日本の黒い夏─冤罪(2000)




松本サリン事件、覚えています。
この事件で初めてサリンという薬物の名を知りました。

すぐさま容疑者として第一通報者でもある
神部(河野義行氏)という男性が逮捕されます。
それは容疑者宅近くで猛毒ガスが発生したということ
そのうえ自宅には何十種類もの薬物を所有しており
楽物を扱う資格をもっていたためでした。
まだ猛毒ガスの正体が何であるかさえ確認もされていないのに、です。

なんとその理由は長野五輪のセキュリティー強化のため
そして日本は安全安心な国だとアピールするため
逮捕を急いだというのです。

容疑は殺人罪
神部さん自身も重体で入院中であり
まだ事情徴収さえままならない状態なのにです。

マスコミは連日、神部さんが真犯人であるかのように
裏付けも取れていない情報をトップニュースで流します。

大きな被害を出した松本サリン事件。
もしこのとき警察がちゃんとした捜査をしていれば
マスコミが冷静に取材をしていれば
再び地下鉄サリン事故という悲惨な事故が
起こらなかったかもしれないと悔やまれます。

冤罪のために、嫌がらせや辛い日々を
送らねばならなくなった河野氏とその家族。
そしてサリン事件の被害にあった人たちとその家族・・
みんなが悔しい思いをしていることでしょう。

私たちはTVニュースやネットや新聞の情報でしか
世の中の出来事を知る事はできません。
だけれどそれは一方的な情報なのです。
しかし誰もが自分の職務を果たすためにしたこと、仕事なのです。

映画としては決して傑作と言える出来ではないでしょう。
でも冤罪に対するメッセージが的確ですし、とてもわかりやすい。
多くの人に見てもらいたい、知ってもらいたい
考えてもらいたい、そんな作品だと思います。



【概要】ウィキペディアより
原作は、長野県松本美須々ヶ丘高等学校放送部制作のドキュメンタリービデオ作品『テレビは何を伝えたか』(第43回NHK杯全国高校放送コンテストラジオ番組自由部門優勝作品)を元にした、平石耕一の戯曲『NEWS NEWS』。1994年6月27日に長野県松本市北深志地区で発生した松本サリン事件の第一通報者である河野義行に対する「警察の強引な任意同行」と「報道機関の誤報による過熱取材」の実態を描いた作品である。
熊井は、自身の母親が理科教師を勤めていた当時の長野高等女学校(現・長野県長野西高等学校)の校長に河野義行の妻の祖父である河野齢蔵が就任していた縁で、幼少の頃に河野家に出入りしていた経験から河野家の家風をよく知っており、当初より「河野は事件に関わっている疑いが濃厚である」とのマスコミ報道についても「シロ」ではないかと感じていたという。また、熊井の初監督作品『帝銀事件 死刑囚』での取材経験になぞらえて、犯行は極めて専門的な知識が必要であって「素人」では不可能である点や、確たる証拠がないまま容疑者を自白に追い込む警察の捜査手法が明らかになった事も、熊井が制作へ傾倒させる一因であった。構想以前から日活社長の中村雅哉から「社会性が濃厚で、文化的にもレベルが高い作品の構想を考えておいて欲しい」と依頼されていた事もあり、本作品の制作が決定した。
ロケは北深志地区を中心に行われ、サリンの発生源を検証するシーンで使われた池周辺や軒下の撮影は、河野家の自宅敷地内で行われた。
本編では、報道機関の第一通報者に対する取材が誇張されて描かれている箇所がある。一例として、聴取を終えた第一通報者が警察署から出てくる際に、マスコミに取り囲まれて車に乗り込めないかのようなシーンがあるが、実際は報道陣と警察との間に一定の取材規制が採られており、混乱することはなかった。