史上最大の作戦(1962)


 
 
「三度やって駄目だったから、もう一度やるんだ 」
 
これだけビッグネームが顔を揃えた
オールスターキャストの映画ってないでしょう。
 
それぞれの国のパートの撮影のために選ばれた
アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、4つの国の4人の監督。
4つの国のビッグなスター。
 
フランスの村人を演じていたのは「天井桟敷の人々」の主演者メンバー。
このようなNHKBSさんの放映スケジュールでの粋なはからいには
感心させられてしまうばかりです。
 
この作品の凄いところは、正義だ悪だ
勝戦国だ敗戦国だと偏っていないことでしょう。
よくあるアメリカ万歳だとか、戦争勝利の賛美とか
そういう映画ではありませんでした。
 
アメリカ、イギリス、フランス、ドイツそれぞれの国の立場から
ノルマンディー上陸作戦とウィストレアムでの市街戦を題材に
それぞれの軍人や市民の行動を時間を追いながら多角的に描いたものです。
 
たとえ敵であっても敬意をはらう、そういう美学は
現在ではあまり見られなくなったような気がします。
 
誰かが主人公というわけでもありませんでした。
お互い名前も知らない戦場の仲間。
そして憎くも恨みもないけれど、殺さなければならない敵国の相手。
 
妻が出産するから心配だ、でもその子は自分の子ではない。
懸けに勝ち大金を手に入れる、その大金をすってしまうためまた賭けをする
今日か明日かわからない命。
妻の浮気を怒っても、どんなにお金があってもしょうがないのです。
生きて帰れる保証はゼロ。
そんな作戦に出征されたのです、兵士は100も承知している。
 
 「ヤツは死に、俺は動けず、君は道に迷う・・・どうやらこれが戦争らしい」
 
戦争にヒーローなどいないのです。
死ぬか、大怪我をするか、生き延びるか
ただそれだけ。
 
3時間という長さのうえ、ドキュメンタリータッチなので退屈に感じたり
CGもない時代ですから映像も地味、そのせいか意外と酷評が多くびっくりしました。
しかし飛行機も戦車も軍艦も実物です。
安易なごまかしなどありません。
 
静かで控えめですが、本物の男らしさがあると思います。
後世に伝えていくべき戦争映画の傑作に間違いないでしょう。
 


 
【解説】allcinemaより
1944年6月、フランス、ノルマンディー。第二次世界大戦は佳境に差しかかろうとしていた。この地では、司令官ロンメル率いるドイツ軍が、英仏海峡を挟んで戦機をうかがう連合軍の攻撃に備えている。敵には人数で圧倒されているが、天候を味方につけて堅固な防御態勢を敷いていた。一方イングランドでは、アイゼンハワー司令官率いる連合軍が、ノルマンディー上陸作戦の日であるDデイを何日にするか最終的に絞り込んでいた。こうして6月6日の早朝、連合軍の空挺部隊が降下したのを皮切りに、いよいよ熾烈を極めた上陸作戦が始まるのだった…。
 44年6月6日、連合軍によるノルマンディー上陸作戦に材を取ったコーネリアス・ライアンのノンフィクションを基に、名プロデューサー、ダリル・F・ザナックが製作費36億を投じて作り上げた一大戦争パノラマ。米・英・仏・独のトップスター総出演と、大画面いっぱいに展開される戦場の再現は、映画的興奮に満ち溢れ、至福と驚嘆の3時間を約束する。ビデオはワイド版の他、コンピュータによるカラライゼーションを施した<カラーライズ版>(サイズはスタンダード)がある。