若草物語 (1964)

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4人姉妹の物語ですが
オルコットの「若草物語」(映画は1949年版が有名)ではなく
谷崎潤一郎の「細雪」に近いようで遠い(笑)
姉妹のうち次女と三女がひとりの男性を慕いあう青春ストーリー

東京オリンピックの年のトレンドを見れるのは面白い
学生運動、飛行機で上京、スポーツカー、団地住まい
デパートガール、アルサロ、スキー旅行
テレビも普及してきたころなのでしょう

 

【ここからネタバレあらすじ】

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父親(伊藤雄之助)が母親が死んで1年もしないうちに
若い嫁をもらいイチャイチャするのに耐えかねた
由紀(浅丘ルリ子)、しずか(吉永小百合)、チエコ(和泉雅子)は
家出を決行、大阪から東京に住む長姉
早苗(芦川いづみ)の団地に押しかけます

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程なくして、由紀としずかはデパートに就職が決まり
3姉妹はアパートを借り暮らし始めました
初仕事の帰り、偶然にも由紀の幼馴染で弟分だった次郎(浜田光夫)と再会
報道カメラマンをしているという次郎は見違えるほど逞しくなり
由紀と次郎は付き合いはじめ、次郎は度々由紀の家を訪ねるようになります
そんな姉の恋人に横恋慕するしずか

チエ子はアルサロ(アルバイトサロン、今でいうキャバクラ)で
バイトをはじめ、由紀としずかに咎められますが
長続きはせず、かといって落ち込むこともない明るく自由な性格

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冬になり、3姉妹と次郎、チエ子のボーイフレンドの健吉(山内賢)は
スキー旅行へ行きます
次郎に突然仕事が入りひとり帰ってしまうと
東京に着いた日、空港から団地まで車で送ってくれた
大学生の圭一(和田浩治)が現れ別荘に招待してくれました
圭一は由紀を気に入り、ふたりはときどき会うようになります

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衣装がお洒落で、芦川いづみが黒、浅丘ルリ子が赤
吉永小百合が水色、和泉雅子が黄色と4色に色分けされ素敵
ただ外国映画と違いデザイナーやスタイリストが公表されているわけでなく
衣装は「第一衣装」と「山田かつら」(笑)

次郎と圭一はひとり二役みたいに似ているけど
演じているのは別人(笑)

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姉妹が旅行から帰ると、若妻と喧嘩した父親が
大阪から早苗の団地に来ていました
早苗と由紀は父親を責め立て、父親は大阪に帰ることになりますが
ファザコンのしずかは「薄情」だとアパートを飛び出し
次郎のアパートに転がり込み、やむなく次郎はしずかを泊めます

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嫉妬した由紀は次郎を責めますが
何もなかったという次郎の謝罪を受け入れることにしました
今度はしずかが面白くありません
連日強引に次郎の取材に付いていっては
まるでアシスタントのように次郎の仕事を手伝います
姉から次郎を奪う気満々、嫌な女だわ~

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由紀は由紀で圭一から大学を卒業したら結婚したいと言われ
はっきり断れないでいると、圭一の一家はすっかり結婚モード
しかし次郎と二股をかけているので、これはまずい
「OKとは言っていない」と告白すると
お坊ちゃん、泣きながら家中の調度品をぶっ壊す始末(笑)

でもこの時点で由紀はまだ次郎に気持ちがあったのでしょうね
「私より仕事が大事なの」と次郎に詰め寄ります
男と違って、この時代の女性は22~3で嫁に行かないと
焦る年頃なんだろうな
だけど次郎は仕事が軌道に乗り、やりがいを感じているのでしょう
今すぐ結婚しようと言えない

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ふたりの男を翻弄する姉に、次郎を愛してやまないしずかが
「姉ちゃんなんか死んでまえ!皆死んでしまえばええーー」と叫びます
由紀も面倒臭いけど、この女が一番怖いわ
フラれたら絶対ストーカーになるタイプ
浮気でもしたら殺されるよ(笑)

結局、由紀は金持ちの圭一を選びおセレブの世界へ
しずかは瀬戸内海に転勤になった次郎を追いかけていきます
東京に残されたチエ子は相変わらず自由気ままで

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お見合い結婚をした早苗は、恋愛に情熱を傾ける妹たちを
羨ましく思いながら日常に帰っていきました
まあ、彼女がいちばん男の理想のタイプよね

【ネタバレあらすじ終了】

 

日活の看板女優揃い踏みで、見た目はたいへん麗しいけれど
性格にクセがありすぎて共感するのは難しい(笑)
ただ、当時の日本人が強くて元気だったことは
感じることができました

 


【解説】ウィキペディアより
若草物語」(わかくさものがたり)は、1964年12月31日に公開された日本の映画作品。日活の四大女優(吉永小百合浅丘ルリ子芦川いづみ和泉雅子)が共演した。高度成長期を生きる若い女性たちの恋愛観や結婚観、幸福のかたちを健康的に描いた青春大作。上映時間は85分。
高村家の由紀(浅丘ルリ子)、しずか(吉永小百合)、チエコ(和泉雅子)の三人姉妹は、若い後妻をもらった父・勇造(伊藤雄之助)を気づかって家出を決行。伊丹空港から日航機に乗って、東京で暮らす新婚の長姉・早苗(芦川いづみ)のアパートに押しかける。やがて三人の妹たちは早苗と夫・宏一(内藤武敏)のもとを離れ、三人でアパート暮らしをはじめる。大阪弁で繰り広げられる三姉妹それぞれの恋愛模様が描かれる