病院坂の首縊りの家(1979 昭和54)

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市川崑×石坂浩二金田一シリーズ(リメイク版除く)最後の作品

例のごとく犯人は大物女優、配役でわかってしまうけれど (笑)

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パスポート写真を撮るため、古びた写真館を訪れた金田一石坂浩二)は

病院坂にある廃墟になった病院の廃屋の別邸で

婚礼写真を撮ってほしいと、美しすぎる娘(桜田淳子)から

  頼まれた写真館の若主人(清水紘治)と

アルバイト黙太郎 (草刈正雄)と共に現場に向かうのですが

そこにあったのは天井からぶら下がった新郎(あおい輝彦)の生首でした

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今回は「よーし、わかった!」 でお馴染みの等々力警部に加え

ちょっと三枚目な草刈正雄金田一に代わり推理を働かせ

随分活躍します(笑)

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70年代アイドルの桜田淳子市川崑のホラー感とマッチしていて

まだ演技は未熟だけど、意外といい

女優業に専念したら映画で成功していたかも

宗教にハマって専業主婦になったのがもったいない

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五十嵐家と法眼家をめぐる正妻、妾、愛人の子、母、娘、孤児

弥生(佐久間良子)好きな人と結ばれず、政略結婚の為法眼家へ嫁がされます

そこにはまだ15歳だった弥生が養父五十嵐猛蔵の性の道具にされ

その行為を猛蔵は、写真館の主人(小沢栄太郎 に命じて

写真に撮らせていたという過去がありました

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その1枚の写真を巡って繰り返される殺人
風鈴によって解き明かされる真実

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たとえ写真はなくなっても、過去は消えないと気づいた時
弥生は三之介 小林昭二 )の人力車で病院坂を下っていきます

ここは美しく切ない余韻を残すラストシーン

警部が最後、写真についてとぼけるところもぐっとくる

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のはずが

ヒッチコックになりたい?)冒頭にも登場した横溝正史が再び登場

まさかの失笑で終わったのは、はたして良かったのか

悪かったのか(笑)

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【解説とあらすじ】KINENOTEより

病院坂の首縊りの家」と呼ばれる廃屋での連続殺人事件を解決する金田一耕助の最後にして最大の事件を描く。東宝石坂浩二の“金田一”シリーズの五作目にあたるもので、脚本は「女王蜂(1978)」の日高真也と同作の久里子亭の共同執筆、監督は「火の鳥(1978)」の市川崑、撮影も同作の長谷川清がそれぞれ担当。

昭和二十六年、渡米を控えた金田一耕肋は久しぶりに昔馴染の老推理作家を訪ねると、パスポート用の写真屋を紹介される。本條写真館を訪ねた金田一は、そこで、経営者の徳兵衛から、最近、誰かに狙らわれているようなので、調べて欲しいとの調査依頼を受ける。その夕、ある少女が結婚写真の撮影依頼に来た。徳兵衛の息子、直吉が撮影に案内された所は、何と、首縊りの家と呼ばれる明治から終戦直前まで繁栄した法眼病院跡だった。終戦の翌年に山内冬子という女性がこの家で縊死したのがその名の由来である。直吉はそこで、依頼に来た少女と瓜二つの花嫁とある男の写真を撮った。翌晩、また写真を撮って欲しいと同じ少女の声で電話が入り、本條父子、弟子の黙太郎、金田一が撮影現場に行くと、天井から花婿になった男の生首が縊られていた。そして、黙太郎が暗がりから逃げようとしたジャズ・コンボのギタリスト・吉沢平次を捕えた。現像された写真を見た徳兵衛は、花嫁が法眼家の娘・由香利と酷似しているのに驚く。「生首風鈴殺人事件」捜査本部が設置され、等々力警部は家主、法眼弥生、由香利、五十嵐滋、田辺光枝、死体発見者の四人、容疑者の吉沢を集めた。吉沢は花婿、花嫁は血のつながりのない山内敏男、小雪兄妹で、街はづれの空きガレージに往んでいると証言した。やがて金田一は、敏男と小雪終戦直後に縊死した冬子の遺児であることをつきとめた。捜査本部へ小雪から遺書が届いた。「血のつながりのない兄との結婚を断ったことから争ううち、兄を刺してしまい、息絶える寸前、母を不幸な死に追い込んだ法眼家への復讐の念を燃やす兄は、自分の首を母が死んだ場所に吊るすことを遺言した。私はそれを実行し、母、兄の許に旅立つ……」といった内容だった。だが、金田一の推理通りその遺書から小雪の指紋は発見されなかった。数日後、徳兵衛が殺された。続いて、吉沢も殺された。金田一は黙太郎の協力で、法眼、五十嵐一族の複雑な系譜と恐怖の事実を発見した。弥生は十五歳のとき、母千鶴の再婚した夫、五十嵐猛蔵に犯され、子供を産んだ。猛蔵は犯している姿を、法眼家に出入りしている写真屋、徳兵衛に写真に撮らせた。そして、産んだ子は、すぐに里子に出され、冬子と名付けられるが、偶然にも、後に弥生の夫、琢也の愛人となった。弥生と琢也の間に由香利、冬子と琢也の間に小雪が産まれたのである。そして、小雪と兄の敏男は、母の復讐のために、由香利を誘拐して強制的に結婚写真を撮ったのだが、誤って由香利を殺してしまう。敏男はガラス片で自分の喉を刺して自殺を企り、小雪に首を切って法眼病院に縊るように告げて息絶えた。一人になった小雪は弥生に電話をして、由香利を殺したこと、母の冬子が弥生の娘であることを話す。最初は取乱した弥生も、小雪があまりにも自分の境遇に似ていることに同情し、彼女を由香利にすり替えることにした。そして、二人で敏男の首を縊ったのである。一方、徳兵衛は、終戦直後から、猛蔵に犯される十五歳の弥生の姿のあの写真(彼女を強請り続けていた。徳兵衛は忍耐しきれなくなった弥生に殺されたのだ。吉沢も、由香利と小雪がすり替ったことを知ってしまったために弥生に殺された。金田一が事件の謎解きを終えると、法眼家の屋根裏にひっそりと住んでいた弥生の老母、千鶴が息をひき取ったと車夫の三之助が伝えに来た。等々力警部一同は屋根裏部屋にかけ上がった。老母の周囲に集まった一同の中に、弥生の姿がなかった。弥生を捜す等々力警部と刑事たち。庭に出た金田一は、徳兵衛の暗室で見つけた写真のガラス製のカン板を石に落として割るのだった。一方、弥生は車夫の三之肋の引く車で法眼病院跡に向かった。そして、病院跡に着いて、三之助が、車のシートを開くと、舌を噛んでうっすらと血を流す弥生の姿があった……。