幸福のスイッチ(2006)

 

 
 
 
仕事とは何か、働くとは何か、お金を稼ぐとは何か。
大きな感動が待っているというわけではありませんが
小品ながらなかなかの良作でした。
 
プライドが高く理不尽なことは大嫌い
自分が悪いわけじゃないのにどうして文句言われるの?
どうして謝らなければならないの?
そんな勝気な女の子の成長物語。
 
私は兄しかいないので実態はわかりませんが
女の子の3姉妹ってこうなんだろうな、って雰囲気も伝わりました。
姉妹の中ではイチバンやさしくておっとりしたお姉ちゃん。
マイペースで気の強い次女。
素直で愛嬌のある三女。
 
ヒロインである次女の怜(上野樹里)の
世間知らずはいいところには誰でもイラつくでしょう。
文句ばかり恨みばかり自己主張ばかりで
誰に対しても感謝の気持ちひとつもない。
自分では何も知らない、何もできないくせに。
 
今の時期、多くの企業で新人教育や研修がなされている最中だと思いますが
「全くこんな若いのばっかりだよ!仕事もできないくせに!!」と
教育係からの叫びが聞こえてきそうです。笑
 
父親が怪我をしたため、やむを得ず実家の電気店を手伝うことになった怜。
父親の仕事のやりかたなんて全く気に食わない。
自分の仕事はテキトーなくせに。
 
だけれどささいだとか簡単だと思っていた作業や
つまらないと思っていた仕事を
必要にしている人たちもいるんだということに気が付きます。
ありがとう、助かったわ・・そんな客からの感謝の言葉に
徐々に仕事の責任感にも目覚めていきます。
 
幸せのスイッチとは・・
きっとそれは「気が付く」ということなのでしょう。
 
怜は気が付いたのです。
父親のような仕事を必要としている人間もいるということを
バカだと思っていた上司の意見にもちゃんと理由があったと
彼氏からの説教ももっともだったと。
そして他人ではなく、自分が変わらないといけないのだと。
 
怜のように世渡りがヘタな女性って、結構多いのではないかと思います。
誰しもが自分の「幸せのスイッチ」を見つけてONできたらいいですね。
それは一歩、大人になるスイッチであるとも思います。
 

 
【解説】allcinemaより
小さな町で電器店を営むガンコ親父と、そんな父親と衝突ばかりする次女を中心とした三姉妹が繰り広げる人生模様をペーソスとユーモアを織り交ぜ綴る人情ストーリー。主演は「スウィングガールズ」の上野樹里。共演に本上まなみ沢田研二。監督は期待の新人女性監督・安田真奈
 家計を度外視してまで“お客様第一”と言い続ける電器屋の父に反発して田舎の実家を離れ、東京のデザイン会社でイラストレーターとして働く21歳の怜。まだ新人にもかかわらず自己主張は一人前で、ある時、ついに上司と衝突、その勢いで会社を辞めてしまう。そんな怜のもとに、妹の香から長女の瞳が倒れて入院したとの手紙が届く。あわてて実家へと帰省した怜だったが、実のところ、入院したのは瞳ではなく骨折した父の誠一郎だった。ソリの合わない父が骨折したぐらいでは帰ってこないだろうと考えた香が嘘の手紙を書いたのだった。まんまと家業の電器店を手伝わされるハメになり、ますますふてくされる怜だったが…。