原題も「Marriage Story」(結婚物語)
ですが、正確には離婚物語
監督でもあるノア・バームバック自身の実体験に基づいた
「離婚なんて勘弁」ものですが
ラストはまるで古いラブレターを見つけたような
センチな気持ちになります
才能ある舞台監督、夫チャーリー(アダム・ドライヴァー)と
元映画女優で、今は夫の舞台の看板女優の妻ニコール(スカヨハ)
冒頭、それぞれの好きなところが語られていきます
明るくて何事にも一生懸命、だけど家事が苦手な妻
仕事では一切妥協せず、几帳面で料理上手な夫
そしてお互い息子のヘンリーを何より愛している
でもそれは、カウンセラーが円満に離婚協議するため勧めた
相手の長所を見つけて打ち明けようというプログラム
どうせ資産の分与だけなんだからと妻は拒否
ちょうどその頃、チャーリーはブロードウエィでの公演が決定
ニコールにはLAでテレビドラマ主演の依頼がきます
ニコールは息子を連れLAの実家に戻り別居生活が始まります
でもその時はまだ、ニコールも心のどこかでは
やり直せるかも知れないと思っていた
同僚に弁護士のノラ・ファンショー(ローラ・ダーン)を紹介されるまでは
日本でも「いい夫婦の日」に選ばれた
芸能人カップルに限って離婚していますね(笑)
はたから見て幸せそうな夫婦に限って、一度壊れたらおしまい
失敗は許せない
私が思い浮かべる離婚の理由トップ3は
浮気、金銭問題(無職や借金)、暴力
ここでは夫がスタッフの女性と浮気
妻は夫のメールをチェックしてしまいます
もちろんそれには何かしら疑う理由があったのでしょう
ただ、ベッドを共にしただけの浮気とより
メールやチャットでのやりとりは
女性にとってはショックではないかと思うのです
そこにいるのは自分の知っている夫は違う、全く別の男
こんなことを考え、妻に言えないことを相談していたのか
そして何かのきっかけで雰囲気が盛り上がってしまった(たぶん)
彼にとって私は何?今までの努力は何のため?
そんな悲しい気持ちを、同じ女性だから、母親だから
ノラはわかってくれる
自分の幸せこそを最優先に考えろと教えてくれたのです
チャーリーは親権を失わないため
できるだけ息子のヘンリーと過ごそうとLAにアパートを借ります
しかし母親と父親の間を行ったり来たり
そのことは息子に更なるストレスを与えてしまいます
やがて裁判が始まると、弁護士たちはお互いの依頼主を有利にするため
チャーリーとニコールの人格や失敗について攻撃しあうことになります
「クレイマー、クレイマー」(1979)でもそうでしたね
全く子どもの気持ちなど考えていない
1年後、新しい恋人が出来たニコールのもとに
チャーリーがLAでの仕事が決まりLAに住むと報告に来ます
そのとき偶然にも息子が部屋で読んでいたのは
かってカウンセリング用に書いたチャーリーの好きなところでした
「出会って2秒で恋に落ちた」
そのときの感謝の気持ちを、そのときどき言葉にしていたら
こうはならなかったのかも知れない
でも若かった日々は、もう取り戻すことは出来ないのです
【解説】ウィキペディアより
監督はノア・バームバック。主演はアダム・ドライヴァーとスカーレット・ヨハンソン。共演はアラン・アルダ、ローラ・ダーン、レイ・リオッタら。2020年アカデミー賞6部門にノミネートされ、ローラ・ダーンが助演女優賞を受賞した。
ニューヨークの売れっ子の演出家であるチャーリー・バーバーの所有する劇団は、チャーリーの妻で10代の時は映画女優だったニコールが主演する劇を発表している。夫妻関係には亀裂が生じており、仲裁人を頼る。仲裁人は2人にお互いの長所を書き出すように助言するが、ニコールは自分が書いたものを恥ずかしくて声に出すことができず、2人はカウンセリングをやめることにする。
