恋人までの距離(ディスタンス)(1995)





こんなに素敵な恋愛映画って
そう多くはないでしょう。

若く、さりげなく、みずみずしい。
会話と表情だけで、恋が生まれる瞬間を描いています。
 
長距離列車で、偶然乗り合わせたジェシーイーサン・ホーク)と
意気投合したふたりはウィーンで途中下車します。
 
お互いを探り合うような、ぎこちない会話。
過去に付き合った恋人の話、子どもの頃の話
宗教や魂や戦争のこと。

言葉を交わし、視線を交わしていくうちに
徐々にその距離は縮められ
やがてふたりは理想の愛の形を語り合います。

 
車窓の風景やウィーンの街並が美しい。
世界はふたりのもの。
 
芝居に招待する二人の男も
占い師も
宿無しの詩人も
恋を応援するサポーター。
 
観覧車のなかでの初めてのキス。
カフェでのロール・プレイング風な電話の会話。
夜空の下で芝生の上で愛し合うふたり。

そして別れの朝の
お互いを求めあうような切望のキス・・・
 
台詞を言ってるとは思えない
ふたりの自然な会話がいいですね。
恐ろしく膨大な台詞をこなす演技力には驚きです。
 
「そんなに待てない」不安そうな彼。
「12月は寒いわ」現実に戻る彼女。
ラストの対照的なふたりもリアルで好い。
 
旅先での一夜の恋・・あなただったら再会する?
それとも思い出にする?
約束は・・・守る?
 
さすがの90年代を代表する恋愛映画のひとつ。
お気に入りで。
 

 
【解説】allcinemaより
列車の中で偶然出会った一組の男女。二人は意気投合して列車を途中下車し、ウィーンの街をあてどもなく歩く。しかし楽しい時間はあっという間に過ぎ、やがてお互いの生活に帰る朝がやってくる……。とにかく二人の会話がいい。実に自然で、まるで本当に偶然出会った一組の男女を追いかけて撮ったドキュメント映画の様である。そんな自然な会話の中から、彼らの人生観、価値観、そして心の奥の微妙な揺れ動きが見え隠れして、こっちまでドキドキしてしまう、繊細で、素晴らしい映画。主演のジュリー・デルピーイーサン・ホークの初々しい演技もGOOD! 結末も味わい深く、余韻のある終わり方で、そこいらにあるありきたりの恋愛映画とは一味も二味も違う、秀作です。