シリアナ(2005)

 
シリアナ」とはワシントンのシンクタンク
実際に使われている専門用語ということ
イラン・イラク・シリアがひとつの民族国家になることを想定する
アメリカによる中東再建のコンセプトなのだそうです
 
アラブのある国の石油の利権を巡る実話ベースの物語
のちの911事件に繋がったと言われているそうです
4人の主要人物の、4つのストリーが絡んでいて
理解するのが大変な作品でしたね
 
① CIA諜報員ボブ・バーンズ(ジョージ・クルーニー)の話
 
テヘランで武器商人の暗殺のため、スティンガー・ミサイルの取引に潜入したボブ
武器商人暗殺の任務は果たせたもの、武器を取引相手のひとり
「青い目の男」に持ち逃げされてしまいます
ワシントンに戻り、「青い目の男」を探すボブ
 
この任務を終えたら息子のために引退しようと考えていました
しかし、テロに資金を融資している疑いのある
某国のナシーム王子を暗殺せよと新たな命令が出されました
 
実はナシーム王子は陰謀に巻き込まれようとしていたのです
ボブは事実を王子に知らせようとします
 
② ジュネーブの商社に勤めるブライアン・ウッドマン(マット・ディモン)の話
 
エネルギー・アナリストとして働いているブライアンは
家族でハマド王のパーティに招待されます
第一王子のナシームはアメリカの石油会社「コネックス」との契約を打ち切り
中国へ採掘権を移そうと考えています
ブライアンは、大国に石油の利権を渡すべきではないと断言し
自国で石油採掘とパイプラインを製造すべきだと提案します
 
そのパーティでブライアンの長男が、漏電していたプールで感電死
ナシール王子は「死んだ息子」を悔やみ多額の現金を渡す約束をします
「残った息子」への謝罪としても、相談役としての保証を申し出るのです
 
それは現金がおろし放題の「ATM」があるのと同じと言うブライアン
しかし妻は、長男の死までを利用したのかと家を出ていきました
 
③コネックス社の顧問弁護士、ベネット・ホリディの話
 
アメリカ最大の石油会社「コネックス」社と
テキサスの石油会社「キリーン」社が合併することになり
ベネットは、合併が「コネックス」側の有利になるように
「キリーン」の石油採掘権獲得の裏を調べるように命じられました
「キリーン」はカザフスタンで違法な取引をしていました
だけれど合併は、会社にも、国家にも利益になるものと判断します
ベネットは貧しい家で生まれた苦労人でした
たとえ仕事に疑問をもっても、キャリアを積みたい
 
「コネックス」は契約を打ち切ったナシール王子より
第二王子メシャールに王位継承させるためハマド王に圧力をかけます
 
兄をうらやむメシャールは、まだ人間的に未熟でした
そのうえ危険な思想を持ち、テロとも繋がっています
しかしハマド王は王位継承者にメシャールを任命してしまうのです
 
④ パキスタン人の青年、ワシームの話
 
ワシームの物語が一番印象に残りますね
普通の青年がなぜ自爆テロになったのか?
家族を思う心の優しさが
神の教えを信じる真面目さが
そうさせてしまったのです
 
 
パキスタンから某国に父親と出稼ぎに来ているワシーム
お金をためて、いつか母親を呼ぼうと考えています
 
だけど採掘権が中国に買収されてしまい、仕事が打ち切られてしまいました
次の仕事が見つからないままピザの期限切れ
不法滞在の身になってしまい
友人のファルークとのマドラッサ(イスラム神学校)に通います
 
そこは、誰でも親切に迎え入れてくれる
そしてエジプト人の「青い目の男」と知りあいます
良き理解者で言葉巧みにな彼に、ふたりは惹かれ
思想に共感していきます
 
そして「青い目の男」から渡されたスティンガー・ミサイル
ワシームはファルークと共にミサイルを船に積み海に出ていきます
 
石油の利権争いのための
王子暗殺計画(軍事)
中国の脅威
 
原作のタイトルがいいですね
「CIAは何をしていた?」
元CIA職員による暴露本ということです
 
アメリカという国家は利権のためには
他国への政治介入から、暗殺から、戦争まで
なんでもやってしまうのです
そしてそれが永遠に終わることはありません
 
ひとつひとつの話は面白いのですが
やはり詰め込みすぎでしょう
4部作にでもしたほうが良かったかも(笑)
 

 
【解説】シネマトゥディより
アカデミー賞に輝く『トラフィック』のスタッフが集まり、アメリカ当局とアラブの王族、イスラム過激派テロリストの石油をめぐる黒い関係を描いた問題作。体重を増やしてベテラン諜報員にふんしたジョージ・クルーニーをはじめ、マット・デイモンら主演級クラスのスター俳優が顔をそろえる。元CIA工作員による全米ベストセラーのノンフィクションの原作からヒントを得た、世界的な陰謀を炙り出す衝撃のストーリー展開に驚かされる