好人好日(1961)


 
 
数学者の尾関等(笠智衆)は数学の事以外何一つしない超変人。
 
結婚を控えた娘の登紀子(岩下志麻)は
「私はその人と結婚して幸せになれるでしょうか?」
「父は数学は人間の心の表現と言いますけど、数学で私の心が分かりますか?」
と、東大寺に行っては大仏に自分の悩みを打ち明けます。
 
若かりき日の岩下志麻さんが、とてもキュート。
当時はたぶん本人でさえ、自分が「鬼畜」や「極道の妻」になるなんて
想像がつかなかったでしょうね。笑
 
また奈良の大仏は、現在は取材できないことで有名らしく
この映像はかなり貴重なんだそうです。
 
とにかく、晴れの日でも長靴をしかも左右逆に履いたり
煙草の吸殻を撒き散らしたり、犬に羊羹をあたえたりと
奇行で変わり者の父親なので、娘の縁談が破談になったらどうしようと
妻の節子(淡島千景)や周りの人間は心配。
 
しかし、文化勲章を授賞することになり事態は一変。
今まで尾関の事を変人と馬鹿にしていた周囲の人々は、彼を英雄扱いするのです。
 
好人好日(よしとこうじつ )とは
「良い人と過ごす日々は、毎日が良い日」という意味なんだそうです。
 
「お前も歳をとったなア・・・」
「そうですか」
「ありがとう、よくやってくれた。ありがとう・・。
ああ、今日はいい日だ。こんないい日って二度とありませんよ」
 
偏屈で頑固な尾関。
だけれど、妻にへの愛情と、娘に対する思いやりは、
誰にも負けないくらい本物なのです。
たとえぶっきらぼうでも、本物のやさしさだからこそ、
心に染みる言葉なのかもしれません。
 

【あらすじ】goo映画より
奈良の大学の数学教授である尾関は、こと数学にかけては世界的な学者だが、数学以外のことは全く無関心で、とかく奇行奇癖が多く世間では変人で通っている。妻の節子はこんな尾関につれ添って三十年。コボしながらも彼を尊敬し貧乏世帯をやりくりしてきたのである。娘の登紀子は市役所に勤めていて、同じ職場の佐竹竜二と縁談がある。二人は好きあっているし節子もこの縁談を喜んでいる。ただ竜二の家は飛鳥堂という墨屋の老舗で、竜二の姉美津子はお徳婆さまに気に入るように色々と格式にこだわるのだ。それに登紀子は両親の顔をおぼえぬ戦災孤児で、尾関に拾われ今日まで実の娘と同様に育てられてきたのだった。