｢2人で生き残ろうね｣
｢帰ったらケーキ食べようね｣
英題は「Baby Assassins」（赤ちゃんの暗殺者）
自分から勧んで見るような映画ではないのですが（笑）
町山氏の解説で、アメリカの辛口映画評価サイト
「Rotten Tomatoes」での評価が100%と知り鑑賞しました
同じく阪元裕吾監督の「ある用務員」（2021）に登場する
殺し屋女子高生2人のスピンオフ作品ということ
高校卒業を期に組織の連絡係、須佐野から
社会人として自立をすることを言い渡され
寮を追い出された「ちさと」と「まひろ」は
鶯谷（ラブホテル街）のアパートで2人暮らしすることになります
まひろがコンビニのアルバイトの面接を受けている最中、突然店長を射殺し
裏稼業のコンビニ店員たちを皆殺しにする妄想から始まり
まひろがあるアパートの１室に入ると、ちさとが男を拷問中
そこにバイト先のカフェから電話が入ったので、ちさとはあっさり男を射殺し
ワッフルのクリームの盛り付けに励むのですが超下手くそ
やっと店長からOKがでて客に出すと
客の男がクリームをよけて連れに分けたため
ちさとは男の頭をテーブルに打ち付け
ついでに店長の首を捻り失神させ、もちろんバイトはクビ
このふたり、殺しの仕事以外は全くの社会不適応者
愛想はない、言葉遣いはなっていない、コミュニケーション能力ゼロ
ニンテンドースイッチと、漫画を読む日々
時々トレーニング（笑）
でも可愛いので、近所の和菓子屋の店主はサービスしてくれたりします
この店主の口癖が「おつりは200万円～（200円）」という古ネタ
団子を買ったヤクザの親分「浜岡」は、ジョークのわからない男で
200万と言ったから200万よこせと店主の耳に団子の串を刺す狂暴さ
そこに息子の「かずき」がやってきて
ヤクを売りさばいていた部下が殺されたと知らせに来ます
死体が置かれた現場で浜岡はかずきでなく（嗅覚が鋭い）娘の「ひまり」に
犯人捜し（殺したのはちさと）をまかせることにしました
理由は「オーシャンズ８」を見たから（笑）
これからのビジネスは女性中心だと思い込んだのです
まひろはひとりじゃバイトは無理と
ちさととメイドカフェに面接に行きますが
制服とか萌え萌えきゅん♡とか耐えられない
そして東京でバイトする若い子の現状って、すごく貧乏なんですね
奨学金と生活費で給料は全部消えてしまう
「コンビニのサンドイッチ買えるなんてお金持ち」 の世界
怒られるかも知れませんが、バイトするため大学に行く必要って
本当にあるのでしょうか
人間関係になじめないまひろはひとりアパートに帰ってしまい、ちさとから
「自分は何も挑戦しないのに、頑張ってる人を見下すツイッタラーみたい！」
と非難され、喧嘩になってしまいます
その数日後、多様性と女性の活躍＝メイドカフェと勘違いした？
浜岡とかずきがカフェにやってきます
先輩の姫子のアイスコーヒーが美味しくなるおまじない
オムライスにケチャップで、浜岡のリクエスト「仁義」の文字
さすがに「義」が、ただのケチャップの塊なってしまい
大笑いする浜岡とかずきでしたが
突然浜岡が怒りだし、メイドたちを壁に並べ銃を向けるものの
あっけなくちさとに殺されてしまいます（笑）
組織には掃除屋もいて、組織からの依頼でない殺しは
自腹で費用を払わなければなりません
掃除屋の田坂さんが現実的すぎて、本物の清掃業者にしか見えない（笑）
浜岡とかずきの遺体を見つけたひまりは
ドルチェ＆ガッバーナの香水の残り香で
殺したのはちさとだとわかり電話をかけます
「決着をつけよう、来い」
ちさととまひろは仲直りし
ひまりのアジトへママチャリで向かうのでした
ここからまひろちゃんのアクションが、とにかくスゴイ
自分より身体が大きく力も強い男性と戦うための
無駄のない動き、スピード、総合格闘技並みのリアル
うーん、素晴らしい！
ハリウッドに呼ばれるのもわかるわ（笑）
ヤクザ24人の死体は田代さんが始末してくれましたが
その費用で、ちさととまひろが殺し屋稼業で稼いだお金は
すべて消えてしまいました
（つまり掃除屋がいちばん儲かるんだな 笑）
自分はこの仕事しかできないと訴えるまひろに
須佐野は車の免許を取ることを条件に、殺し屋専門になることを認め
ちさとにも協力を求めるのでした
阪元監督、撮影当時若干25歳
センスいいですね、これぞ低予算の傑作
しかも「２」はもっと面白いという噂
あんなアパートに住んでみたい
ソファーでゴロゴロ、画面を縦軸にヒロインが行ったりきたり
「ちくわ」を咥えるのは「鬼滅の刃」の禰豆子のパロディ
まるでコントなドン引きオヤジギャグ
日本独特のカルチャー
マイケル・ジャクソンやルーリードのTシャツ
確かにアメリカ人が見ても喜ぶと思いました
ただ非常にセリフが聞き取りにくいので（邦画あるある）
日本人でも、できれば日本語字幕付きで見ることをお薦めします
【解説】映画.COMより
社会不適合者な殺し屋の少女たちが、社会になじむため奮闘する姿を描いた異色青春映画。高校卒業を目前に控えた女子高生殺し屋2人組のちさととまひろ。組織に委託された人殺し以外、何もしてこなかった彼女たちは、高校を卒業したらオモテの顔として社会人をしなければならない現実を前に、途方に暮れていた。2人は組織からルームシェアを命じられ、コミュ障のまひろは、バイトもそつなくこなすちさとに嫉妬し、2人の仲も徐々に険悪となっていった。殺し屋の仕事は相変わらず忙しく、ヤクザから恨みを買ったことから面倒なことに巻き込まれてしまい……。ちさと役を高石あかり、まひろ役を伊澤彩織がそれぞれ演じる。監督は「ファミリー☆ウォーズ」「ある用務員」の阪元裕吾。
2021年製作／95分／PG12／日本
配給：渋谷プロダクション
