退職する刑事たち(当時)のほとんどが口にするのが
「苦労かけた女房と温泉めぐりをしたい」
この言葉を聞いたNHKの番組スタッフが
本物の刑事の姿に近いドラマを作ろうと
元警察官に具体的な捜査現場や、捜査本部内の配置
心情的な部分まで取材し
リアルなセットや捜査の実態を再現したといいます
とはいえテレビドラマの90分の尺の中で
ベテラン刑事の過去と現在
交番で巡査が殺された事件と、その巡査の妻と子
バブル崩壊後の土地売買のトラブルといった社会的背景
全て描ききるのは、やはり無理があったような気がします
肝心の事件解決の謎解きもなく、ストーリーの面白みに欠ける
ここは健さんとタイマンを張れるくらいの悪役持ってこないとだめでしょ
娘の婚約者の報道カメラマンもあれじゃね(笑)
警視庁捜査一課の主任、秋庭は13年前出所した男の逆恨みで
妻(田中好子)を殺害され犯人を射殺してしまいます
お人好しの妻が新聞記者を家に上げ、お茶を出していた習慣が利用されたのです
それから秋庭は新聞記者と名乗る人間を信用しなくなりますが
娘(鈴木京香)の恋人はブン屋、結婚するので会って欲しいといいます
そんなとき品川署天王洲東交番の村沢(石原良純)が刺殺され
拳銃が奪われる事件がおきます
死体のそばには血で書かれた「大」と「、」と思われる文字
現場の近くに捨てられていたリードとよく似たロープ
秋庭はこの文字を、村沢の日記から「犬」であると予想するのです
そして玉川署管内の「銀行副頭取刺殺事件」で
頭取の殺害当日、頭取と一緒に散歩に行っていた愛犬が
行方不明になっていることを知ります
村沢はパトロール中に、その愛犬が車で運ばれ
天王洲橋から投げ捨てられたのを目撃したため
運転していた二人組から狙われたのです
二人組が伴走のジョギングランナーに化けたというアイディアはヨカッタけど
車はすぐ見つかるし、2人組は簡単に現れるし、主犯はあっけなく捕まるし
とにかく盛り上がらない(笑)
秋庭の奥さんはB級ハリウッド映画みたいに殺されるんじゃなくて
過労が原因の病気とかで死んだほうが感情移入しやすいし
村沢の妻(紺野美沙子)も文句言ったり、ヒステリー起こすより
(子役が可愛かったぶん)感情を堪えた演出のほうが涙を誘ったと思う
余計な視聴者サービスは失敗のもと
それでも健さんの刑事役の新鮮さと(エンディングテーマまで歌ってる!)
クライマックスの拳銃を構えた健さんのカッコつけと
ラストに殉職”二階級特進”した警察官の「悼み葬儀」をもってきたこと
あと小林稔二さんが素敵だったので
甘めの星3つ半(笑)
ちなみに私がもし定年後の刑事の妻だったら
「温泉巡りは勝手にするから、定年後も一生どっかで働いてくれ」
今更苦労かけたとか、遅いッちゅーの(笑)