愛と青春の旅だち(1982)




「士官はまず、紳士であるべきもの」(士官と紳士)が原題ということ
(公開当時は「愛と・・」の邦題が流行っていたようです)

J・コッカー&J・ウォーンズが歌う主題歌は好い
エンディングを飾る名曲のひとつですね

恵まれない子ども時代を過ごした海軍学生と
(少しは玉の輿に乗りたいと思っている、と私は思う)
町工場で働く乙女の恋物語

でもこの作品の本当の主人公は
ルイス・ゴセット・Jr演じる
フォーリー鬼軍曹に間違いありません
彼なくして、この作品が成り立ったでしょうか





ランニングしながらの歌の歌詞

アメリカ兵がどんな気持ちで
罪のない一般市民を空爆するのか

敵国に対して、あらゆる感情や人間らしさを
抹殺する軍人の現実がこの歌だけで
説得力があります

そして鬼軍曹の毒舌に
鍛えていない人間にとっては
ありえない厳しい特訓

だけど、彼の教官としてのやさしい部分も垣間見れるのです
本当は全員卒業させたいからしていること

たったひとりの女性候補
鬼軍曹は、フェミニストなのですね(笑)
できないことでも努力を認める寛容さ

それは、それぞれの個性を見抜かないとできない
職人技なのです
そして迎える、卒業式の名シーン
「私は下士官であります」と言い切るフォーリー軍曹

それは男らしさの見本
本当に強い人間でないとできないこと

しかし、ラストの「お姫様抱っこ」に
映画の感動がすべて持っていかれてしまいましたね(笑)

結局は「プリティー・ウーマン」や
「ノー・マーシイ/非情の愛」のように
ギア様の、乙女心胸キュン物語になってしまいました



【解説】allcinemaより
シアトルに住む青年ザック。彼は元兵士の不甲斐ない父と2人で暮らしていた。母はザックが幼い頃、父の不実が原因で自殺した。ある日、ザックはかねてからの夢だったパイロットになるため、父の反対を押し切って海軍士官養成学校に入学する。そして鬼軍曹フォーリーによる厳しい指導のもと、他の士官候補生たちと共に過酷な訓練を受け始めた。やがて数週間が経ち、公に骨休めすることを許可された候補生たちは地元の盛り場へ。そこでザックは、町工場で働く女性ポーラと出会い恋に落ちるのだが…。
 海軍士官学校の新入生と、町工場の娘とのロマンスを軸にし、日本でも大ヒットした青春映画。士官学校の厳しい訓練の描写は、教官であるL・ゴセット・Jrの好演(アカデミー助演男優賞受賞)もあって迫力あるものになっており、地元の女性がみんな玉の輿を狙って士官候補生に言い寄るくだりなどの興味深い描写が多い。中でも、主人公の親友が挫折の果てに自殺するシーンなどは胸に迫るものがある。ただ、そういった側面よりもラブ・ロマンスの方に偏ってしまうのは、こういう作品の常として仕方がないのだが、どうしても歯がゆくなる。だからこそ、若い女性のバイブル的作品になってしまっているのだろうが……。