恋する惑星(1994)


 
「その時、ふたりの距離は0.1ミリ
 57時間後、僕は彼女に恋をした」
 
 
この作品は私にとってメイベル・チャン監督の
「誰かがあなたを愛してる」と並ぶ
デートムービーとしておすすめの映画
 
思わず夜の街に出かけたくなる、恋したくなる
踊りたくなる、歌いたくなる
デートに誘いたくなる、そんな気持ちが蘇ります
 
昔見たときは、前編の金城武版は
なくてもいいのではないかと思ったのですが(笑)
今見るとこれは後半の導入部分に
必要な物語なのだとわかりました
 
いろいろな人種、汚れた路地や雑多感、犯罪
だけど素敵な都市、香港
カーウァイ監督はそんな雰囲気を彼の感性で
私たちに伝えているのです
 
そんな街の総菜屋さんで働く新入り女の子と
恋人に去られた警察官(トニー・レオン)が出逢います
 
ヒロインの不思議ちゃんな女の子
フェイウォンちゃんがいい
 
警察官の部屋に侵入し
元カノの残していったものを
こっそり自分アイテムに変えていくのです
 
失恋した傷心の男性というのは
部屋の中がこんなに変わっても
気が付かないものかとは思いましたが(笑)
 
でもかっての恋人のものがなくなることにより
気が付かないうちに失恋の痛みから回復したのでしょう
警察官はフェイウォンをデートに誘います
 
だけれど約束の時間になっても彼女は現れませんでした
だけれど封筒の中には洒落た手紙が入っていました
 
夢のカルフォルニアの場所はきっと
今ふたりがいるこの場所
この惣菜屋さんなのでしょう
 
雰囲気で見る映画だけど、わかりやすいのがいい
恋してる人、恋したい人にお薦めだと思います
 

【解説】allcinemaより
麻薬取引にかかわる金髪の女ディーラーと、恋人にふられ落ち込み気味の刑事モウとの不思議な出会い。そして、モウが立ち寄る小食店の新入り店員フェイと、スチュワーデスの恋人にふられる警官との出会いとすれ違いという、平行線をたどる二組の関係を軸にして展開する、香港ニューウェイブウォン・カーウァイ監督が描く恋愛映画。しかし本作はそこいらのよくある恋愛劇とは全然違う。幻想的な音楽とクールなモノローグ、そして映画全体に浸透している独特の香り--洗練された映像の中に主人公達の情熱的な心理描写をミックスさせ、今までにない新鮮さが作品いっぱいに広がっている。また、出演している主人公達がどの人物もとても魅力的で実に良い。特に新入り店員役のフェイ・ウォンがとってもキュートで素晴らしいの一言。それにしてもこの監督の映画はどの作品も、内容は勿論の事、劇中で使われている音楽のセンスが本当にイイ。本作でも幻想的な音楽からインド音楽まで様々な曲を大変効果的に使って、作品により深みを与えている。中でも、実際歌手として活動するフェイ・ウォンの“夢中人”が流れるシーンでは、彼女の淡い恋心と重なって実に印象的。なおこの作品は、これを観たクェンティン・タランティーノが狂喜し、彼の作った全米映画配給新レーベル“Rolling Thunder”の第一回配給作品に選ばれている。