犬神家の一族(1976)


 
 
(この画像以外ないのかなあ?笑)
 
犬神家の一族」、何十年かぶりに鑑賞しましたが
改めて見てみると、とても面白い作品でした。
 
オープニングのタイトル(文字の表記)に、大野雄二さんの音楽
出だしからとてもいい。
 
映画史にも人々の記憶にも残る名場面がたくさんあります。
スケキヨの白いマスク、黒い火傷の顔。
菊人形の生首。
天窓からのぞき込む屋根の上の死体。
湖に浮かぶ逆さ死体。
島田陽子さんの見えなさそうで見えてしまう胸。
高峰三枝子さんが顔にあびる鮮血。
 
市川組の長田千鶴子さんの編集の素晴らしさでしょう
見せ方が絶妙です。
 
カメラもいいのです。
暗い長い廊下の不気味な屋敷。
亡霊のように後ろに立つ人。
金田一が頭を掻くと、大量のフケがポロポロ・・・
いろんな意味でびっくりして、思わず声をあげそうになる
凝った映像テクニックが堪能出来ます。
 
大女優、高峰三枝子さんがやはり素晴らしい。
業の強さ、子を思う母親の情、見事に演じていました。
特にスケキヨの手形が合致したときの、勝ち誇った顔にはぞくっとします。
 
「何が一番美味しかったですか?」
「生卵」
「まぁ、ヒドい!」
金田一と旅館の若い女中のコミカルなやりとりもいい。
猟奇的連続殺人の緊張から、ときどき解きほぐしてくれます。
 
記憶に残る映画というのは、やはり名作だと思います。
怪奇的なムードの中に、ほのぼのとしたシーンもちりばめられ
邦画サイコホラーの傑作なのではないでしょうか。
 
 

 
【解説】allcinemaより
角川書店が映画製作に乗り出した“角川映画”の第1回作品。旧家の名士犬神佐兵衛の遺言状が公開されるが、莫大な遺産の相続者は佐兵衛の恩師の孫娘である野々宮珠世と結婚した者と記されていた。佐兵衛の孫にあたる3人の男はそれぞれ珠世を我が物にしようと企むのだが、やがてそれは呪われた殺人事件へと変貌していく。事件解決の依頼を受けた名探偵・金田一耕助は犬神家に関わるすべての人々の調査を開始するのだが、殺人事件はまだ終わらなかった……。横溝正史の原作を市川崑がモダンなタッチで仕上げたミステリの好編で、菊田一夫をモデルにしたと言われる金田一耕助の名探偵像も、石坂浩二のひょうひょうとした演技により人気を集めた。好評につきシリーズ化され、4本の金田一ものが製作された。