シラノ・ド・ベルジュラック(1990)


 
 
 
「私の手紙は口づけ、あなたは唇で手紙を読むのだから・・」
 
ジェラール・ドパルデューの演技に陶酔した忘れられない作品。
同じ映画を何度も観る方ではありませんが
この作品は再び鑑賞したかった作品のひとつです。
 
剣の達人であり、頭がよく雄弁。まさしく文武両道の誇り高き男
しかし彼は、大きな鼻の醜い顔がコンプレックス。
そのために、好きな女性に愛を告白することが出来ません。
彼は美青年のクリスチャン(ヴァンサン・ペレーズになりすまし
愛するロクサーヌ(アンヌ・ブロシェ)に、恋文を送り続けます。
 
「君を愛している、君への愛で息が詰まる」
「君の全てを覚えている、君の全てを愛してきた・・・」
 
愛する女性への思いの丈を、詩にしての告白。
降りそそぐようなロマンチックな愛の言葉には、もうドキドキ。
まさしく、ロクサーヌのセリフのごとく
「愛の言葉が太陽のようで、服従したくなる・・」気分に。
 
クリスチャンはロクサーヌが愛しているのは、自分でなくシラノの言葉だったと知ってしまいます。
しかしクリスチャンは、そのことをロクサーヌに伝えることができないまま
戦場で死んでしまいます。
シラノの愛の手紙も、そこで終わり。
それぞれの想いは、それぞれの胸の内へとしまわれ
そして年月が過ぎていきます。
 
「その陶酔は私のせい・・」
 
まるで、美しい 装丁の詩集をめくるような気分。
フランス映画らしい、心の琴線を撫でるような愛の呟きに酔える作品でした。
 
とってもとってもロマンチック。
お気に入りです。
 

 
【あらすじ】allcinemaより
エドモン・ロスタンが生み出した永遠の“愛に殉ずる男”シラノ・ド・ベルジュラックの映画化。詩の才に秀で、剣は一流、その上哲学者でもあるシラノの唯一のコンプレックスは巨大な鼻。彼はロクサーヌという女性を心の底から愛していたが、そのコンプレックスゆえに打ち明けられないでいた。そんな彼の心の内を知らない彼女はある日、別の人に恋をして苦しんでいることをシラノに相談する。しかしその相手から女性にオクテだと逆に相談されたシラノは、2人の為に詩才を生かし彼の名でラブレターの代筆を始める……。時代を越えて世界中の人々に愛され続ける純愛小説の名作を見事に映画化。主演のジェラール・ドパルデューの名演が光る作品です。