ONCE ダブリンの街角で(2006)





「彼をまだ愛してる?」
Milujutebe.」(愛してるのはあなたよ)
「なに?なんて言ったの?」



ミュージカルではない、歌で伝える映画

アカデミー賞歌曲賞受賞

オリジナル・サウンドトラックは全米チャート2位

他にも多くの映画賞を受賞したのも納得です

素敵な曲ばかり、そして歌詞が特別にいい

ひとつひとつの言葉が、心に沁みます


「シング・ストリート」「はじまりのうた」もそうでしたが

ジョン・カーニー監督は自分のスタイルも、テーマもブレていません

このままでいてほしいですね






アイルランド、ダブリンの街角

「男」は穴の空いたギターを抱えたストリートミュージシャン

昼間はヒット曲を歌い、そこそこの観客も集まりますが

夜はオリジナル曲を歌い誰も耳を傾ける者はいません


そんな「男」の曲を大絶賛してくれた

チェコからの移民の「女」

「男」の堅気の仕事が”フーヴァー”(掃除機)の修理屋と知り

自宅の壊れた掃除機を修理してもらう約束をします

翌日「女」はズルズルと掃除機を引っ張って

再び「男」に会いに来ました


「女」は楽器店でピアノを弾くのを楽しみにしていました

その腕前はなかなかのもので、「男」は彼女の言葉はおだてではなく

本当に音楽を知っている人間だと思います

そして惹かれていきます






だけど「男」にはロンドンに忘れられない元カノがいました

「女」にもチェコに残してきた夫がいたのです


友だち以上、恋人未満

大人のプラトニック



チェコ人の国民性は知りませんが

彼女のように正直で気取らない女性は好感がもてます

家政婦をしたり、花や雑誌を売って身銭を稼いでいる

テレビなどない家も多く、そんな隣人を招き入れテレビを見せてあげる

移民問題には、私たち日本人ももっと関心を持たなくてはいけませんね


優しくてピュアなヒロインの姿が、ダブリンの街にとても似合う

ウォークマンを耳に歌いながら歩くワンショットは心地がいい



彼らはほかのストリートミュージシャンをメンバーに加え

曲をレコーディングすることにしました

そしてレコーディングを終えた時

「女」は夫がアイルランドにやってくるのだと伝えます

「男」も本格的な音楽活動をするためロンドン行きを決意するのです






同じ価値観をもつ男女のひとときの恋、かけがえのない時間

人生の中にそんな一瞬があったら、きっと幸せだと思います



主役のふたりは「スウェル・シーズン」の名で活躍していて

実際には映画とは違い、付き合っていたそうで(笑)


とにかく曲がいいので音楽好きの方にはおすすめ

これは永久保存版です




【解説】allcinemaより

アイルランドのダブリンを舞台に、地元の男とチェコ移民の若い女がストリートで出会い、音楽を通して心を通わせていくさまを、自然な形で挿入される歌の数々で紡いでいく感動ラブ・ストーリー。主演はアイルランドの人気バンド“ザ・フレイムス”のフロントマン、グレン・ハンサードとチェコのシンガーソングライター、マルケタ・イルグロヴァ。彼らが本作のために書き下ろし楽曲の数々が、口数の少ない主人公たちの繊細な感情の機微をセリフ以上の雄弁さで表現していく。監督は、自身もかつてザ・フレイムスのメンバーとして活動した経歴を持つ「オン・エッジ 19歳のカルテ」のジョン・カーニー。
 男は穴の開いたギターで毎日のように街角に立ち、歌を歌うストリート・ミュージシャン。そんな男の前に現われ、あれやこれやと話しかける花売りの若い女。彼女はチェコからの移民で、楽しみは楽器店でピアノを弾かせてもらうこと。彼女のピアノに心動かされた男は、一緒にセッションしてみないかと持ちかける。やがて、一緒に演奏することで喜びを実感し絆を深めていく2人だったが…。