そのまま速やかにトイレに流してください」
原題は「CaptainFantastic」(キャプテン・ファンタスティック)
Fantasticには「素晴らしい」とか「優れた」のほかに
「風変わりな」「奇怪な」という意味もあるそうです
ワシントン州の森の奥深くで
妻のレスリーは彼のことを「Myfantastic man」と呼んでいました
ベンと6人の子どもたちはレスリーの葬儀に出席するため
そして世間の常識を知らないがために
先々で騒動を起こしてしまいます
これは彼らだけでなく、ずば抜けたインテリの秀才と
そうでない人間だと、意見や考え方や常識が食い違ってしまうのは
当然なのかも知れません
アメリカにはホームスクーリング制度というものがあり
子どもへの家庭教育が法的に認められていて
たとえ中学、高校を卒業しなくても
学力が認められれば大学への進学も出来るそうです
なので、このような家族が実際にいても不思議ではありません
作中では厳格なベンが課す特訓と、熱心な教育によって
子ども達全員が運動神経抜群、頭脳明晰
6か国語を自在に話し、長男はいくつもの名門大学に合格
双子の姉妹がスティーブ(愛車の名前)で喋っていたのはエスペラント語
これは言葉の違う全世界すべての人が話し合えるようになるための第2言語
国際補助語として作られた新しい言語だそうです
だけど、いくら親が完璧だと思っている子育てにも
気付かぬうちに失敗はあります
「食べ物を救え」というミッションで、食料調達のための万引きをさせたり
次男を祖父の家から取り戻そうと、双子のひとりに大怪我をさせてしまう
一方、レスリーの父親であるジャックも娘を愛していたのは事実なのです
孫が可愛いのも、孫と暮らしたいのも本当の気持ちでしょう
自分の信じていたものを責められ、子育てに苦悩するベン
子どもたちの成長とともに
自分も親として成長するときが、ついにやってきたのです
できれば火葬するのも、いくら妻の遺言であるとはいえ
両親をしっかり納得させ、和解してからやってほしかったですね
そんな山の上での火葬はまるでキャンプファイヤー
そして「ママの好きな歌を歌おう!」と
ヨーヨー・マがどうとか、クラシックのウンチクばかりゴネていたくせに
いきなり、ガ・ガ・ガ・・・ここでガンズ?ですかあ??
には笑ってしまいましたが(笑)
家族みんなで歌う「SweetChild O Mine」は感動的
そして遺灰は空港にあるトイレの狭い便器に棄てられ
「バイバミ、マミー!」の言葉とともに見送られ流されました
これでなにもかも、今までのことはおしまい
ママのいない新しい生活が始まります
大学ではなく、旅に出る決意をする長男
ベンのアドバイスは、ただひとことだけ
「女性とセックスする時は優しく気持ちを聞け、愛してなくても大切に」
残った兄妹は学校に通うことになりました
それはそれで、サバイバル生活とはまた違う
新たな父親の責任の始まりです
親が自分の子育ての間違っている部分を認め
信念を変えることには、とても勇気がいることだし、パワーも必要
だけどそれができたベンは強いし
なによりも子どもたちの将来を考える
真の父親になれたと思います
「ノーム・チョムスキー」
三女のサージが読んでいた本
イギリス小説100選で第1位に選ばれたこともある
人間関係や人間の本性を描いた名作
ブライアン・グリーン「宇宙を織りなすもの-時間と空間の正体-」(2004)
双子のひとりヴェスパーが読んでいた本
ひも理論で世界的なベストセラーになった
「エレガントな宇宙」の続編物理学の視点からの時間、空間、宇宙の新たな理論
双子のひとりヴェスパーが読んでいた本
ひも理論で世界的なベストセラーになった
「エレガントな宇宙」の続編物理学の視点からの時間、空間、宇宙の新たな理論
次男のレリアンが読んでいた本
父親殺しの嫌疑をかけられた
「神がいなければ、全てが許される」は文学史上最も有名な名言のひとつ
ウラジーミル・ナボコフ「ロリータ」
ロリコン(ロリータ・コンプレックス)という
この作品のテーマのひとつ「普通とは何か」という問いにも関係してきます
クライブ・カッスラー「南極の中国艦を破壊せよ!」(2010)
CIAの依頼を受けアルゼンチンの奥地に墜落した
人工衛星の回収に向かう〈オレゴン号〉の乗組員たち
そこにはアルゼンチンと中国による
利権をめぐる陰謀が潜んでいた・・という海洋冒険小説
作中では81年盤が採用され
最も感動的な第30変奏がかかります
「SWEETCHILD O' MINE」(1987)
実はロス監督はプリンスの「ビートに抱かれて」と
「リトル・レッド・コルベット」を使いたかったそうですが