007/トゥモロー・ネバー・ダイ(1997)

シリーズ第18

原題も「TOMORROW NEVER DIES」(明日は必ずやって来る

中国での放映権100年分を得ようとしている

メディア王とボンドが対決

 

モデルは、1991カナリア諸島沖で

「レディ・ギレーヌ」(愛娘の名)号から転落し水死体で発見された

イギリスのメディア王ロバート・マクスウェルということ

(彼の宿敵でアメリカの実業家、ニューズ・コーポレーションの会長

ルパート・マードックを思わせる部分もる)

心臓発作で転落死(警察の見解)、自殺説

モサドイスラエル諜報機関)による暗殺説など

本当の死因は解明されていないそうです

第二次大戦中にチェコスロバキアからナチスの迫害を逃れ

イギリスに逃れてきたユダヤ人避難民

イギリス軍としてノルマンディ上陸作戦に参加し

戦時中の人脈を利用し出版社を買収、政界にも進出します

(のちに様々な違法行為に手を染めていたことが発覚)

家庭ではフランス人女性と結婚し9人の子どもを授かります

ケネディ家に憧れ、ケネディ一族になりたいがため

末娘のギレーヌをJFKジュニアと結婚させたいと望んだものの叶わず

代わりにアメリカの投資家ジェフリー・エプスタイン

(のちに児童買春で有罪判決を受ける)にギレーヌを紹介します

とにかくロバート・マクスウェルも、ジェフリー・エプスタインも

ケネディ家も、自分の利益のためには手段を選ばず

回りの人間を食い物にする、腹の中真っ黒黒黒な悪人ですね

そういう人間が金にものを言わせメディアを利用し

情報操作をしようとしたらどうなるか

何が嘘か真実かを私たちはどこで見分けるのか

映画の中の話だけではないと思うと怖いですね

「戦争ほどよく売れるニュースはない」というセリフも

真に迫りました

 

そしてまさか、地下鉄サリン事件

こんな形で、しかも007で映画化されるとは・・

南シナ海を航行中のイギリス海軍巡洋艦デヴォンシャーの上空を

中国軍のミグ戦闘機2機が通過し

デヴォンシャーが領海を侵犯しているので攻撃すると警告

一方デヴォンシャー側は公海上を航行しているので

攻撃してきたら反撃も辞さないと返信を送ります

間もなくデヴォンシャーは魚雷による攻撃により沈没

浮上した乗組員たちは容赦なく射殺されます

中国軍のミグもミサイル攻撃により撃墜します

しかし双方に攻撃を仕掛けたのは、デヴォンシャーでもミグでもなく

現場近くにいた謎のステルス艦で、指示を出していたのは

ハンブルクにあるカーヴァー・メディア・グループの本社でした

 

Mハンブルクで行われるカーヴァーのパーティーに出席するよう

ボンドに命じます

その理由のひとつは、ボンドはかってカーヴァーの妻と関係があり

彼女から情報を引き出す為でした

 

 

主題歌「Tomorrow Never Diesシェリル・クロウ

 

007/ジェームズ・ボンドピアース・ブロスナン

中国人スパイ、ウェイと共にカーヴァ―の野望に立ち向かう

エリオット・カーヴァージョナサン・プライス

イギリスのメディア王
中国のチャン将軍と組んでステルス艦を建造し
デヴォンシャーと中国空軍のミグの双方を攻撃
自らのメディアを使って情報操作を行
戦後中国における放送権を獲得するために
イギリス中国戦争を起こさせようとしている

 

パリス・カーヴァーテリー・ハッチャー

ボンドのかっての恋人で現カーヴァー夫人

ボンドMI6のエージェントであることを知っていて

ボンド一夜を共にし、夫の行動を伝えたものの

ホテルの部屋でドクター・カウフマンに殺されてしまう

ウェイ・リンミシェール・ヨー

本作のメイン・ボンド・ガール

新華社通信の記者と偽ってカーヴァーに接近していた中国の公安委

ボンドと同盟を組みステルス艦を爆破する

歴代の見た目重視のボンド・ガールとは違い

ジャッキー・チェン作品で鍛えられた本気のアクションが見どころ

 

