「人生最良の日々を、(わたしたちは)まだ生きてはいない」
原題は「Les plus belles annees d'une vie」(人生で最も美しい年)
「男と女」(1966)の続編、想像したよりかなり好い出来で
トランティニャンの遺作として本当にふさわしい作品
しかも50年の歳月を経て
ほぼ同じキャスト、同じスタッフで制作されたという奇蹟
「男と女Ⅱ」 (1986)は見ていませんが
たぶん「男と女Ⅱ」 はなかったことになってるんですね(笑)
ノルマンディーで雑貨店を営むアンヌ
娘のフランソワーズは獣医でその日も馬の分娩の予定があり
忙しく駆けまわっていました
そこに見知らぬ男がアンヌを訪ねてきます
彼はかってのアンヌ恋人、ジャン=ルイの息子アントワーヌでした
アントワーヌは、認知症になり余命いくばもない父親に
逢って欲しいとアンヌに頼みに来たのです
「頼まれただけ」「お化粧してるからよ」
アヌーク・エーメ(撮影時86歳)がびっくりするくらい魅力的なのに対し
トランティニャン(撮影時88歳)は本物の認知症かと思うくらい
年老いてヨボヨボ
それがアンヌと話すうち、だんだんと活き活きしてきて
かってのハンサムで女好きでモテ男のオーラ復活
いやあ凄い
これが本物の俳優というものなのだな
とにかく会話が粋で洒落ている
だけど押しつけがましくなく、サラッとしている
恋愛に年齢は関係ないことを教えてくれます
そしてかってふたりの愛し合った映像が
フラッシュバックで流れます
愛を告白する電報
「モンマルトル1540」の 電話番号
フォードマスタングのドア番号「184」
朝6時のパリ「18」の赤信号
ノルマンディーのホテルの部屋番号「26」
プランシュドドーヴィルの海岸
シャバダバダ・・・
ジャン=ルイは老いたアンヌが、アンヌとは気付かずに
たくさんの女性を愛したが、彼女ほど愛した女性はいないと語ります
だけど事故で亡くなったアンヌのスタントマンの夫が
ジャン=ルイにとって彼とアンヌの間に立ちはだかっていたのです
その寂しさを紛らわすように他の女性と浮気してしまう
そして結局別れてしまった
アンヌはジャン=ルイをドライブに誘います
ふたりが出会った寄宿学校
あの日のホテル、海岸
ジャン=ルイはアンヌに許しを乞い
もう離れ離れになりたくないと訴える
どこまでが夢か現実なのか
つかの間正気に戻り、また忘れてしまう
そんなジャン=ルイをアンヌは慈しみ、愛おしいと思う
残り少ない人生をもういちどジャン=ルイに捧げよう
アントワーヌとフランソワーズにも
再び親愛が芽生え始めていました
もしかしたら、アントワーヌがアンヌに会いにきたのは
父親のためだけじゃなかったのかも知れません
アントワーヌにとっても、4人で過ごしたあの頃が
一番楽しい思い出だったのです
老いて肉体が不自由になっも、記憶が曖昧になっても
人を愛するという魂は自由でいたい
ものすごい感動作といったら嘘になりますが(笑)
(「男と女」を見た人にとっては特に)感慨深く
ロマンチックで幻想的
あとからあとから来る余韻がありました
【解説】映画.COMより
フランスの名匠クロード・ルルーシュ監督が1966年に手がけ、第19回カンヌ国際映画祭パルムドールとアカデミー外国語映画賞、脚本賞を受賞した名作恋愛映画「男と女」のスタッフ&キャストが再結集した続編。前作の主演アヌーク・エーメとジャン=ルイ・トランティニャンが同じ役柄を演じ、53年後の2人の物語を過去の映像を散りばめつつ描いた。元レーシングドライバーのジャン・ルイは、現在は老人ホームで暮らし、かつての記憶を失いかけている。ジャン・ルイの息子はそんな父のため、父がずっと追い求めている女性アンヌを捜し出すことを決意。その思いを知ったアンヌはジャン・ルイのもとを訪ね、別々の道を歩んできた2人はついに再会を果たす。