ハート・ロッカー(2008)


 
 
「戦争は麻薬・・・」
 
アカデミー賞は受賞したものの
あまり評判はよくないらしいこの作品。
私は良かったですね
ひさびさに面白い戦争映画を見たという感じ。
 
SFやファンタジー作品ならともかく
CGふんだんな作品には、もういいかげん飽き飽きうんざりしていましたので
CG控えめな映像も
ドキュメンタリー作品風な音声も
リアルな雰囲気がでていて良かった気がします。
 
「死ぬなら気持ちよく死にたい」
 
防爆服を脱ぎ捨てて爆発物を処理するジェームズ2等軍曹。
普通の人間から見たらイカれている男でしょう、たぶん軍人同士でも。
しかし彼にとって爆弾処理はその爆弾を仕掛けた奴との知恵比べ。
技術が高ければ高いほど
解除が難しければ難しいほど
破壊力が大きければ大きいほど
燃えるのです。
 
それは理想の異性と出会い、自分のものにして
イカせるような快感なのでしょう。
爆発で死ななかったとき、彼は爆弾の部品をひとつ持ち帰る。
勝利品なのか、思い出なのか
それとも処理できたときの快感の余韻を再び感じるためなのか。
 
砂漠での銃撃戦。
またたく間に乾いていく喉、皮膚、瞳
どちらの頭脳が、射撃が、根気が勝っているのか。
死を恐れていないのはどちらなのか。
 
「どうして俺はこうなんだろうな・・・」
 
戦争の話しではないけれど、やはりテロと爆弾処理班が登場する
野沢尚さんの「魔笛」という本を読んだときにも感じたのですが
こういう作品のこういう主人公に
こんなふうに共感してしまう
私の心もまた病んでいるのでしょうか。笑
 
戦争を肯定も否定もしていない。
ただ戦場でしか、命がけでしか生きられない
そういう人間もいる
そういう映画です。
 
 

 お気に入りで。
 

 
【解説】allcinemaより
 「ハートブルー」「K-19」のキャスリン・ビグロー監督が、死と隣り合わせの日常を生きるアメリカ軍爆発物処理班の男たちの姿を力強く描き出した緊迫の戦争アクション。テロの脅威が続く混沌のイラクバグダッドを舞台に、爆発処理チームのリーダーとして新たに赴任した破天荒な主人公ら3人の兵士が尋常ならざるプレッシャーに晒されながら爆弾解除に取り組むさまを、徹底したリアリズムで生々しくスリリングに捉えていく。主演は「28週後...」のジェレミー・レナー。共演に「ミリオンダラー・ベイビー」のアンソニー・マッキーと「ジャーヘッド」のブライアン・ジェラティ。
 2004年夏、イラクバグダッド郊外。アメリカ陸軍ブラボー中隊の爆発物処理班では、任務中に殉職者が出たため、ジェームズ二等軍曹を新リーダーとして迎え入れることに。こうして、サンボーン軍曹とエルドリッジ技術兵を補佐役とした爆弾処理チームは、任務明けまで常に死の危険が孕む38日間を共にしていく。しかし、任務が開始されると、ジェームズは遠隔ロボットを活用するなど慎重を期して取るべき作業順序や指示を全て無視し、自ら爆弾に近づいて淡々と解除作業を完遂。任務のたび、一般市民かテロリストかも分からない見物人に囲まれた現場で張り詰めた緊張感とも格闘しているサンボーンとエルドリッジには、一層の戸惑いと混乱が生じる。そして互いに衝突も生まれるものの、ストレスを発散するように酒を酌み交わし、謎めいたジェームズの一面も垣間見ることで理解を深め結束していく3人。だがやがて、任務のさなか度重なる悲劇を目の当たりにしたことから、ある時ジェームズは冷静さを欠いた感情的行動に走り、3人の結束を揺るがす事態を招いてしまう…。