ニコールはロサンゼルスでのテレビ番組のパイロットの主役を持ちかけられると、劇団を辞め、息子のヘンリーを伴って一時的にウェスト・ハリウッドに母と住むことを決意する。チャーリーは、劇がブロードウェイ公演予定なので、ニューヨークにとどまることにする。2人は弁護士を使わずに穏便に別れようと合意していたのに、ニコールは家族問題の弁護士であるノラ・ファンショーに依頼し、夫に相手にされなくなっていった経緯や自分の意見や願望がいかに聞き入れられなかったかについて不満をぶちまける。ニコールはチャーリーが劇団の舞台監督と寝たのではないかと疑う。チャーリーは家族を訪ね、マッカーサー基金の奨学金を得たことを明かすが、ニコールは離婚に突き進む。チャーリーは好戦的で高給取りの弁護士ジェイ・マロッタに相談し、ジェイはすぐに争うように助言するが、チャーリーはジェイに委任することなくニューヨークへ戻る。ノラからチャーリーに電話が入り、弁護士を雇わなければヘンリーの親権を失うおそれがあると言う。チャーリーはロサンゼルスに戻り、バート・スピッツに委任する。バートは依頼者に同情的で、和解的手法を駆使する家族問題の熟練弁護士である。
チャーリーはバートの助言により、家族との距離を縮め親権争いで優位に立とうと、ロサンゼルスにアパートを借りる。チャーリーの希望は裁判を避けることなので、バートはニコールとノラとの面談をセットする。ノラの言い分は、チャーリーはニコールのロサンゼルスに戻りたいという希望を尊重せず、ヘンリーは飛行機で大陸両岸を行き来するよりも母と一緒に過ごしたいというものである。バートはチャーリーと密談し、ニューヨークでの生活を諦めるように諭すが、不満のたまったチャーリーは拒否してバートを解任する。
奨学金の1回目の支払いを費やしてチャーリーはジェイに依頼する。問題は裁判所に持ち込まれ、ノラとジェイは互いに依頼主の利益のために激論を戦わせる。その結果、人格攻撃の応酬となり、ノラはチャーリーの不貞とつれない態度を強調し、ジェイはニコールの酒癖を誇張しチャーリーのメールを盗み見たことを告訴すると威嚇する。そうする間にも、チャーリーとニコールは裁判を離れると仲良く暮らし、ヘンリーとの時間をともに過ごす。そのヘンリーは両親の間の行き来にイライラを募らせる。
裁判手続きに幻滅し、チャーリーとニコールは2人だけで会うことにする。ところが、チャーリーのアパートでの親しげな会話は感情的な言い争いに終わる。ニコールはチャーリーが今や完全に自己中心的になったと非難し、チャーリーはニコールが死ねばいいと叫ぶ。チャーリーは泣き崩れて謝ると、ニコールが慰める。親権評価の調査員がチャーリーと夜を過ごすヘンリーの様子を観察するが、チャーリーはうっかりナイフで腕を切ってしまう。まもなく、夫婦はお互い譲歩して対等な離婚に踏み切るが、ノラはニコールの意向に反して彼女に若干有利なように交渉する。
1年後、チャーリーの劇はブロードウェイで成功を収め、ニコールには新しい恋人ができ、自作の番組がエミー賞監督部門にノミネートされる。チャーリーはUCLAでのポジションを得、いつもヘンリーのそばにいるためにロサンゼルスに住むことにするとニコールに伝える。その後、チャーリーはニコールがカウンセリングの際に書いた、彼女がチャーリーの美徳だと思うリストを読んでいるのを見つける。ヘンリーがチャーリーにそれを読み上げてと言うので、そうするが、ニコールが遠目に見つめる中、チャーリーは感傷的になる。その夕方、ハロウィンパーティーの後、ニコールは自分の番なのに、その晩はチャーリーにヘンリーを連れて帰るように申し出る。チャーリーはヘンリーを抱きかかえて車の方に向かい歩き出す。