ファニー・ガール(1968)

 
 
 
「食事はいいけど・・デザートには誰がなるの?」
 
 
 
 
 
ワイラー監督の唯一のミュージカル映画ということ。
 
ブロードウェイの伝説の喜劇女優、ファニー・ブライスの物語。
 
 
 
バーブラ・ストライサンドが映画デビュー作だと
 
思えないくらい貫録でした。笑
 
彼女のために作られた映画のようですね。
 
アカデミー主演女優賞も獲得しています。
 
 
 
美人でもないし、スタイルもよくない、ダンスもヘタクソ。
 
だけど熱意だけは誰にも負けない。
 
自分の才能を信じスターになることを夢見ています。
 
 
 
勝手な行動で舞台はメチャクチャにしてしまう
 
劇場のスタッフはそんなファニーにお手上げ。
 
だけれど彼女のコメディセンスは観客からは受け入れられました。
 
人気女優となっていきます。
 
 
 
でも今も昔も、こういう才能と実力のある女性って
 
口八丁なダメな男に惹かれちゃうのよね。笑
 
 
 
ニックは競馬やカード賭博で生計を立てている男。
 
でもファニーはニックに一目惚れ。
 
自分にはない洗練された、大人の香り。
 
でしゃばり女も彼の前でだけは本音を言えない
 
シャイな乙女になってしまうのです。
 
 
 
ふたりの関係も最初は良かった。
 
でもだんだんとニックは借金まみれになっていきます。
 
ファニーの初日にはカードに夢中になり約束をすっぽかす。
 
やがて横領で刑事事件を起こしてしまい投獄されます。
 
 
 
それでも愛している・・・
 
 
 
でもその愛は相手にとっては束縛だったのかも知れません。
 
「お願いだ、僕を君から解放してくれ」
 
そこまで言われてしまう・・
 
 
 
潔くニックに別れを告げたファニー。
 
そのあとの舞台で歌う「My Man」。
 
これがまた失恋した直後に見たなら号泣しそうな歌詞で。笑
 
 
 
作品もバーブラも酷評されているようですが
 
私は良かったと思います。
 
田舎娘から成長して成功するまで幅広い演技をしていますし
 
大スターがとても大スターらしく撮られているのではないでしょうか。
 
 
 
尺は長かったですね。
最初の序曲とか完全に飛ばしてしまいました。笑
 
本当のファニー・ブライスはニックとの別れの後、幸せになれたのかしら?
 
気になってしまいますね。
 
 
 

 
【解説】allcinemaより
20年代のジークフェルドのショウの大看板だったファニー・ブライスの伝記ミュージカル(作詞B・メリル、作曲J・スタイン)の映画化で、舞台同様バーブラが圧倒的な演技と唄で、彼女のワン・マン作品にしてみせた。実際、ドラマ部分に多少のデリケートさはあるが、名匠ワイラーを引っ張り出すまでもない脚本で、夫役のO・シャリフを始め、共演者はみなバーブラに精気を吸い取られてお飾りと化している。しかし、彼女の押しつけがましい程の熱唱は、歌だけ切り離すとかなりもたれるが、こうしてパフォーマンス付きで聴くと、有無を言わせぬカリスマ性で確かに人を引き込むのだ。
 “ショウ・ビジネスでは成功しない”という、ストラコシュおばさんの占いが見事に外れ、ファニーはジークフェルド氏(W・ピジョン)の舞台に立つようになる。その手引きをしてくれたのは、有名なギャンブラーのニック(シャリフ)だった。彼女は彼に恋をする。が、つれない放蕩児の彼が再びファニーに会ったのは一年後ボルチモアでのこと。競馬で持ち馬を出走させる彼は彼女に求婚するつもりでいたが大損し、面目ないのでこれから豪華客船に乗り込みポーカーで一稼ぎするつもり、と告げて立ち去る。ファニーは、すでに出港した客船をタグ・ボートで追いかけ自ら彼の胸に飛び込んで行く……。実をいうと物語的に面白いのはここまで。以下はお決まりの「スタア誕生」の後半の展開で、演出も締まらず、悲劇をポジティブなものに転化させるのはひたすらバーブラ頼み。歌唱で圧巻なのはやはり名曲“ピープル”。初めての愛を告白されて戸惑うファニーが恋に強く生きようと宣言する感動的な場面だ。彼女がジークフェルドの反対を押し切って、デビューのショウでの自分の出番をコミカルに変えてしまう“花嫁の唄”は愉快。ステージ場面の演出は続編「ファニー・レディ」を監督するH・ロスで、彼好みのバレエなど採り入れているが今一つ気分が出ていない。