ブルーに生まれついて(2015)



「技術が落ちた分が味になっている」


タイトルのかっこよさだけで見ました(笑)

トランペット奏者であり、ボーカリストとしても
「マイファニーバレンタイン
I'veNever Been In Love Before」(恋したことがない)
IFoll In Love Too Easily」(惚れっぽい私)のカヴァーが有名な
当時は希少な白人ジャズメンチェット・ベイカーの嘘自伝映画



映画はイタリアで逮捕されたベイカーがエリア・カザン監督の
自伝映画撮影中に、端役の女優ジェーンと恋仲なるものの
金銭トラブルから麻薬のバイヤーに暴行を受け
歯を折られ、顎は砕かれ
トランペットを吹くことが不可能になってしまいます
当然映画の撮影も中止



そんなベイカーを支え続けるジェーン
自分の部屋に住まわせ、両親にも紹介、そして結婚
妊娠し、ベイカーはドラッグを絶つことを誓います
周囲の途力により、再びステージに立つチャンスにも恵まれます

だけど偶然、楽屋にあった誰かのヘロインを打ってしまう
それに気付いたジェーンはそっと彼の前から立ち去るのです



この作品、アメリカでは超酷評されたそうで(笑)

イカーの唯一の自伝
Deepin a Dream: The Long Night of Chet Baker(終わりなき闇)」は
読んだだけで鬱病の症状が発症すると言われている
危険な本なのだそうです

ジェームズ・ディーンの夭逝を受け、ジャズ界のディーンという
謳い文句をぬけぬけと自ら使い
複数の妻や恋人たちは、同じヘロイン中毒かビッチなど、問題女性ばかり



イカーを支え続けたジェーンという女性は架空の人物で実在せず
そのため夫婦の美談となるような脚色は、批判の的になり
イーサン・ホークまで「有毒な歌声の再現」と
一部の音楽家から厳しい批判を受けたとか(笑)

どれだけ嫌われているの?チェット・ベイカー(笑)



だけど彼のファンもまた多く
ホラー映画界の神、ルチオ・フルチ監督は
イカーが貧窮で暮らしにも困っているのを助けたい一心で
Urlatorialla sbarra」(日本未公開・未ソフト化)という
作品を撮ったそうです

どんな内容かわかりませんが、その作品も
ルチオ・フルチ監督のキャリアの黒歴史になったそうで

どんだけ周囲にまで悪影響及ぼすの?チェット・ベイカー(笑)



これがもしチェット・ベイカーでなかったら
ラ・ラ・ランド」的な気分が味わえる音楽映画になったかも知れませんが

どうせこれだけ嫌われているなら、ラ・ラ・ランド」より
メンタルやられるくらいの、陰々鬱々映画にしたほうが
よほどよかったのではないかと思いました


【解説】allcinemaより
ビフォア・ミッドナイト」「6才のボクが、大人になるまで。」のイーサン・ホークが伝説のトランペット奏者チェット・ベイカーを演じて高い評価を受けた感動の音楽伝記ドラマ。50年代のジャズ・シーンで一世を風靡するも、麻薬でどん底へと転落したチェットが、愛する女性に支えられて再起を目指す苦闘の日々を見つめる。共演はカーメン・イジョゴ。監督は、これが長編2作目となるカナダの新鋭、ロバート・バドロー。
 白人ジャズ・トランペット奏者のチェット・ベイカーは、その端正なルックスも相まって1950年代に一世を風靡する。しかしドラッグに溺れ、たびたびトラブルを起こして、いつしか表舞台から姿を消してしまう。そんな中、暴力沙汰に巻き込まれ、病院送りに。アゴを砕かれ、前歯を全部失う重傷で、トランペッターとしては致命傷かに思われた。それでも、恋人ジェーンの献身的なサポートのもと、ドラッグの誘惑を断ち、再起に向けて懸命に歩を進めていくチェットだったが…。