LION/ライオン ~25年目のただいま~(2016)

 
ネット版「母をたずねて三千里
これがアカデミー作品賞でも良かったんじゃない?(笑)
 
 
5歳のサルーの魅力に、いきなり釘付けになります
愛らしい大きな瞳、純粋な笑顔、声まで可愛い
序盤から涙を誘います
 
サルーは「兄ちゃん」が大好きでしょうがない
兄も弟をとても可愛がります
ある日働きに出る兄についていくと駄々をこねるサルー
しかし駅で寝てしまい「待っているように」という言いつけも忘れ
兄を探して回送列車に乗ってしまいます
着いた場所は言葉も通じない大都会
 
インドの現実には唖然となってしまいます
幼い子どもを置いて働きに行かなければならない母親
子どもたちもまた学校には行かず労働し、盗みもする
 
言葉も多様で、これでは迷子や行方不明になってしまってもしょうがない
そんな多くの浮浪児を、人身売買組織や子ども誘拐団が狙います
 
もちろん良い大人もいて(カフェの男性)サルーは警察に保護され
オーストラリアの裕福な家庭の養子となるのです
サルーは優しい両親に懐き、穏やかな日々を送っていました
そこにマントッシュという、もうひとりの養子がやってきます
 
マントッシュはどのような悲惨な生活を送っていたのでしょうか
何か強いトラウマをもっているようで、社会に適応できません
それでもけなげな母親は、ふたりをとても愛し育てるのです
 
やがて成長したサルー
ある日、友人の家で赤い揚げ菓子を見たとき
突然過去の記憶が蘇えりました
実の母も兄も、きっと自分を探しているに違いない
 
 
 
それからというもの、取りつかれたように
Google Earthで故郷の場所を探すようになってしまいます
でもそれは愛する今の両親を裏切る行為なのではないかと
誰にも相談することができない
 
いつしか自分だけが不幸だと感じてくるサルー
子どもに恵まれなかったから自分が養子にされたのだと
富裕層の暮らしにさえ嫌気がさしてくる
(遅い反抗期だな)
 
でも違ったのです
母も幸せなだけの人生を送ってきた訳ではなかったのです
両親に反発ばかりしているマントッシュだって、本当は辛いのです
苦しんでいるのは自分だけではないことに気が付く
(遅い反抗期終了)
 
 
 
もう故郷を探すのはやめよう、そう決意した時
偶然にもGoogle Earthで、遠い記憶にある場所を見つけたのです
 
これが実話だなんて
 
 
お兄ちゃんが切なかったですね
きっと我も忘れ、必死に弟を探したのでしょう
しかも母親はその日、息子をふたりとも失ってしまったのです
私だったら気が狂ってしまうに違いない
 
 
ラストにはインドの母親と、育ての母親の
実際の対面シーンがありました
ふたりの母の息子を想う愛情の深さには
本当に胸を打たれます
 
そしてタイトルの意味が明かされます
故郷の地名だけでなく、自分の名前も記憶違いしていたなんて!
そうだよね、5歳の男の子ならまだちゃんと喋れないし、忘れちゃうよね
 
わかりやすい内容ですし、感動作だと思います
そして子ども時代のサルーの反則並みの可愛いらしさに
やられてしまいます
 
ハンカチのご用意を(笑)
 

 
【解説】allcinemaより
5歳の時に迷子になり、オーストラリア人夫婦の養子として育てられたインドの少年が、大人となりGoogle Earthを駆使して生家を見つけ出し、25年の時を経て実の家族との再会を果たした奇跡の実話を「スラムドッグ$ミリオネア」「奇蹟がくれた数式」のデヴ・パテル主演で映画化した感動ドラマ。共演はルーニー・マーラデヴィッド・ウェンハムニコール・キッドマン。監督は、これが長編デビューとなるオーストラリアの新鋭、ガース・デイヴィス。
 優しい養父母のもと、オーストラリアで何不自由なく育った青年サルー。友人や恋人にも恵まれ、幸せな日々を送る彼だったが、ひとつだけ誰にも言えない悲しい過去があった。インドの田舎町に生まれたサルーは5歳の時、不運が重なり兄とはぐれ、たったひとり回送列車に閉じ込められて、遥か遠くの街コルカタに運ばれてしまう。そして言葉も通じない大都会で過酷な放浪の末に、オーストラリア人夫婦に養子として引き取られたのだった。ある時、サルーの脳裏にこれまで押しとどめていたそんな少年時代の記憶が強烈によみがえる。インドの家族への思いが募り、わずかな記憶を頼りに、Google Earthで故郷の家を見つけ出すと決意するサルーだったが…。