鉄道員(1958)


 
 
 
サンドロ少年がとにかく可愛い。
映画の中で、本当に暖かい日差しのような存在です。
 
気難しい父親も、失業中で不良の兄も、男性問題を抱えた姉も
この末っ子だけには甘い・・その気持ちがよくわかります。
 
そう、どんなに落ちぶれてダメな自分でも、愛していてくれるから。
サンドロはどんなときでも味方なのです。
 
機関士仲間のリベラーニとか、酒場のウーゴなど脇役も良かったですね。
言葉が少なくても人情が感じられます。
 
 母親のサラがサンドロに言うセリフは辛いです。
 「一緒に住んでいても、ろくに話もしないとお互いの気持ちが通わず、
ちょっとしたことでいがみ合うのよ」
「ちょっと話せば済むことなのに・・」
「家族がみんなバラバラなのよ」
 
「泣いちゃいやだ!」
母親を抱くサンドロ・・
(くっすん)
 
 子どもは親の所有物じゃないのに、ついつい親は思い通りにしようとします。
もちろん、わが子の事を思ってですが。
でも、それがかえって親子の溝になることは
どこの家庭にでもありえるのではないでしょうか。
そして、家族の間の傷は
他人とのそれより修復が難しいものなのかもしれません。
 
 
ラスト、父親のアンドレアは家族の愛と、仲間の人情に包まれます。
頑固で気難しい男だったけど
ただひたすら機関士として働いたことへの
神様からのご褒美だったのかも知れません。
 

【解説】allcinemaより
50歳のクリスマスを迎えたイタリアの鉄道機関士アンドレア・マルコッチは、末っ子のサンドロから英雄のように慕われていたが、長女のジュリアと長男のマルチェロからは、その厳格さや律儀で一徹な態度から敬遠されていた。しかしそんな彼らもやさしく献身的な母サーラがいるおかげで毎日平穏に暮らしていた。そんなある日、娘の流産や息子の不良化に気を病んでいたアンドレアが列車を運転していた所、彼の前に一人の若者が身を投げた。急いでブレーキをかけたアンドレアだったが、間に合わずにその青年を轢いてしまう…