用心棒(1961)




オープニングで三船敏郎さんの後ろ姿が現れた瞬間、鳥肌が立ちました
タイトルバックには 撮影 宮川一夫 の文字

黒澤監督を宮川氏が撮ると、こうもクールな映像になるのか
そして村木与四郎氏の美術、絶対的な才能を堪能できます


これがアメリカもソ連もひれ伏した
黒澤映画の真骨頂


物語はいたってシンプル
権力闘争をしているある宿場町
どちらに肩入れするわけでもなく、ふたつの勢力をケンカをさせて
共倒れさせようと仕向ける腕の立つ流れ者の浪人

しかし情けで、百姓の妻を救出し百姓一家を逃がしたところ
その一家が感謝の気持ちをあらわしてなかなか逃げない
そのことがばれ、拷問されることになってしまうのです


それぞれの登場人物が存在感がありましたね
飯屋の黄門様、棺桶や、お調子者の酒屋
身長2m超の子分が目を引きます
マフラーを巻いたピストルバンバンな敵役
そして司葉子さんはマシだけど、ほかの女性は全員ブサイ・・





そして三十郎こと、三船敏郎さん
空っ風が吹いてひるがえる裾、砂ぼこり
尋常じゃないスピードの殺陣
彼の立ち振る舞いにいちいち痺れてしまいます





手首を咥えて運ぶ野良犬は
この作品が最初なのでしょうか
造形のあまりのリアルさに、黒澤監督はそばにも寄れなかったとか
(可愛いところもあるのね 笑)

ハード・ボイルドとコメディ部分のバランスもいいですし
楽しく、かっこよく、見やすい
ボディガード」の主人公のように何十回もは見ないと思いますが(笑)
何度見ても面白い、そんな傑作のひとつに違いありません



【解説】allcinemaより
やくざと元締めが対立するさびれた宿場町。そこへ一人の浪人者がやってくる。立ち寄った居酒屋のあるじに、早くこの町を出ていった方がいいと言われるが、その男は自分を用心棒として売り込み始める。やがて男をめぐって、二つの勢力は対立を深めていく……。ハメットの『血の収穫』を大胆に翻案、時代劇に西部劇の要素を取り込んだ娯楽活劇。後にマカロニウェスタン「荒野の用心棒」としてパクられた逸話はあまりにも有名である。桑畑三十郎が名前を変えて活躍する姉妹篇「椿三十郎」も製作されている。