西部戦線異状なし(2022)

原題は「IM WESTEN NICHTS NEUES」(西洋で新しいことは何もない)

世界で最悪の老害は戦争

 

今もプーチンキリル総主教やその側近のせいで

その戦争に加担している国々のせいで

ロシアとウクライナの将来ある若者が死んでいるのです

将来は医者に、技術者に、芸術家になっていたかも知れない若者

 

1930年版「All Quiet on the Western Front アメリカ映画

タイトルの、繰り返される無線の声は有名なラストシーン

第一次世界大戦開戦から3年目の1917

序盤の愛国心ある老教師のスピーチに感銘を受けた

パウル、アルベルト、フランツ、ルートヴィヒの17歳の学生4人が

ドイツ帝国陸軍に入隊するというプロットはほぼ同じ

それが戦死者の軍服とも知らず嬉々として受け取る

だけど勝戦国にも敗戦国にも、名誉の死などひとつもない

むしろ犬死といっていい

年寄りの政治家が暖房の効いたテーブルでシェフのご馳走を食べながら

戦死者を英雄だとほざき、メディアをコントロールしているだけ

戦場の現実を知らない国民はそれを真に受け

純粋で幼い少年たちが、国のため、栄誉のため

男であることを見せるため、志願兵になる

母親だけはいつの時代もまとも

「あなたに戦争は無理」

戦場に就いて初めて母の言葉の意味を知るのです

死ぬか生きるか、殺すか殺されるか

だけど、そんな間にも楽しいことはあった

攻撃のないときの戦友とのつかの間の団らん

盗んだガチョウを皆で食べる

同じ頃、マティアス・エルツベルガー(ドイツの左派的政治家←のちに右派に暗殺)は

連合国と休戦協定をしようとしていました

しかし連合国最高司令官のフェルディナン・フォッシュは交渉の余地を与えず

72時間以内に連合国の条件を受け入れるよう通告します

それは無条件降伏を意味するものでした

パウル・フォン・ヒンデンブルク元帥は連合国の条件を受け入れ

1111日午前11、ドイツと連合国が休戦する協定がなされます

戦争終結に浮かれ、酒を飲み祝うドイツ兵

それは連合軍も同じ

しかしフリードリヒ将軍だけはまだドイツの勝利と名誉を信じていたのです

兵士たちを集め

1045分、連合軍へ攻撃するよう命令します

従わない者は銃殺

どちらにしても兵士を待っているのは死しかないのです

本作が他の戦争映画と違うのは

戦友、仲間というテーマがメインなこと

もちろん何より家族が大事だし、敵を倒すことが目的

でも、いまここにいる親友の死がいちばん辛いということ

それは敵兵に対しても同じこと

言葉が通じなくても家に帰りたい気持ちは同じ

彼らにも彼らを待つ家族がいるのだから

そして本作が教えていることは

勝戦国が敗戦国から摂取する仕組みを無くさない限り

戦争は無くならないということ

(これ国連に言っていいほど、我ながら名言)

 

 

透明で青みがかった美しい映像

北の冬を知っている人ならわかる

雪は青い、澄んだ湖のように

そして物凄く寒い、氷点下の体感

その美しさがより哀しみを増す

私の予想では、ドイツ映画なので(笑)

作品賞は難しいと思うのですが

アカデミー賞がノミネートしただけでも成長したがな)

美術賞、音響賞、視覚効果賞あたりは

アバター」と競うのではないでしょうか

カメラは素晴らしい、撮影賞は受賞するかも知れません

ほかの作品は見ていないのでわかりませんけど(笑)

毎年言ってるけど、日本の映画会社には

アカデミー賞前にノミネート作品を上映してほしいもの

どういう伝統かはわからないけど、これも老害でしょう(たぶん)



 

【解説】ウィキペディアより

西部戦線異状なし』(ドイツ語:Im Westen nichts Neues)は、エーリヒ・マリア・レマルクによる1929年の同名小説を原作とした2022年のエピック・反戦映画である。エドワード・ベルガー(英語版)が監督を務め、フェリックス・カマラー、アルブレヒト・シュッフ、ダニエル・ブリュール、ゼバスティアン・フールク、アーロン・ヒルマー、エディン・ハサノヴィッチ、デーヴィト・シュトリーゾフらが出演している。第一次世界大戦末期を舞台とし、理想に燃える若きドイツ人兵士のパウル・ボイメルを描いている。仲間と共にドイツ軍に入隊したボイメルは戦争の現実を目の当たりにし、英雄になるという当初の希望を打ち砕かれながらも生き残るために最善を尽くす。映画では原作小説にはない休戦交渉を描いたパラレルストーリーが追加されている。

西部戦線異状なし』は2022912日にトロント国際映画祭で初上映された後に20221028日にNetflixでストリーミング配信された。20228月に第95アカデミー賞国際長編映画賞のドイツ代表作としての出品が発表され、124日にノミネートが決定。同時に作品賞を始め、脚色賞、音響賞、歌曲賞、視覚効果賞、美術賞にもノミネートされている。

映画は原作の反戦メッセージに忠実であるとして批評家から高評価を得た。またナショナル・ボード・オブ・レビューのインターナショナル映画トップ5に選ばれた。