タイタニック(1997)




「女って、海のように秘密を持っているの・・」


ジェームズ・ホーナーさんを偲ぶ】

飛行機事故によるジェームズ・ホーナーさんの訃報が報じられました。
たくさんの映画で素晴らしい名曲を生み出している作曲家としてあまりにも有名。
あのサウンドをもう聴けないと思うと残念でなりません。

誰もが聴いたジェームズ・ホーナーさんの曲といえば
やはり「タイタニック」だと思います。

タイタニック」といえば
ドラマあり、恋愛あり、パニックあり、海洋ロマンあり・・
そして素晴らしい音楽がある。
多くの人々を魅了した壮大なスケールの作品でした。

その魅力に、たとえ映画に興味がない方でも思わず引き込まれてしまう
映画を好きになるきっかけナンバーワンにあげてもいい作品ではないでしょうか。

もう語ることのないくらいの人気作品でありますが。笑
私が最も感動したシーンは、画像にもある
老夫婦が静かに客室で死を待つシーンです。

甲板では生き延びるために人々が騒然としています。
その中、ベッドで静かに佇むふたり。

実在した夫婦なのだそうですね。
陶器販売で成功後、アメリカで有名な百貨店、メーシーズ(Macy's)の経営者。
妻を必死に救命ボートに乗せようとする夫、だけど妻は断ります。
共に生きてきたように共に死にましょう・・
代わりに家政婦を救命ボートに乗せるのです。

弦楽隊の存在もよかったです。
最後の最後まで美しいメロディーを奏でます。
ついに船が傾き演奏できなくなったとき
「我々もそろそろ・・」と避難するのです。

乗客のために祈り続けた神父。
自殺してしまった一等航海士。
船とともに運命を遂げる船長・・
それぞれの責任の遂げかたにも感慨深いものがありました。

物語の軸は、画家志望の貧しいけれど夢に溢れた青年ジャックと
借金まみれのため、身分は高いけれど親のいいつけで
政略結婚をしなければならないお嬢様ローズの恋物語にあります。

タイタニック号で知りあった自由奔放なジャックに
ローズは次第に惹かれていきます。
しかしローズの婚約者キャルドンはふたりの関係を知り
ジャックを陥れようとするのです。

キャルもまたローズを愛していたのです。
何でもローズに与えたかった、助けたかった。
でもローズが欲しかったものはただひとつ、自由だったのでしょう。
身分でもお金でもない、自分で考え行動したかった。

ジャックは自由でいつも前向き、そして笑っていました。
ローズの求めていたものが、そこにあったのです。

成金女のモーリーも良かったですね。
「自分も金鉱を持っていると思えばいい」
そうです、なにより必要なのは自信なのです。

何はともあれ、20世紀最後の大作だと思います。



たくさんの映画音楽を、素敵な曲を
届けてくれてありがとうございます。
ホーナーさん、安らかに。



【解説】allcinemaより
ターミネーター」シリーズのジェームズ・キャメロンが、これまでも数々の映画の題材となってきた史上最大の海難事故にラブストーリーをからめて描き出したスペクタクル・ロマン超大作。
 1912年、イギリスのサウザンプトン港から豪華客船タイタニックが処女航海に出発した。新天地アメリカに夢を抱く画家志望の青年ジャックは上流階級の娘ローズと運命的な出会いを果たし、二人は互いに惹かれ合う。そこにはローズの婚約者である資産家キャルや、保守的なローズの母親などの障害が横たわるが、若い二人はそれを超えて強い絆で結ばれていく。しかし、航海半ばの4月14日、タイタニック号は氷山と接触。船は刻一刻とその巨体を冷たい海の中へと沈め始めていた……。
 ほぼ実物大のタイタニックを建造したり、実際に沈んでいるタイタニックの撮影のために機材を開発したりと、総製作費2億ドルの名に恥じない堂々たる大作ぶりで、美術やCGをはじめとしてその絵作りの豪華さには圧倒されてやまない。3時間を超える長尺を一瞬たりとも飽きさせないキャメロンの演出も相変わらずの達者ぶりで、見応えのある作品になっている。ただ、肝心要のジャックとローズの恋愛話が型通りすぎて一本調子になっているのが惜しい。これは彼らをとりまく人々の描写が薄い事も起因しているのだが、その結果、なぜかくも二人が運命を乗り越えてまで結ばれようとしたのかという部分に説得力を持たせきれないまま終わってしまっているのだ。これで充分という人もいるだろうが、ドラマの厚みとしてはもう一工夫あって然るべきであった。ただ年老いたローズをメインに持ってきて回想形式(この辺のスイッチング処理はお見事)にした事は大正解で、演ずるG・スチュアートの存在感と相まって、作品に深みを持たせている。とにもかくにも、アカデミーを総嘗めにし、興業記録もことごとく塗り替えた歴史的作品である事は間違いない。それにしても、必要以上に強いヒロインというキャメロン作品のお約束事は、ここでもしっかり守られている。