イースタン・プロミス(2007)

原題は「Eastern Promises」(東方の約束)

ここでの"Eastern"とは(イギリスから見た)東欧のことで

特にロシアのこと (監督談)

 

登場する「vory v zakone (ヴォーリー・V・ザコン) 」は

ロシア語のスラングから派生した「法に反対する泥棒」という意味の

実在するロシアン・マフィア

メンバーはロシア人だけでなく

ウクライナジョージアアルメニアアゼルバイジャン

キルギスタンウズベキスタン チェチェン・・・など多民族にわたり

ロシア革命(1917)以前の山賊などの犯罪者がギャング化したというもの

 

リーアム・ニーソンの「96時間」(2008)でも描かれていますが

東欧マフィアの残虐さは、犯罪者からも恐れられるほどで

幼く美しい少女を資源(外貨獲得)として誘拐し、薬漬けにして人身売買

なんと1年間に10数万人の少女たちが餌食になっているそうです

クリスマス間近のロンドンの病院に妊婦の少女が緊急搬送され

出産後少女は死んでしまいますが

少女の持ち物から日記を見つけ助産師のアンナ(ナオミ・ワッツ)は

赤ちゃんを少女の家族に届けるため身元を調べようとします

同居している叔父ステパンは、自称元KGB

アンナはロシア語で書かれた日記の翻訳を頼み

赤ちゃんの父親を捜すべく日記に挟まれていたカードを頼りに

ドン・セミアン(アーミン・ミューラー=スタール) の

経営するレストランを訪ねます

セミアンは少女のことは記憶にないが、一応調べてみるので

日記を見たいとむと、アンナは持ってきたコピーを渡し

帰ろうとしたとき、乗ってきたバイクが故障していました

そこでドン・セミアンのおバカでゲイの愛息キリル(バンサン・カッセル) の運転手

ニコライ(ヴィゴ・モーテンセン)がアンナを家まで送ることにします

翌日アンナがバイクを取りに行くと、ニコライはバイクの修理を済ませていました

知的で紳士的なニコライにアンナは好意を抱きます

一方で少女の日記を翻訳した伯父は

少女の名前がタチアナであること

14才で誘拐され、レイプされ妊娠したこと

危険だからこれ以上知らないほうがいいと忠告します

その直後、伯父は行方不明になってしまいます

マフィアはアンナの勤め先の病院にまで

日記帳を渡せしにきました

アンナは少女の住所を教えることを条件に日記を渡すことにします

受け渡しに現れたのはニコライでした

彼は少女の「住所は知らない

このことは忘れたほうがいいと言います

そうしてニコライは、キリルのせいで死んだ遺体を始末したり

売春宿でゲイでないこと(ゲイとしてキリルに近づいたのではない)ことを証明し

キリルとドン・セミアンの信頼を勝ち取り

ロシアン・マフィアの証である「星の印」(入れ墨)の洗礼を受けます

しかしそれは、キリルが殺したチェチェン人の仲間に

キリルが命を狙われている事を知ったドン・セミアンが

ニコライをキリルの替え玉として差し出すためでした

公衆浴場のサウナで2人の男に襲われるニコライ

見えるか見えないかギリギリの(でもちょっと見える 笑)

ヴィゴさま素っ裸で本気の格闘シーン

ピーター・サシツキーはこういうのも撮れちゃうのね

ニコライは重傷を負いアンナの務める病院に運ばれ

目覚めたニコライに、伯父の行方を尋ねるアンナ

 

スコットランドのホテルにいる」

ニコライはドン・セミアンにステパンを殺せと命令されましたが

(自分の特権を使い)彼を逃がしたのです

ニコライはイギリスから認定を受けた、ロシア連邦保安庁(FSB)の

潜入捜査官でした

日記には、ドン・セミアンが(ゲイである)息子キリルに

誘拐した少女をレイプするように命令したこと

キリルどうしても少女とセックスすることが出来ず

ドン・セミアンによって息子の目の前で少女が犯されたこと

その後避妊薬を飲まされ、売春婦として働かされたが

すでにドン・セミアンの子を妊娠していたことが

書かれていたとアンナに教えます

そしてドン・セミアンのレイプを立件するため

ニコライは格闘によりドン・セミアンの血(DNA)を手に入れたのです

その時、病院から赤ちゃんが盗まれたという知らせが入ります

犯人はキリルでした

キリルは”二度と浮かび上がらない入り江”に

赤ちゃんを捨てようとしていました

でも本当は弱虫なキリル

「こんなに小さいのに、なぜ殺さなければいけないんだ」と

父親の命令に従えずにいました

 

そこにニコライとアンナがやってきて

ニコライはキリルにドン・セミアンの古いやり方を殲滅(せんめつ)し

ふたりで新しい時代を築こうと説得します

キリルは赤ちゃんを手渡し、アンナは赤ちゃんを自分で育てる決意をします

ラスト、ドン・セミアンのレストランでひとり佇むニコライ

ドンひとり倒したところで、ロシアン・マフィアの撲滅までにはほど遠い

ニコライはこのままマフィアに残ることにしたのです

潜入捜査官とか

(特に運命の女というわけでない)看護師という設定は

必要なかったような気もしますが(笑)

 

ヴィゴ・モーテンセンファンだけは必見

かっこいいヴィゴさまが拝めます

 



【解説】映画.COMより

ヒストリー・オブ・バイオレンス」のビゴ・モーテンセンデビッド・クローネンバーグ監督が、ロンドンを根城に暗躍するロシアンマフィアの犯罪を描いたサスペンスドラマ。病院で助産婦をしているアンナ(ワッツ)は、駆け込み出産をして死んでしまった少女が持っていたロシア語の日記を手がかりに少女の身元を探し始める。だが、彼女が辿り着いたのはロシアンマフィアによる人身売買、売春の実態だった……。共演にナオミ・ワッツ、バンサン・カッセル、アーミン・ミューラー=スタール

2007年製作/100分/R18+/イギリス・カナダ・アメリカ合作
原題:Eastern Promises
配給:日活
劇場公開日:2008年6月14日