イヴォンヌの香り(1994)

 

 
 
「あなただけじゃない・・わたしも変な女」
 
この作品、ルコント監督のなかでは
ずいぶんと酷評されているようですが
私はこの画像のシーンだけで
名作入りなのではないかと思ってしまいます。
 
「ご褒美」と穿いていたショーツ脱ぎ
ヴィクトールのポケットに入れるイヴォンヌ。
風がふんわりと柔らかい彼女のスカートを捲り上げ
美しい脚とヒップラインを覗かせます。
 
そして、シャンパン・ゴールドの肌とはこのことかと
唸るほど美しい裸体も披露してくれます。
それを舐めまわすようないやらしいカメラワーク。
ルコント・ワールドですね。
 
ストリーは特別なものではないでしょう。
愛して、好きな相手に去られて、過去を思いだす。
それだけ。
 
徴兵を回避し、フランス、スイス近くのレマン湖畔に滞在していた
自称ロシア人伯爵のヴィクトール(イポリット・ジラルド)は
イヴォンヌ(サンドラ・マジャーニ)という若く美しい女優と出会います。
彼女は医師であり、ゲイであり、レジスタンスの初老の男性
ルネ・マント(ジャン・ピエール・マリエル)と行動を共にしていました。
ヴィクトールとイヴォンヌは愛し合うようになり
ルネとの奇妙な三角関係となります。
 
美しいイヴォンヌ
彼女を女優として成功させてあげたいヴィクトール。
だけど本当の彼女は、裕福な生活を、華やかな世界を
ただ夢見て追いかける田舎娘だったのです。
努力する娘ではない・・
 
「目を離すなと忠告しただろ」
 
「離さなかった、見つめすぎたんだ」
 
違う男と去ってしまったイヴォンヌ。
自殺してしまうルネ。
ひとり残されたヴィクトール。
 
男女の奇妙な三角関係や意味深な会話
ラストの自動車での自殺など
確かに私もトリュフォー監督の作品を彷彿してしまいました。
 
ただやはりルコント監督のほうが変態チック。笑
鑑賞側にもその要素があるかないかで
この作品の評価は大きく変わるような気がします。
 
男にとって、女性はみんな女優なのです。
 

 
【解説】allcinemaより
アルジェリア紛争の頃の南仏を舞台に、徴兵を逃れ貴族的蕩尽生活を送る主人公が運命の女(ファム・ファタール)に出会う。脚本がうまく書けていないルコント作品など見るに耐えない。そもそも、今デュヴィヴィエみたいな“フィルムで小話”的指向の監督さん。ちょっとトリュフォーを気取った三角関係(J=P・マリエル扮する初老の医師が絡む)を何やら思い入れたっぷりに描くのだが、人物造型がいつになく浅く、女にも男二人を虜にする官能(エロス)がない。ただひたすら登場人物のファッションばかりに目がいってしまう。『アンアン』の読者向け映画。