達雄が首謀者だったのも、最初の「中国人」探しで予想がつく

イギリス人の言う「中国人」をうのみにするかね、普通(笑)

母親も事件の証拠品ならすぐに処分するだろ

少なくとも病気がわかった時点で始末するだろ(笑)

そこは無駄な演出をカットして2時間で収めたほうがいい

それに、せっかくここまで「グリコ森永事件」を深堀したなら

もう少し社会派映画テイストとして完成度をあげて欲しかった

 

現実でも未だに関係者のひとりも見つかっていないのは

もしかしたら本当にひとり残らず

消されちゃったかも知れません

俊也は自分の声が事件に使われていたことに悩み苦しみ

テープに録音した母親を憎んでしまいます

でも総一郎と会ったことで、自分がいかに恵まれているか

幸せな人生を送って来たかを知るのです

総一郎の再出発のため、スーツを縫う

記者会見の甲斐あって、母親と再会することができた総一郎

「おかあちゃ~ん、おかあちゃ~ん」にはちょっぴりウルン

たぶん生活保護も受けれると思うよ

(そこはもう少し夢のあることを言おうよ)

 

 

【解説】allcinema より

かつて日本中を震撼させ、未解決のまま時効を迎えた実在の劇場型事件をモチーフにした塩田武士の同名ベストセラーを、脚本に人気脚本家の野木亜紀子を起用し、小栗旬星野源の主演で映画化したヒューマン・ミステリー。すでに時効となった昭和の大事件を改めて取材する新聞記者の男と事件で使われた脅迫テープの声が幼少期の自分の声だと気づいた男を主人公に、事件の真相と驚愕の犯人像に迫っていく2人の姿をスリリングに描き出す。共演は松重豊古舘寛治市川実日子火野正平、宇崎竜童、梶芽衣子。監督は「涙そうそう」「麒麟の翼 ~劇場版・新参者~」の土井裕泰
 35年前に起きた食品会社を標的とした脅迫事件は、警察やマスコミを翻弄し続け、日本中を巻き込んだ衝撃的な日本犯罪史上初の劇場型犯罪となった。しかし犯人グループは忽然と姿を消し、事件は解決することなくそのまま時効を迎えた。大日新聞記者の阿久津英士は文化部記者ながら、この“ギンガ・萬堂事件”を取り上げた特別企画班に入れられ、戸惑いつつも取材を重ねていく。一方、京都でテーラーを営む曽根俊也は、父の遺品の中に古いカセットテープを発見し、自分の声が“ギン萬事件”で使われた脅迫テープの声と同じことに気づく。知らないうちに事件に関わってしまったことに罪悪感を抱きながらも、なぜ自分の声が使われたのか、その謎を解き明かすべく自ら事件を調べ始める曽根だったが…。