ヘンリー・グプタ リッキー・ジェイ

カーヴァーに雇われているアメリカ人テクノテロリスト
グループの衛星を使ってGPSの電波障害をおこし
イギリス軍と中国軍に狂った位置情報を伝える

スタンパーゲッツ・オットー

カーヴァーの部下でDr.カウフマンの弟子

Dr.カウフマンヴィンセント・スキャベリ

カーヴァーに雇われた殺し屋
射撃を得意とし、毒物の専門家、拷問もする

ジャック・ウェイド ジョー・ドン・ベイカー

CIAの連絡係南シナ海へ向かうボンドを支援する
チャン将軍(フィリップ・クオック)

カーヴァー援助している中国の将軍

M ジュディ・デンチ

 

ローバック提督ジョフレー・パーマー

Mの同僚でMとともに事態解決の指揮所にあたる

チャールズ・ロビンソンコリン・サーモン

M参謀総長

防大ジュリアン・フェロウズ

Q デスモンド・リュウェリン

ハンブルク空港のレンタカー会社のスタッフとして出迎え
ボンドカーBMW750を引き渡

マニーペニーサマンサ・ボンド

Mの秘書

 

ステルス艦に進入したボンドは、

銃撃戦の末、乗組員を倒し

魚雷を使ってカーヴァーを圧死させます

ジョナサン・プライスの最期があっけなくて拍子抜け

捕らえられていたリンを救出し

(お約束の海中での酸素の口移し)

海上に浮かんだステルス艦破片の上で長いキスを交わすのでした

(お約束の敵の基地を爆破して脱出)

 

ボンドから報告を受けたMは

「カーヴァー氏が南シナ海でクルーズ中に溺死

地元警察はメディアの帝王が自殺したと伝えている」

という声明文を発表するよう、マネーペニーに指示しました

シリーズで最もアジアンな雰囲気が

スマートなブロスナン・ボンドと意外にもマッチしていて

サイゴンでのバイクアクション

手錠

民家ボロボロシャワー

パソコンのキーボードが漢字(笑)

小ネタも良かったですね

 

いつ見ても安定の面白さでした

 

 

【解説】allcinema より

大ヒットした「ゴールデンアイ」に続く、P・ブロスナンの新生ジェームズ・ボンドの第2弾にしてシリーズ通算第18作。英戦艦が中国領海近くの海域で攻撃を受けた。だがそれは中国空軍によるものではなく、世界の情報を牛耳る“メディアの帝王”カーヴァーの操るステルス艦の仕業であった。衛星情報を操作して英・中双方に誤った座標位置を送る事で、紛争の火種を起こし、そのニュースを独占しようという企みなのだ。そうとは気づかない英艦隊は報復措置のために東シナ海目指して出発。事件の背後に何者かの陰謀を確信した英諜報部は、このニュースをいち早く報道したカーヴァーの背後を調査すべく007を送り込む。そしてカーヴァー邸に潜入し衛星システムの証拠を掴んだ007の前に、謎の中国人女性ウェイ・リンが現れた……。
 冷戦終わって久しい現在、メディアの寵児を敵とした設定はいかにも今風だが、いかんせん悪役としての格に欠けるのが惜しい。ただし、香港きってのアクション女優ミシェール・キング改めミシェール・ヨーのボンド・ガールの存在はそれを補ってなお余る。実際、特殊使用のBMWによる大チェイスあたりまでは、今一つ盛り上がりにかけるが、M・ヨー扮するウェイ・リンとボンドのコンビ・プレーが始まってから映画の調子は俄然良くなる。それでも香港時代でのキレの良さを知ってる者から見れば物足りないものではあるが、R・スポティスウッドの演出に香港映画ばりのアクションを求めるのは酷というものだろう。まさにアジアの格闘女神に助けられたジェームズ・ボンドでありました。