時をかける少女(1983)

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「ひとが現実よりも理想の愛を知ったとき

それはひとにとって幸福なのだろうか?

不幸なのだろうか?」

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子どもの頃、NHKで放映していた「少年ドラマシリーズ

同年代の子どもたちはみんな見ていた人気番組でした

「タイムトラベラー」(1972)もその中の作品のひとつ

SFに興味をもったのも

図書館で筒井康隆星新一眉村卓の小説を借りて読んだのも

このドラマシリーズがきっかけだったかも知れません

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時をかける少女」も公開時ずいぶん話題になりましたが

まだガキだった私は、「面白くなかった」というのが正直なところ()

当時はスピルバーグリドリー・スコットジョン・ランディスに感化され

邦画をばかにさえしていたのです

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しかし大人になって見ると

角川春樹大林宣彦原田知世に対する情熱もわからなくもない(笑)

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セリフは棒読み、演技も歌も下手

だけどカメラを直視できず笑顔を作る初々しさ

まだ女として成熟していない処女性、男のロマンチシズム

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なので青春ラブストーリーにもかかわらず

怪我をした傷口の血を吸い出すとか

ブルマー姿とか、妙な昭和のエロさがある

さすが大林(笑)

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エンディング原田知世のミュージックビデオ(笑)

印象的なシーンを追いかけながら、原田知世の笑顔で締めくくります

ユーミンの作詞作曲はまさしく逸品で、映画主題歌として殿堂入りのひとつ

制作が決まった時、大林から音楽の松任谷正隆に渡されたのは

ある日どこかで」(1980年)のビデオ ということ

確かに「ある日どこかで」にぴったりな歌詞だわ(笑)

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ストーリーは幼馴染の親友だと思っていた高校の同級生の男の子が

実は未来人だったというもの

タイムリープ能力を身に着けたヒロインはその彼を好きになってしまいますが

彼は未来に帰らなければなりません

そして記憶を消した数年後、大人になったふたりは再会し

初対面のはずなのに、なぜかお互い惹かれるものを感じるのです

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ラストはちょっと「天国からきたチャンピオン」(1978)(笑)

 

でも私としては、本当はヒロインと結ばれるはずだった運命の人

醤油屋の吾郎ちゃんに、幸せになってほしいと願いました

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【解説とあらすじ】KINENOTEより

ある日突然、時間を超える能力を持ってしまった少女の不思議な経験と悲しい恋を描く。筒井康隆の同名小説の映画化で、脚本は「転校生」の剣持亘、監督も同作の大林宣彦、撮影も同作の阪本善尚がそれぞれ担当。主題歌は、原田知世

土曜日の放課後、掃除当番の芳山和子は実験室で不審な物音を聞きつけ、中に入ってみるが人の姿はなく、床に落ちたフラスコの中の液体が白い煙をたてていた。フラスコに手をのばした和子は不思議な香りに包まれて気を失ってしまう。和子は、保健室で気がつき自分を運んでくれたクラスメイトの堀川吾朗や深町一夫らと様子を見に行くが、実験室は何事もなかったように整然としていた。しかし、和子はあの不思議な香りだけは覚えていた。それはラベンダーの香りだった。この事件があってから、和子は時間の感覚がデタラメになったような奇妙な感じに襲われるようになっていた。ある夜、地震があり外に避難した和子は、吾朗の家の方で火の手があがっているのを見、あわてて駈けつける。幸い火事はボヤ程度で済んでおり、パジャマ姿で様子を見に来ていた一夫と和子は一緒に帰った。翌朝、寝坊をした和子は学校へ急いでいた。途中で吾朗と一緒になり地震のことを話していると突然、古い御堂の屋根瓦がくずれ落ちてきた。気がつくと和子は自分のベッドの中にいた。夢だったのだ。その朝、学校で和子が吾朗に地震のことを話すと、地震などなかったと言う。そして授業が始まり、和子は愕然とした。昨日と全く同じ内容なのである。やはりその夜、地震が起こり火事騒ぎがあった。和子は一夫に今まで起った不思議なことを打ち明けるが、一夫は一時的な超能力だと慰める。しかし、納得のいかない和子は、一夫を探していて、彼の家の温室でラベンダーの香りをかぎ、気を失った。気がつくと和子は、一夫が植物採集をしている海辺の崖にテレポートしていた。そこで和子は不思議なことが起るきっかけとなった土曜日の実験室に戻りたいと言う。一夫は反対したが和子のひたむきさにうたれ、二人は強く念じた。そして、時をかけた和子が実験室の扉を開けると、そこには一夫がいた。彼は自分が西暦二六六〇年の薬学博士で、植物を手に入れるためこの時代にやって来たこと、自分に関わりのある存在には、強い念波を相手に送って都合のいい記憶を持たせていたことを告白する。そしてすべてを喋ってしまったのでお別れだと告げた。和子は一緒に行きたいと言うが、彼は自分に対しての記憶も消さなくてはならないと言う。和子は嫌がるが、ラベンダーの香りをかがされ床に崩れた。十一年後、大学の薬学部研究室に勤めている和子は、実験室を訪ねてきた一夫とぶつかる。二人はハッと思うがそのまま歩み去るのだった。