愛しのロクサーヌ(1987)





の脚本はかなりいい出来だと思います
16世紀の剣豪をアメリカでは男の子の憧れの職業
消防署長にしたというのもうまい

オリジナルに忠実ながらも、笑いあり、適度な下ネタあり()
スティーブ・マーティンフットワークの軽さも良し


ワシントン州の平和な町ネルソン
CD・ベイラズ(スティーヴ・マーティン)消防団長として誠実な仕事で
人々から愛され信頼されていました
ただその大きな鼻のことを話題にされたときだけは
思わずキレてしまうのです

ある日、家から閉め出された裸の美女が
カギを開けて欲しいと消防署にやってきました
彼女の名前はロクサーヌダリル・ハンナ
彗星の観測のためこの町にやってきたのです
(「スプラッシュ」(1984)でも冒頭から裸だったなあ)



CDは聡明なロクサーヌをすぐに好きになります
しかし鼻がコンプレックスで打ち明けられません
そのうえ部下のイケメン消防士、クリスとの恋仲を手紙で取り持ってやります
だけどこのクリス、実はあがり症なオマヌケだったのです

消防士たちの訓練とか、ギャグとか、ドリフみたいで()
ちょっと古臭いですけれど、ユルくて和みます


CDが書いたとも知らずに、クリスからの手紙に
すっかり夢中になるロクサーヌ
クリスと結ばれますが何か違和感を覚えます

一方のクリスもインテリな愛の言葉を求めるロクサーヌよりも
バーで知り合った気さくな女の子の方に惹かれてしまうのです



見かねたCDロクサーヌの共通の友人である
ディクシー(「シャイニング」の奥さん)は
手紙の主はCDだとロクサーヌに教えるのです


いやあね、本当に殿方諸君
女性のちょっとした変化に気が付く
その人の長所を見つけて褒めてあげる
時にはロマンティックな言葉をかけるのは大切ですよ

クリスの女性にモテるけれど、女性とうまく話せない
女性コンプレックスというキャラも嫌いでないですけれど()



最後まで恋心を隠し続けたジェラール・ドパルデュー
シラノ・ド・ベルジュラック」(1990)は私の「お気に入り」

でも鼻がじゃましてなかなかキスできない
ハッピー・エンドなこちらのラストも
可愛らしくていいなと思いました

派手さはありませんが
ヒューマンチックな作品が好きな方には
きっと向いていると思います



【解説】allcinemaより
シラノ・ド・ベルジュラック』の純愛を80年代末のアメリカに再現したロマンチック・コメディで、バリー・レヴィンソンなどと並んでハリウッドの新伝承派と呼びたいF・スケピシが、いかにも彼の持ち味の軽妙さとおおらかさの入り交じった語り口で魅せ、時に饒舌に過ぎるS・マーティンの一人突っ込み一人ボケギャグを適度に和らげ、甘いムードの醸成に成功している。また、マーチンのシラノ(役名はC・D)を、アメリカ少年の憧れの職業で社会的地位も意外と高い消防団長としたのも、原作の騎士道精神を活かす格好の設定だ。しかし、巨大な鼻を持つ自らの容貌に悩み恋路を親友に譲るというコンプレックスの固まり男は、正にW・アレン以上の自虐ギャグの天才、マーティンには打ってつけの役だ。魅力的なヒロインにはD・ハンナが扮する