さらば、愛の言葉よ(2014)




「もうすぐ誰もが通訳を必要とする
 自分の言葉を理解するために」


原題は「Adieuau Langage」(さらば、言葉よ)

左目と右目で違う映像を3Dで見せるという
挑戦的な映像処理の可能性を見出した映像作品
映画というより、アート



さすがゴダールといった感じですが、かなり玄人向きで
たった69分とは思えない長さを感じます


感覚や感性で見る作品で、ストーリーはないにも等しいのですが
あえて例えるならば、インテリで芸術肌の中年男が
全く芸術に理解のない自由奔放な人妻に夢中になり
噛み合わない旅をするロードムービー



天才監督なれど、陰気で、無表情で、女性に全くモテなかったというゴダール

それでも「勝手にしやがれ」のヒットにより

あこがれのアンナ・カリーナと結婚


しかし結婚後カリーナは自殺未遂をしたり

自分の洋服をズタズタに切り裂いたり精神的にボロボロになっていき

ゴダールもカリーナとの結婚生活に苦悩し、やがて離婚


しかし離婚が成立すると、カリーナは映画監督をしたり

小説を発表したりと、アーティストとして勢力的に活動

永遠のアイドルとして、見事に復活を遂げます



当時19歳のアンヌ・ヴィアゼムスキーと知りあい結婚しますが

その頃のゴダールは映画よりも政治運動へと傾倒していき

古くからの友人たちまでも傷つけ、孤立していきます


そんな時、マルコ・フェレーリ監督からアンヌに主役のオファーが舞い込み

ふたりはそれぞれの現場で離れて仕事をするようになります

しかしそれが原因でゴダールはアンヌの浮気を疑いはじめ

夫婦喧嘩が絶えなくなり、ゴダールは自殺まで図ってしまいます

アンヌはそんなゴダールに耐えきれなくなり、結局離婚



その後、非公式ですがアンヌ=マリ・ミエヴィルというスイスの女性と結婚
ゴダールの作品に女優としても参加しているそうですが
脚本・演出・編集という裏方の分野でも
「女に逃げられる」ゴダールの人生の中で
40年以上彼支えてきた公私のパートナーであるようです



タイトルの「さらば、言葉よ」の通り

「映らないことを描く」がテーマ(だと思う)のこの作品を
数々のゴダールの女性遍歴から読み解いていくと


女を求め続ける、男の映画であり
それは飼い主を求める迷子の犬のようでもあり
そして女心は、男にとって永遠に理解できないもの
という解釈に至ったのであります
これぞ、ゴダール


そして老いてもなお、「種を残したい」という
男の性の最後のあがき



そして一方で
いくら頭が良くて、才能があっても
仕事以外は付き合いきれないわ
だって、相変わらず言ってることが
意味わかんないんだもん


そんな別れた女たちの声も
聞こえてきそうでした(笑)



【解説】「さらば、愛の言葉よ」オフィシャルサイトより

妻と独身の男。
ふたりは愛し合い、喧嘩し、一匹の犬が町と田舎を彷徨う。
言葉をめぐり季節は過ぎ去り、男と女は再び出逢う。
前夫が全てを台無しにし、第二のフィルムが始まる───
【3D】によって緊張感を増す“男と女”の関係、
町や四季折々の森を一匹の“ウェルシュ・シープドッグ”が
スクリーンを伸びやかに駆け巡り、“言葉”が立体的に紡がれていく。83歳になる世界の巨匠ゴダールが初めて【3D】で長編を描いた野心作に、審査員特別賞のほか、本作の重要な役割を演じた愛犬ロクシーに“パルムドッグ審査員特別賞”が授与され、「これはゴダールの遺言である」(ル・モンド紙)、「ゴダールの想像力は完全無欠だ」(ウエスト・フランス紙)とメディアも絶賛。
半世紀以上前、スタジオ撮影が当たり前の時代に『勝手にしやがれ』でカメラを屋外に持ち出し、街の空気感をそのままスクリーンに映し出して世間を驚かせ、カメラワーク・演出・台詞・編集・俳優の扱い方に至るまで、映画革命を起こしたゴダールが今、新旧の技術を斬新に組み合わせた“映画芸術”として【3D】の可能性に挑み、左右の目にそれぞれ異なる映像を配するなど遊び心たっぷりに【3D】を変革する衝撃作!
「常に処女作を作る」と公言する巨匠の“新しい波(=ヌーヴェルヴァーグ)”の進化形と呼ぶべき本作は、フランスのみならずニューヨークでも大ヒットし、若い世代の熱い視線が注がれている。