ザ・ビートルズ  EIGHT DAYS A WEEK The Touring Years(2016)

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「誰も演奏なんか聴いていないんだ まるで暴動だった ショウじゃない

 ステージから降りると、まるで戦闘地帯をくぐり抜けたような状態で

 まさに戦争だと思うよ

 いつも何かをぶつけられながら歌い続けたり

 微笑み続けたりするなんて 無理な話だ」(ジョン)


原題も「The Beatles: Eight Days a Week - The Touring Years

「エイト・デイズ・ア・ウィーク」(週に8日はビートルズ)とは

ビートルズ4枚目のアルバム「ビートルズ・フォー・セール」(1964)

(レノン=マッカートニー名義の)B1曲目

本作ではエンディング曲としても使用されています

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今まで数々のビートルズのドキュメンタリー作品が作られていますが

アップル・コア(ビートルズによって設立された会社組織)の

公式作品として認められたのは「ザ・ビートルズ・アンソロジー」以来

21年ぶりということ


確かに他の作品といえばジョンとポールの確執や

オノ・ヨーコを交えてのメンバーの不和に重点を置いて描いたものばかり

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1962年のキャヴァーン・クラブ公演から

1964年の人気絶頂期を経て

1965年以降の曲作りや、私生活の変化

思いがけないバッシング、アンチ・ビートルズ

やがて傑作

サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(1967)

が誕生するまでが描かれ


ロンドンのアップル・コアの屋上で行われた

事実上ビートルズの最後のライヴ・パフォーマンス

「ルーフトップ・コンサート 」(1969)で幕を閉じます

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ロン・ハワードだけあって、見せ方もうまい

コメンテーターも、ビートルズと関わり合いのあった

どこかの音楽関係者が列を連ねるものではなく(笑)

 

実際のビートルズのメンバーの音声が使用され

ゲストも自称ビートルズファンである、エルヴィス・コステロ

ウーピー・ゴールドバーグ シガニー・ウィーバー という豪華さ

 

日本からは1966年のビートルズ来日時に密着撮影した浅井慎平が登場

来日時のメンバーのリラックスした姿をとらえた

貴重なショットが紹介されます

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一方で武道館がコンサートに使われることへの批判や

日本赤軍によるヘイトスピーチの映像が流れ

ビートルズを歓迎しない人々も多くいたことがわかります


アメリカでは、ジョンの「キリストより人気がある」という

イギリスでのインタビューでの、誰が聞いてもただの軽いジョークが

大問題となり批判され、レコードは集められ焼かれるという事態に陥ります

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リヴァプールで偶然巡り会った、サッカーより音楽が好きな4人の青年が

巨大なモンスターに飲み込まれそうになる

それでも彼らは、お互い助け合い荒波を乗り越えていきます


やがて大人になり

家庭を持ち、守るべきものが変わっていくのは当然だし

リエーターとして新しい音楽のスタイルを目指すのも当然

 

だけど多くのファンが求めていたのは、年月が過ぎても

「ラヴ・ミー・ドゥ」「抱きしめたい」の頃のビートルズでした

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過酷なツアー、度重なるレコーディング

彼らの疲労は想像できません

そしてほんの数年で、かってのアイドルの面影は消えてなくなり

実際、悟りを開いたかのように老けてしまった


これを見たら、ほかのビートルズのドキュメンタリー作品が

全部ニセモノに見えてしまう(笑)

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私たちがいつまでも高校時代の親友とつるんでいないのと同じに

ジョン、ポール、ジョージ、リンゴが、それぞれの道を歩んでいったのは

あたりまえのこと


そんなビートルズのメンバーひとりひとりを個人として認め

やんちゃで天真爛漫だった若き日々をやさしく見つめる

ファンにとっての特別な「あの日」を思い出させることに成功している

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誰もが知ってるビートルズだからこそ

ロン・ハワードの力量が試された1作だと思います



【解説】映画.comより

ポール・マッカートニーリンゴ・スターという存命のメンバーや、ヨーコ・オノ・レノン、ジョージ・ハリスンの未亡人オリビア・ハリスンら関係者の全面協力のもと製作された「ザ・ビートルズ」の公式ドキュメンタリー映画。監督をロン・ハワードが務めた。初期のリバプール時代から、1963年に始まった15カ国90都市166公演におよぶツアー、そして観客の前での最後の演奏となった66年のサンフランシスコ・キャンドルスティック・パーク公演までのライブ映像を中心に、関係者などのインタビューを織り交ぜながら、ビートルズの曲の変遷、半世紀以上も愛され続ける彼らの人気の理由を探る。日本公開版は、66年の来日時のエピソードが長めに収めらた特別版となっており、日本武道館でのライブシーンや、来日時のビートルズの撮影を担当したカメラマン・浅井慎平のインタビューも盛り込まれている。