原題も「The Hunter」
30年の間に5000人以上の仮釈放中の逃亡者を牢に送り込んだと言われる
実在のバウンティハンター、ラルフ・ソーソンを演じた
スティーヴ・マックィーンの遺作アクション
確かに「ブリット」(1968)や「ゲッタウェイ」(1972)とは
比ぶべくもないB級映画だけど、これはこれで良かったと思います
凄腕の賞金稼ぎのわりには、縦列駐車もできないくらい運転が下手で
(「裸の銃を持つ男」(1988)はこれのパロディかな)
「古いものばかりが好き」で老眼鏡が必要な50男
美人でしっかり者の恋人の尻に敷かれラマーズ法教室に付き合わされる
この頃からラマーズ法や、立ち合い分娩のブームだったのでしょう
(出産シーンを旦那に見せたい妻の気持ちはわからんがな)
そんな二枚目半なオジサンだけど、MA1ジャケットにLeeライダース
ロレックスサブマリーナーがここまで似合うのはマック様だから(笑)
「サムライ」(1967)のドロン様もだけど、マック様(左利き)も時計は右手
だから私も時計は右手にするようにしています(笑)
すでに肺がんを患い、走るシーンなど相当つらかったらしいですが
スタントもCGもなしでこれだけやれたらたいしたもの
この映画を酷評する人に、オマエはどれだけ早く走れるんだと
逆に言ってやりたい(笑)
現代の賞金稼ぎラルフ・ソーソン(スティーヴ・マックィーン)は
シェアハウスで同棲しているドティ(キャスリン・ハロルド)が
身籠っているため、仲間たちから“パパ”と呼ばれています
保釈金保証人のリッチー(イーライ・ウォラック)から依頼があれば
どこまでもおたずね者を追いかけ、ロスに連れ帰り警察に引き渡すのが仕事
ある日、ソーソンをストーカーするロッコと名乗る男から電話が入ります
刑期を終えた彼は、かって自分を捕えたソーソンを逆恨みしていました
ソーソンが次のターゲット、ブランチ兄弟をネブラスカで追う間も
ドディの勤める小学校に現れ彼女を脅します
なのに、ソーソンは爆弾魔ブランチ兄弟との逃走劇と逮捕でクタクタ
おまけに親友の警察官が自殺してしまったショックで
恐怖に陥っているドディを労わるどころか、父親になることさえ受け入れらません
ついに「中絶すりゃよかった」とまで吐き捨ててしまうのです
これは一生許せない一言(笑)
働く女性にとって、妊娠は簡単なようで意外に難しいもの
大人になり切れない男を好きになったと納得はしていても
ドディが怒って出ていくのは当然です
なのである意味ロッコがふたりの仲を修復したキューピット(笑)
ドディを連れ去り、教室の椅子に縛り付けソーソンを待ち受けます
ソーソンは理科室に逃げ込みガスの元栓を開き
ソーソンを追い詰めたロッコが発砲するとガスに引火し大爆発
間一髪脱出したソーソンは、産気づいてしまったドディを車に乗せ
大急ぎで病院に向かいます
彼女が車中で出産してしまい、思いもよらぬ立ち合い分娩(笑)
周囲に集まった人々から祝福の拍手を受け
MA1に包まれてくしゃみする赤ちゃんに「お大事に」にと呟き
満面の笑顔のストップモーション
素敵なシーンのはずなのに、思わず哀しくなって泣ける
さよなら、マック
そして出番は少ないけれど、相棒役の黒人少年が可愛い
「ルーツ 」(1977)のクンタ・キンテ役でブレイクした子なんですね
今では監督やプロデュース業でも成功しているそうです
【解説】allcinemaより
ラルフ・ソーソン、通称“パパ”は賞金稼ぎ。指名手配者を追っては西へ東への毎日だが、家に帰れば8年前から同棲していて、しかも今妊娠中の女教師ドティが待っていた。だが、ある日、彼に恨みを持つ何者かから脅迫電話が掛かってくる……。過去30年間に1万人もの犯罪者を牢に送り込んだという実在の賞金稼ぎ、ラルフ・ソーソンの実話を基にしたアクション映画。主演のマックィーンは、疾走するシカゴの地下鉄高架線のパンタグラフにぶら下がったり、トラクターとトランザムのチェイスを披露したり等のアクション・シーンはキチンと押さえながらも、仕事では厳しいが一旦家に帰ると人間臭い、いわゆるスーパーマン的ではないヒーロー像を人間味溢れる魅力で好演している。惜しくも彼の遺作となってしまった。