望郷(1937)


 
 
作品の舞台、アルジェのカスバは今は世界遺産のひとつなんですね。
行ってみたいです、階段の登り降りはきつそうですが。笑
 
パリ生まれの前科15犯、強奪33件、銀行強盗2件で
警察から追われるギャングペペ・ル・モコは
アルジェ女のイネスに、カスパの町でかくまわれています。
 
ある日旅行でカスパに訪れた、初老の男とギャビーという謎の女。
宝石で身を飾った美しいギャビーに
ペペはひと目で恋に落ちてしまいます。
そしてギャビーを追って、カスパから出てしまうのです。
 
そのペペを追うスリマン刑事(リュカ・グリドゥ)が
やり手の曲者で雰囲気は十分。
私的に助演男優賞ですね。笑
 
好きなシーンは
ギャビーが一度男に返した宝石を再び身につけるところ。
そしてペペが死んだと聞いて
さっさと男と船でパリに帰るのもいい。
ギャビーはチカラのある男に寄り添うそんな女。
愛と現実とは別なのでしょう。
 
一方のイネスは愛に生きる女なのでしょう。
嫉妬深く、なんとしてもペペと別れたくない。
そのために警察に密告をしてしまいます。
 
波止場までペペを追いかけてきたイネスは叫び
「ペペ、許して・・」と崩れてしまう。
 「ギャビー!」と叫ぶラストシーンがあまりにも有名ですが、
イネスが自分のしたことを後悔する姿のほうが
私はジーンときました。
 
彼女はただ、愛する人を取り戻したかった
それだけなのです。
 

【解説】allcinemaより
パリを逃れ潜伏するペペ・ル・モコ(ギャバン)は、懐かしの町の匂いを身に纏う女ギャビー(M・バラン)にぞっこんとなり、甘い逢瀬を重ねる。いよいよ女の去る日が来て、慎重な男であったのに、軽率にも彼女を追って波止場に現れ、警察に捕まる。そして、最早、女と再会の叶わぬのを悟り、自ら脇腹をナイフで突いて死ぬ。女との別れの間際“ギャビー”と叫ぶ声が船の汽笛にかき消える・・