カセットテープ・ダイアリーズ(2019)

原題は「BLINDED BY THE LIGHT 」(光で目もくらみ)で

ブルース・スプリングスティーン1973年に発表した楽曲のタイトル

悪くない邦題ですが、スプリングスティーン・ファンからは

ブーイングですね(笑)



ブルース・スプリングスティーン大・大・大・大好きな高校生が

差別や苦難を乗り越え成長していく物語

実話ベースなので正直詰めは甘く

ミュージカルシーンはダサくて恥ずかしいのですが(笑)

登場人物が皆親切なので見た後味はとてもいい

1987年、イギリスにある小さな町ルートン

両親はパキスタン移民で16歳のジャべドは作家になるのが夢

パキスタン人に対する偏見や経済問題について

詩や日記に書いたりしていますが

自分の気持ちを正直に表す言葉がうまく見つかりません

そんなとき同じムスリム系のルーブスが

ブルース・スプリングスティーン、通称「ボス」のアルバム

「ボーン・イン・ザ・USA」と「闇に吠える街」を録音した

カセットテープを借してくれます

私もCD持っています(何十年も聞いていませんけど 笑)

 

そこには差別社会に対する鬱憤が力強く歌われていました

ジャべドが世間に感じていたのと同じが疑問が、すべてそこにあったのです

ジャべドは「ボス」の言葉に勇気をもらい

やがて自分の正直な気持ちを言葉にできるようになっていきます

ガールフレンドも出来て充実の日々

しかも国語の先生がコンクールに応募した論文が入選し

アメリカの大学のセミナーに行けることになります

その場所はなんと!「ボス」の聖地、ニュージャージー!!


しかしジャベドの父マリクは保守的なイスラム教徒

ジャべドがアメリの音楽を聴くことを快く思っていないうえ

イギリスにパキスタン移民の作家などいないと吐き捨てます



しかも運の悪いことに、姉の結婚式に行く途中

父が移民反対のデモに巻き込まれてしまい暴行を受けてしまいます

激怒した父は、ジャべドが手に入れた「ボス」のコンサートチケットを

破いてしまいました(とんだとばっちりだ)

もちろんアメリカ行きにも反対します

父親と喧嘩し勘当されてもアメリカに行く決意をしたジャべド

帰国後は友人の家から高校に通います

やがて卒業式、優秀な生徒はスピーチをすることになっています

ジャべドもそのなかのひとりに選ばれていました

 

原稿には町を出て成功する夢が綴られています

そこに両親と妹が遅れてやってきたことに気付きます

ジャべドは即興でスピーチの内容を変え

スプリングスティーンへの大大愛とともに(笑)

両親へ感謝と、家族と和解したい気持ちを述べるのです

「自分がいるのは家族のおかげだということを忘れてはいけない」のだと

ジャベドは卒業後マンチェスター大学に進学し

友人たちもそれぞれ自分の夢に向かって動き出しました



エンドクレジットでは本人と「ボス」との

ツーショット写真が何枚か出てきましたね

マツコの知らない世界」じゃないですけど(笑)

本当に好きで好きで大好きで、その世界を極めれば

夢は叶うものなのだと思います(笑)

ジャべドのモデルとなったサルフラズ・マンズールさん(1971生)は

イギリスのジャーナリスト、放送作家、脚本家として活躍しているということです

 

 

【解説】allcinema より

1987年のイギリスの田舎町を舞台に、厳格なパキスタン移民の父親の下で窮屈な日々を送る青年が、ブルース・スプリングスティーンの音楽と出会い、自分らしく生きるための勇気を手にして人生が輝きだすさまを描いた青春音楽ストーリー。イギリスのジャーナリスト、サルフラズ・マンズールの回顧録を「ベッカムに恋して」「英国総督 最後の家」のグリンダ・チャーダ監督が映画化。主演は本作が映画初出演の新星ヴィヴェイク・カルラ。
 イギリスの田舎町でパキスタン移民の家庭に暮らす16歳の少年ジャベド。音楽と詩を書くのが好きな彼だったが、外では移民へのいわれなき差別や偏見に晒され、家では厳格な父親からの理不尽とも思える抑圧に苦しめられる日々を送っていた。鬱屈を抱え、いら立ちを募らせていたある日、ジャベドはアメリカのロック・スター、ブルース・スプリングスティーンの音楽と出会い、衝撃を受ける。彼の詩に激しく共鳴し、それまで抑え込んでいた自分を解き放っていくジャベドだったが…。