東京五人男(1945)


 
 
終戦3ヶ月後に撮影を開始し、
翌年1月に公開された斎藤寅次郎監督による風刺コメディ。
 
東京大空襲の後の、地平線まで続く焼け野原には唖然とするばかりでした。
画面から焦げ臭さが漂ってくるような衝撃。
がれきの山と、汚いバラック
なにもない東京を、日比谷行きの電車が走ります。
 
この作品、現在は貴重な戦争資料として扱われているそうです。
 
主演するのは、当時人気コメディアンだったという
食うや食わずの生活ですが、疎開先から子ども達も帰ってきて
歌ありコントありで、逞しく生活してゆくのです。
 
そんななか、工場の社長や、金持ちの連中は
物資を横流ししたり、キャバレーを立てて金儲けをしようと、
悪だくみを考えていました。
 
そこにやってきた大型台風。
物資が水浸しになり流されてしまう・・・
困った社長は5人男に救いを求めるのです。
 
 
終戦直後に、喜劇を撮影するなんて
斎藤寅次郎監督って凄いな、の一言です。
 
終戦後初めてのお正月映画。
きっと、多くの日本人に元気を与えたかったのではないでしょうか。
そんな監督の思いが伝わってくるようでした。
 

【あらすじ】goo映画より
横山、藤木、古川、北村、石田の五人は徴用工として東京から遠い軍需工場で働いていたが、終戦と共に焦土と化した東京へ帰って来た。彼等の家は罹災し家族は壕舎生活をしている。そして東京は闇の横行と飢餓と失業の中に喘いで人心は荒んでいた。五人の男は互いに力を合わせ東京復興に努力しようと誓い、前の職場へ帰って行った。