48時間(1982)



はじめて見たときは、なんて面白いのだろうと感動しました(笑)
映画そのものは、よくある刑事ものバディ・ムービーだけど

事件解決の鍵を握っているのは、渋さもヒーローっぽさもない

おしゃべりなお調子者


いままでのハード・ボイルド調を覆した新境地で

サンフランシスコの坂道であえてカーチェイスをしないお行儀の良さ

ウォルター・ヒルの革命的傑作だと思います



線路工事中に、脱走した囚人ギャンズをトラックで拾い

逃走するインディアンのビリー・ベア

公園のベンチにはクレジット・カードを届けに来て殺された

ヘンリー・ウォン刑事の死体


サンフランシスコ市警のジャック(ニック・ノルティ)は

盗まれたクレジット・カードを捜査中のふたりの刑事に加担しますが

ジャックの判断ミスにより、ふたりの刑事は

ホテルで娼婦と寝ていたギャンスに射殺されてしまいます




ジャックはギャンズのかっての仲間で、今は服役中の

ジーエディ・マーフィ)情報を得ようとしますが

ジーの条件は刑務所から出してくれということ

ジャックは強引にレジー48時間だけ仮釈放させるのです


本当にエディ・マーフィの活きがよくて(笑)

明るくて、楽しくて、女好きで

エディの魅力120%




一方のニック演じるジャックは
同僚たちや恋人からの態度からもわかるように

なによりも仕事が優先、だけど自分勝手で偏屈な嫌われ者


そんな付き合うのが難しい男だけど、レジーは全く気にしない(笑)

相手が刑事だろうが、ギャングだろうが、女の子だろうが

とにかくマイペース、わが道しか行かない


この芯の通った、決してブレない自分を持っている

そんなキャラクターに魅力を感じてしまうのです




捜査が進むうち、レジーが何か隠していると怪しむジャック

殴り合いの末、ギャンズたちが狙っているのは

自分のポルシェのトランクに隠している

誰も盗難届けを出せない性質”の50万ドルだと

ジーは打ち明けるのです


そこからは50万ドルの追跡劇&銃撃戦

そんな中でもレジーのお目当ては常に女の子(笑)

だって48時間しか猶予はないんだもん(事件よりそっち)




利用し終えたヤツはみんな殺し、追跡も幾度となく返り討ちにする

凶悪ギャンズとビリー・ベアも、意外と最後はあっさり(笑)

ジーも美女とお知り合いになれて、事件もナンパも無事解決


そしてなにより、頑固で堅物のジャックに

やがて友情のようなものが芽生え

融通がきくようになったことに、嬉しさを覚えるのです

50万ドルはお前のものだ」




ジャックは事件解決で汚名返上

ジーは美女と出会えて、お金も取り戻し、あと半年で出所


真面目に考えればお互いの行動が”正しい”かどうか別として(笑)

希望のもてる爽快なラストはやはり気分がいい

何より、笑えて、楽しめて、元気になれる

そしてエディ・マーフィが好きになる(笑)




これは
間違いなく

もっと評価されるべき、低予算映画の傑作のひとつだと思います




【解説】allcinemaより

野外労働中の囚人が、仲間の助けを得て脱走した。犯人に相棒を殺された刑事ジャックは、彼らとつながりのある、服役中の黒人レジーに捜査協力を求める。48時間の仮釈放という条件で、二人は凶悪犯の追跡に当たるが……。ストーリーその物よりも、ノルティ、マーフィの凸凹コンビによるやりとりが最高。本作で映画デビューを飾ったE・マーフィが作品世界から逸脱せず、上質のハードボイルド・アクションに仕上がっている。