マダムと泥棒(1955)





展開がコーエン兄弟っぽいな、と思ったら
なんと2004年に「レディ・キラーズ」というタイトルで
コーエン兄弟がリメイクしているんですね。

彼らの作風はこのイーリングコメディ
(イギリスのイーリング・スタジオで50年代中心に撮影された喜劇映画)
と呼ばれる作品に影響を受けたのでしょうか。

画像はホラーっぽいのですが。笑
主演のおばあちゃんは上品でおせっかいで天然で
かなり可愛い。
こんな魅力的なお年寄りになりたいものです。

独り暮らしのおばあちゃんの家に間借りした教授と呼ばれる男。
彼は友人らと音楽をやっており、弦楽五重奏団を組んでいるといいます。
しかし本当の姿は強盗団。
練習だと言っては現金輸送車強奪作戦を計画しています。
しかもおばあちゃんを運び屋にするというのです。

でもおマヌケでおバカな強盗団。
どんどんボロが出てきます。
ドジをして結局はおばあちゃんに泥棒がバレてしまいます。
もうこれは誘拐するしかない、殺すしかない・・

でもこんなキュートなおばあちゃん誰にも殺せない!
そのうえおばあちゃんの友だちのおばあちゃんまで何人も・・!

逃げるオウムに食い意地のはった馬
長いマフラーに、玄関に挟まれる楽器のケースの紐
動物や小物の使い方は面白いですね。

冒頭の警察での会話から、随所に伏線が込められていて
本当によく練られていて憎い脚本。
ついには泥棒の言っていたことが
すべて真実になって通じてしまうのですから。

話しの辻褄合わせがとにかくうまい。

ものすごく笑えるというようなコメディではありませんでしたが
ケイティ・ジョンソンのおばあちゃんと
教授のアレック・ギネスの怪演に
お気に入りということで。



【解説】allcinemaより
老婦人が営む下宿に五人の男たちが部屋を借りる。彼らは楽団員でここで練習をさせてほしいというが、実は現金輸送車を狙う強盗団だった。お節介な老婦人に邪魔されながらも彼らは計画を練り、ついに実行に移すが……。
 英国の芸達者を集めて作ったコメディで、個性的などという言葉が軽すぎるくらいの曲者俳優がぶつかり合う傑作。主要人物がすべてボケとツッコミを兼ね備えたような人物ばかりで、昔の作品だからのんびりとした笑いに満ち溢れた映画かと思って油断していると強烈な一撃を食らうことになる。P・セラーズとH・ロムの顔合わせはその後「ピンク・パンサー」シリーズへと引き継がれてゆくのだが、この作品がなかったらあの傑作シリーズも生まれていなかったに違いない